ジミ・ヘンドリックス:リリースしたアルバム3枚をそれぞれ解説

(Public Domain /‘Jimi Hendrix 1967’ by Original photographer unknown. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

ローリング・ストーン誌の選ぶ偉大なギタリストランキングでは不動の1位を獲得し、ロックギターの頂点に君臨し続けるジミ・ヘンドリックス。彼が生前に残したスタジオアルバムは、わずかに3枚です。しかしこの3枚全ての完成度は素晴らしいもの。この記事では、そんなジミヘンの偉大なアルバム3枚をご紹介します。

ジミ・ヘンドリックスは、ローリング・ストーン誌の選ぶ偉大なギタリストランキングでは不動の1位を獲得し続けている、ロックギターの歴史に名前を刻んだギタリストです。しかし、メジャーデビューアルバムをリリースした1967年からわずか4年ほどでジミは亡くなっています。27歳の時でした。

(Public Domain /‘Promotional photo of The Jimi Hendrix Experience.’ by Warner/Reprise Records. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

ジミ・ヘンドリックスのCDを探してみると、信じられないくらい多くのアルバムがヒットします。これには驚いた人もいるのではないでしょうか。しかし、実際にジミが組んでいたバンド「ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス」時代にリリースしたスタジオアルバムは、たったの3枚です。他のアルバムはジミが亡くなってから、未発表曲やライブ、セッションの音源をリリースしているのです。

そのスタジオアルバムというのは、「Are You Experienced」「Aixs:Bold As Love」「Electric Ladyland」の3枚です。今回はこの3枚についてご紹介します。

ちなみにジミ・ヘンドリックスを聴いたことない人やこれからアルバムを聴いてみたいという人にはデビューアルバムの「Are You Experienced」がおすすめですよ。

Are You Experienced:衝撃的なデビュー作品

(Public Domain /‘Photo of the Jimi Hendrix Experience.’ by Reprise Records. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

ジミ・ヘンドリックスといえばギターの可能性を大きく広げただけでなく、ライブパフォーマンスの過激さも人気のひとつです。ライブ中にはギターを性器に見立てて弾き、ピックの代わりに歯でギターを弾き、自分の使っていたギターに火をつけ振り回しました。火をつけているシーンはかなりヤバそうな、宗教じみた空気感が漂っています。

とにかく過激で、ロックの大御所感もありますが、活動期間はたったの4年間です。そしてそんなジミにも、初々しいファーストアルバムがあります。その名も、「Are You Experienced」です。

(Public Domain /‘Album cover for the U.S. version of Are You Experienced’ by Ilanv (talk). Image via WIKIMEDIA COMMONS)

このアルバムは、初々しさゼロの最強アルバムといっても過言ではありません。もはや「ベスト盤では?」と言われるほどの完成度を誇っています。同じ時期にリリースされたビートルズの「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」が英国のチャートで1位を獲得したので、このアルバムは残念ながら2位に止まりましたが、当時のロック界に多大な影響を及ぼしたことは間違い無いでしょう。

アルバム1曲目から炸裂するフィードバック奏法を取り入れた「Foxey Lady」。60年代に生まれていない人にとっては、当時の衝撃は計り知れませんが、当時1967年以前の音楽を聴みても、明らかに「Foxey Lady」ほどの衝撃を与えたデビューアルバム1曲目はないでしょう。

「Are You Experienced」は、とにかく名曲揃いのアルバムです。「Foxey Lady」「Red House」「Love or Confusion」「Fire」「Third Stone from the Sun」「Are You Experienced?」を収録しています。またボーナストラックには、シングルで発売された「Hey Joe 」「Stone Free」「Purple Haze」「The Wind Cries Mary」なども収録されています。ベストを聴いたことのある人は、これらの曲は知っているでしょう。ファーストアルバム「Are You Experienced」は名曲揃いの、しかもジミの若き爆発力を伴った作品になっています。

ジミ・ヘンドリックスをはじめて聴く人におすすめしたいアルバムです。

Aixs:Bold As Love:ビートルズに影響された作品

(Public Domain /‘The Beatles wave to fans after arriving at Kennedy Airport.’ by United Press International, photographer unknown. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

ジミ・ヘンドリックスと共にギターの神様として君臨したエリック・クラプトンは、ビートルズの音楽に否定的な意見を言ったことがあります。エリックは、ビートルズの音楽はジョージのギターを殺していると発言したこともあったのです。

このような発言をしたのはビートルズの初期の段階で、まだアイドルとしての人気を博していたビートルズに当てられたものです。その後エリックはホワイト・アルバムに参加し、ビートルズと共演することに緊張したと言っています。

ビートルズに否定的な意見を述べたエリックに対して、ジミ・ヘンドリックスは真逆の意見を持っていたようです。ファーストアルバム「Are You Experienced」をリリースした時、ビートルズは「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」というロック史に残る名作をリリースしました。

実はこのアルバムが発売された直後、ライブで「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」を演奏したのは、ビートルズではなくジミ・ヘンドリックスだったのです。発売された2日後の出来事でした。

ビートルズより先に演奏したことで、ビートルズのポールは感銘を受けたと言っています。しかもそのライブ会場にお客としてポールがいたことも驚きです。

話を本題に戻すと、ビートルズの「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」に大きな影響を受けたジミが2枚目にリリースするアルバム「Aixs:Bold As Love」は、「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」と同様にコンセプチュアルな作品になっています。

冒頭の楽曲「Exp」はアルバムの世界観を提示し、アルバムに引き込むような楽曲になっています。実験的な楽曲が増えたことがあり、ファーストアルバムよりも聴きづらい印象です。しかし、全体的にはメロディアスな楽曲が増えているので、意外と聴いていて楽しいアルバムになっています。

2曲目の「Up from the Skies」はポップな曲調ですが、精神的に不安定な浮遊感溢れるサウンドが、サイケの香りを漂わせます。このサイケ感のある曲からアルバムのメインソングでもある「Spanish Castle Magic」に繋がる流れは、アルバムに入り込めるように作られているのでしょう。

またジミの楽曲の中でもよくカバーされる「Little Wing」は、セカンドアルバムの「Aixs:Bold As Love」に収録されていますよ。

Electric Ladyland:幅広い音楽性を取り入れた最高傑作

このアルバムは、1968年にリリースされたザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス時代最後のアルバムで、評価の高いアルバムです。サードアルバムとなるこのアルバムは、セカンドアルバムと同様に、冒頭の曲でアルバムに引き込んでくるような音楽になっています。

3曲目の「Crosstown Traffic」にはトラフィックのギタリスト、デイブ・メイスンがゲスト参加しています。「Electric Ladyland」にはこの他にも多くのミュージシャンがゲスト参加しているのですが、この当時は他のミュージシャンのアルバムにゲスト参加するということは、あまり行われていない時代でした。そのような背景もあり、「Electric Ladyland」はバラエティに富んだアルバムでもあります。

ただ4曲目の「Voodoo Chile」は、このアルバムを好きになるのか嫌いになるのかの分岐点になるでしょう。なぜならとにかく曲が長いのです。15分にも渡る楽曲で、ちょっと冗長すぎると感じるかもしれません。

アルバム全体を通して感じるのは、ファーストアルバムのような勢いを感じるギターの爆発音が姿をかなり隠していて、ポップなメロディーと実験的な楽曲が多いということです。初期のジミ・ヘンドリックスっぽさを感じる楽曲は少なくなっています。

ただ7曲目の「Come On」は、ジミの疾走感溢れる楽曲で聴いていて心地よいですし、8曲目の「Gypsy Eyes」はファンク要素強めの力強い楽曲です。ノリが本当にかっこいいですよ。

そして「Electric Ladyland」の中でも名曲となっている、「All Along the Watchtower」は実はボブ・ディランのカバー曲です。カバー曲であるのにも関わらずオリジナリティがあり、ボブ・ディラン自身も「あれは俺が書いたが、権利の半分くらいはジミのものだ」と語っています。

2004年に音楽評論家が選出したベストカバーソングTOP50では、ジミの「All Along the Watchtower」が1位になっています。私が最初にジミを好きになった楽曲は「All Along the Watchtower」でしたし、この曲を聴いた後から、ボブ・ディランが歌っていたことに気がつきました。

音楽的に見れば評価は高いとされていますが、ジミ・ヘンドリックスを聴いたことない人が初めて聴くアルバムとしては適していないかもしれません。やはりおすすめは、ファーストアルバムの「Are You Experienced」です。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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