ウフィツィ美術館:ルネサンス絵画の宝庫

フィレンツェはルネサンスが華開いた街だ。そのフィレンツェにある「ウフィツィ美術館」はイタリア・ルネサンス美術を展示する美術館として世界最大といわれている。展示作品はルネサンス期の芸術家たちのパトロン「メディチ家」のコレクション。ボッティチェッリの『春』などルネサンス期の巨匠のお宝を数多く展示し、芸術ファンのみならずフィレンツェのトラベラー必見の観光地となっている。

1.イタリア・ルネサンスとは?

ウフィツィ美術館は、イタリア・ルネサンス期の絵画の宝庫です。イタリア・ルネサンスとはどんなものか、行かれる前に簡単に予習をしておきましょう。

フランス語で「再生」を意味するルネサンスは、14~16世紀にヨーロッパ社会が転換期を迎えるにあたって起こった文化革新運動。思想、文学、美術、建築などさまざまな方面で、ギリシアやローマの古代文化を復興させながら新しい文化を生み出しました。

なぜルネサンスはイタリアで始まったのでしょう。ギリシア文化に精通した詩人たちがオスマン帝国の侵略による迫害からイタリアに避難していました。イタリアでギリシア文化が発展し、ルネサンスが始まるきっかけとなったのです。

主な理由としては2つあります。当時のイタリアは金融や毛織物、東方貿易で成功したメディチ家により、目覚ましい経済発展を遂げていました。メディチ家ゆかりの商人や教皇たちを中心に芸術活動の保護も行われています。

ルネサンスは北イタリアで始まり、16世紀までにヨーロッパ中へ広がります。暗黒の中世からの離脱を現実とした、「近代の夜明け」の象徴的な存在ともなっています。その影響は政治や社会、宗教など多方面に広がっており、当時の欧州近代文化の基礎となりました。日本ではルネサンスを「文芸復興」と訳しています。

2.ウフィツィ美術館とは?

アルノ川沿いに位置するウフィツィ美術館はルネサンス時代の美術品で世界的に有名です。1982年にフィレンツェ歴史地区が世界遺産に登録されており、ここもその一つとなっています。

ルネサンス様式の特徴である巨大なU字型の建物は1560年に建てられました。ここはかつて、トスカーナ大公国の行政事務所として使われていたもの。メディチ家のひとりコジモ1世が、色々なところに散らばっていた官庁を一つにまとめるためにこの建物を世界初のコンクリート工法で造りました。

その後ピッティ宮殿から行政事務所を繋ぐ大回廊が造られ、後にメディチ家の美術コレクションを収蔵する場となったのです。1756年からは美術館として一般公開されるようになっています。「ウフィツィ」とはトスカーナの言葉で「事務所」という意味があり、実はウフィツィは「office」の語源だったのです。

ダ・ビンチをはじめ、ボッティチェッリ、ラファエロなどのルネサンスを代表する作家の作品はもちろん、古代彫刻や13~18世紀の絵画など、広大な敷地内に約2500点もの絵画を展示しています。メディチ家の財力が豊かだったことを語ると共に、彼らが集めたルネサンス美術の全てが集結しているといっても過言ではありません。

4.アクセス

フィレンツェにあるサンタ・マリア・ノヴェッラ駅から徒歩で約20分。サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオモ)からは徒歩で南方向へ約5分。駅から距離があるのでタクシーに乗るのもおすすめです。

5.ウフィツィ美術館の巡り方や注意点

・チケットは予約を

ウフィツィ美術館はシーズンにはチケットを買うために2~3時間も並ぶほど、フレンツェでも人気の観光スポットです。混雑時には入場規制もかかります。少しでも時間を短縮したいイタリア旅行での2~3時間のロスは致命的。シーズンに行くなら予約をするのがおすすめです。

日時を指定し予約をしたら、バウチャーを印刷して当日受付に持参してください。入場チケット販売所とは別の場所にあり、西側の棟にある3番窓口で受け取ります。印刷した予約表を提示してチケットを受け取ります。その後チケットに書かれた時間に1番入口(予約チケット専用)から入館します。チケットを切ってもらうのは3階です。

・便利なフィレンツェカード

利用後72時間以内なら予約をせずに72の美術館や宮殿への入館、バスやトラムが乗り放題できる「フィレンツェカード」もおすすめ。料金は€72ですが美術館巡りにはもってこいです。もちろん行列に並ばずに入館できます。

購入方法はオンラインの事前予約と現地で直接買う方法です。駅前ツーリストインフォメーションなどでカードを引き換え、または購入します。美術館などの施設は一施設一回しか入れないので注意してください。

例:ウフィツィ美術館、ピッティ宮殿、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドゥオモ)、アカデミア美術館

・セキュリティチェック

服装はカジュアルで大丈夫ですが、セキュリティチェックはあります。大きな荷物はクロークに預けましょう。傘も持ち込むことはできません。

また、オーディガイドのレンタルはここでできます。

・カメラ撮影は可能

フラッシュは禁止ですが2014年からカメラやビデオの持ち込みが許可されました。バッテリー切れにならないよう充電確認はお忘れなく。

他にも館内での飲食や作品に触れること、携帯電話での通話や大声で話すなど常識のない行動はしないように注意しましょう!

・所要時間はどれくらい?

館内の見学は、2~3時間くらいが目安です。年代ごとに並んでいますが、順路や展示場所が度々変更になるので見たい作品の場所は直前に再確認を。主な作品は3階にほとんどあります。主な作品をサクッと見るだけなら1時間くらいです。

・トイレ情報

トイレは3ヶ所、各階にあります。1階の入り口から奥の階段で地下に降りたところ、2階は出口に向かって3階から階段を降りたところ、3階はバールの脇です。できれば見学前に済ませておくといいでしょう。3階は混んでいるので比較的空いている2階のトイレがおすすめです。

6.ウフィツィ美術館のみどころ

3階には45の部屋があり、ほとんどの作品はここにあります。

〇ルネサンス絵画

ルネサンスを代表する芸術家の作品が数多く集まるウフィッツィ美術館。ここでは必見の絵画をご紹介します。

(Public Domain /‘Nascita di Venere’ by Sandro Botticelli. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
・ボッティチェッリ作『ヴィーナスの誕生』と『春(プリマヴェーラ)』

第10~14室にある、ボッティチェッリが描いた2つの作品は必見。
『ヴィーナスの誕生』は1484年頃の作品です。白い泡から生まれ貝に乗った美しい女神が印象的。幅3m近くもの巨大なキャンバスに描かれています。キャンパス地に描かれているのはこの時代にしては珍しいもので、フレスコ画のようなタッチも独特です。

誕生したばかりのヴィーナスを風の神ゼピュロスと微風の女神アウラが吹く息で岸辺へと送る姿が描かれています。2神の周りに描かれたバラの花も印象的。また女神ホーラが岸で待つ姿も描かれています。

(Public Domain /‘Primavera’ by Sandro Botticelli. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

メディチ家当主のいとこが結婚するにあたって描いた『春(プリマヴェーラ)』も有名です。1482年頃の作品で、ヴィーナスと彼女の庭園の様子が描かれています。3美神が手を取り合って踊る姿は自由の象徴とされており、目隠しをされたキューピットや花の女神フローラも見物です。

(Public Domain /‘The  Doni Tondo’ by Leonardo da Vinci. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
・レオナルド・ダ・ビンチ作『受胎告知』

1475~1480年頃に描かれたダ・ビンチ初期の作品。大天使ガブリエルがマリアに妊娠を伝える場面を描いたもので、二人の距離感が絶妙です。景色も見どころ。真ん中あたりにはトスカーナ地方特有の糸杉が描かれています。

(Public Domain /‘The Annunciation’ by Michelangelo Buonarroti. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
・ミケランジェロ作『聖家族』

1506~1508年頃のこの作品は、ミケランジェロが壁画以外で書いた珍しい絵画です。彼がフィレンツェに滞在しているときにドーニ家から依頼されたものです。聖母がキリストを肩越しに受け取る構図のユニークさが見物です。マリアの夫聖ヨセフも描かれています。彫刻家として有名なミケランジェロならではの人物の力強さも感じられます。

(Public Domain /‘Venus of Urbino’ by Tiziano Vecellio. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
・ティツィアーノ作『ウルビーノのヴィーナス』

1538年にウルビーノ公爵の依頼により描かれたもので、後世の画家に影響を与えた名画として有名です。ティツィアーノ特有の色彩感覚も見物。永遠の愛を象徴とする赤いバラを手に持ったヴィーナスの姿は素晴らしく、耳に輝く真珠もステキです。

(Public Domain /‘The Duke and Duchess of Urbino’ by Piero della Francesca. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
(Public Domain /‘Madonna with child and two Angels’ by Fra Filippo Lippi. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

他にもフランチェスカの『ウルビーノ公爵夫妻の肖像』や、フィリッポ・リッピの『聖母子と二天使』も写真に収めたい絵画です。

(Public Domain /‘Madonna of the Goldfinch’ by Raffaello Santi. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
・ラファエロ作『ヒワの聖母』

2階にある1505~1506年頃に描かれた作品。日常どこにでもある風景の中に聖母子を描くという斬新なアイデアが魅力です。マリアの足を踏む幼いキリストは偉大なる存在だということを暗示しています。また、聖ヨハネの手の中には豊穣と受難の伝説、鳥ヒワが描かれています。ラファエロの肖像画も見るべき絵画です。

(Public Domain /‘Bacchus’ by Caravaggio. Image via WIKIMEDIA COMMONS)
・カラヴァッジョ作『バッカス』

この作品も2階にあります。バロック画の最大巨匠といわれるカラヴァッジョが20代だった1596~1600年頃に描いた作品。独特の感性とリアリズムを感じる作品として知られています。酒の神バッカスを描いたもので、モデルは友人画家との説と自画像という2つの説があります。写実的に描かれ、光と影の書き分けも見物です。

特に2階のレイアウトは変わることがあるため、行かれる前に今一度確認を。

〇カフェ

3階の第45室の先にあるカフェも見どころの一つ。ここには屋外テラス席があり、目の前にはドゥオモやジョットの鐘楼、目の前にはヴェッキオ宮殿も見ることができます。開放的な気分を味わいながらカプチーノや軽食をいただいてみては?テラス席はお値段が少しお高めですが、周辺の景色を見られると思えばリーズナブルかもしれません。

〇ミュージアムショップ

出口付近に2ヶ所あるミュージアムショップもチケットなしでは入れないので立ち寄る価値ありです。今見た中でお気に入りの絵画のポストカードはもちろん、メガネ拭きなどもリーズナブルでお土産におすすめのアイテムです。
また、ダビデ像の着せ替えマグネットなどのユニークなグッズもあります。

〇まだまだ見どころが

美術館の前の通りには似顔絵書きの若手アーティストがズラリと並んでいます。せっかくのイタリア旅行、旅の思い出にいかがでしょう。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか?誰もが一度は目にしたことがある名画たちがズラリと並ぶウフィツィ美術館。メディチ家の歴代当主たちが集めた素晴らしい作品ばかりです。イタリア・ルネサンスが華開いた地、フィレンツェに行ったらぜひ時間を作って訪れてくださいね。

基本情報

住所:Piazzale Degli Uffizi 6, Firenze
電話番号:+39 055 238 8651
営業時間:8:15~18:50(最終入場は18:35、チケット売り場は~18:05)
(5/31~9/27の火曜日は~22時:00)
休館日:1/1、5/1、12/25

入場料
(注:2018年3月より、料金変更により値上がりしました。)

大人:3/31~10/31 €20、11/1~2/28 €12
ネットでの事前購入:3/31~10/31 €24、11/1~2/28 €16

チケット予約WEBサイト:Acquisto biglietti Uffizi Accademia B-Ticket Sito Ufficiale Firenze Musei

ホームページ:Polo Museale Fiorentino

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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