トラヴェリング・ウィルベリーズ:スーパーグループのメンバーを1人ずつ見ていく

奇跡のスーパーグループと言っても過言ではないトラヴェリング・ウィルベリーズ。そのメンバーはボブ・ディラン、ジョージ・ハリスン、トム・ペティ、ロイ・オービソン、ジェフ・リンという音楽の歴史上まれに見る活躍をしてきた5人でした。そんなトラヴェリング・ウィルベリーズ誕生前の5人の活躍を見ていきましょう。

トラヴェリング・ウィルベリーズのメンバーは、とても豪華。

  • ジョージ・ハリスン(元ビートルズ)
  • ロイ・オービソン
  • ボブ・ディラン
  • ジェフ・リン(エレクトニック・ライト・オーケストラ)
  • トム・ペティ(トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ)

の5人です。

ロックが好きな人なら全員の名前を知っているかもしれません。また、ミュージシャン名を知らなくても「あっ、この曲は聴いたことある!」という人がほとんどでしょう。そのくらい有名なミュージシャンたちの集団なのです。

ここではスーパーグループであるトラヴェリング・ウィルベリーズの最強メンバーについて紹介していきます。

豪華すぎるメンバー

私もトラヴェリング・ウィルベリーズを知った時は、ジェフ・リン以外の名前も代表曲も知っていました。そして彼らの音楽は、伝統的な音楽の中にメンバーそれぞれの個性が詰まっているのが面白いのです。

ジョージ・ハリスン(元ビートルズ)

(Public Domain /‘George Harrison 1974’ by David Hume Kennerly. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

ビートルズは誰もが知っているロックバンドですが、ジョージ・ハリスンはそのメンバーの一人でした。ビートルズではリードギターを担当し、曲中のギターソロは彼によるものが多いです。

しかし、ビートルズといえばジョン・レノンやポール・マッカートニーという最高のフロントマンがいたために、彼が目立つことはあまりありませんでした。「静かなるビートル」とも呼ばれるようになるほど、ビートルズの中でも影の存在というイメージだったのです。

頭角を表すにはジョンやポールとは違ったことをしなければならないと考えていたジョージは、ビートルズのサウンドにシタールなどのインド楽器を取り入れました。ビートルズの有名な楽曲「Norwegian Wood」は、ロックで初めてシタールが使われた楽曲としても有名です。

また、ミュージシャンとの交流も盛んに行なっていました。特にエリック・クラプトンとの親交は深く、ビートルズのセッションに参加させたこともあります。

彼は目立たない存在だったかもしれませんが、ビートルズ解散後はメンバーの中で最も音楽的な成功や功績を残した人物です。解散後にリリースした「All Things Must Pass」は、ロックの歴史に名を残すようなアルバムになりました。

彼の功績はロック界にインド音楽の要素を取り入れたことや、シンセサイザーが登場してすぐに楽曲に取り入れたことでしょう。またインド音楽との繋がりが深いこともあり、シタール弾きのラヴィ・シャンカールの要請でチャリティー・コンサートを主催しています。

このチャリティー・コンサートは、バングラデシュ・コンサートと呼ばれ、ロック界で初めての大規模なチャリティー・コンサートになりました。トラヴェリング・ウィルベリーズの中ではリーダーのような立ち位置で、バンド結成のきっかけを作ったのも彼。2001年に病気のため死去しています。

〈名曲〉

  • 「Something」(ビートルズ)
  • 「My Sweet Lord」
  • 「Got My Mind Set On You」

ロイ・オービソン

(Public Domain /‘Roy Orbison 1965’ by MGM Records. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

ロイ・オービソンはメンバーの中でも最も年長、ビートルズが人気絶頂だった頃よりもひと世代前に人気を博したミュージシャンです。レコード・デビューは1955年とかなり昔のミュージシャン。愛称はThe BIG O(ビッグ・オー)です。

トラヴェリング・ウィルベリーズの他のメンバー皆が尊敬するミュージシャンという立ち位置だったのも面白い部分です。彼の名前を知らない人も多いかもしれませんが、そんな人でも絶対に知っている曲があります。

それが映画「プリティ・ウーマン」の主題歌となった「Oh, Pretty Woman」。あのメロディーと滑らかな歌声が美しいですよね。彼の特徴は美しく滑らかなファルセットを巧みに操るところです。その後のミュージシャン、特にボーカリストには多くの影響を与えました。

50年代後半は、ロックンロールが主流の時代でした。デビュー当時は「Oh, Pretty Woman」のようなポップソングだけでなく、ロックンロールやロカビリーをあの美しいファルセットで歌っていたため、人気も高かったとか。1987年にはロックの殿堂入りを果たし、その翌年にはトラヴェリング・ウィルベリーズのメンバーとして活動しました。

しかし、1枚目のアルバムが発売されてすぐ、心筋梗塞のため死去。トラヴェリング・ウィルベリーズが人気になることを知る前に、52年という短い生涯に幕を閉じたのです。

〈名曲〉

  • 「Oh, Pretty Woman」
  • 「Blue Bayou」
  • 「You Got It」

ボブ・ディラン

ビートルズと同じ1962年にデビューしたボブ・ディラン。「ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」では、ビートルズに次いで2位を獲得しています。フォークソングを弾き語り、デビュー当時は「フォークの貴公子」として人気を博しました。ライブ中いきなりエレキギターでロックを弾き、賛否両論を巻き起こすなどの伝説も持っています。

彼は2016年にはノーベル文学賞をミュージシャンとして初めて獲得しました。しかし、功績はこれだけにとどまりません。ロックの殿堂入りはもちろん、グラミー賞やアカデミー賞、ピューリッツァー賞まで獲得しています。また大統領自由勲章も獲得し、音楽だけでなく文化的な功績まで認められた素晴らしい人物なのです。

ウディ・ガスリーなどのフォークソングをアメリカ全土に再び流行らせたとして、フォークソングに名を残すような曲を多く残しています。「風に吹かれて(Blowin’ In The Wind)」や「時代は変わる(The Times They Are a-Chaing’)」などはメッセージ性も強く、フォーク色の強い曲です。

そして批判が高まる中、エレキギターを使ったロックサウンドでも人気曲を連発。「Like A Rolling Stone」は「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」で1位となっています。

そんな彼もトラヴェリング・ウィルベリーズに参加していました。特徴的な歌声が印象的ですね。

〈名曲〉

  • 「風に吹かれて(Blowin’ In The Wind)」
  • 「Like A Rolling Stone」
  • 「時代は変る(The Times They Are a-Chaing’)」

ジェフ・リン(エレクトリック・ライト・オーケストラ)

ジェフ・リンという名前は聞いたことなくても、エレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)というバンド名は聞いたことある人もいるのではないでしょうか。エレクトリック・ライト・オーケストラはあまりにも曲が売れたため、ギネスブックにも認定されたバンドなのです。

このバンドのフロントマンとして活躍したのが彼。エレクトリック・ライト・オーケストラのデビューは1971年、この当時人気を博していたロックはプログレッシブ・ロックでした。そのためエレクトリック・ライト・オーケストラにもこの要素が練りこまれています。

初期はバイオリンなどのストリングスを中心としたサウンドだったため、かなり特徴的な印象が見受けられます。現在では「Jeff Lynne’s ELO」という名義で彼のソロバンドと化しています。

エレクトリック・ライト・オーケストラのほとんどの曲はジェフ・リンにより作られたもの。アルバムは彼によってプロデュースされました。このプロデュース経験が様々な大御所のミュージシャンにも生かされています。

トラヴェリング・ウィルベリーズではアルバムのプロデュースをしたという一面もあり、ジョージ・ハリスンのソロ作品、ポール・マッカートニー、リンゴ・スターなどのプロデュースも行いました。また熱狂的なビートルズファンとしても有名で、ビートルズ・アンソロジー・プロジェクトでは新曲のプロデュースもつとめました。

〈名曲〉

  • 「Mr. Blue Sky」
  • 「Twiling」
  • 「Don’t Bring Me Down」

トム・ペティ(トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ)

トラヴェリング・ウィルベリーズでは最も若く、イケメンなトム・ペティ。楽曲中でも多くのボーカルパートを任されている印象です。彼は、マッドクランチというバンドでデビュー。この時はギターでなくベースを担当していました。これをきっかけに、トラヴェリング・ウィルベリーズでもギターだけでなくベースを弾くこともありました。

(Public Domain /‘Tom Petty and the Heartbreakers 1977’ by ABC/Shelter Records. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

マッドクランチ後はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズというバンドを結成し、人気を獲得していきます。彼はアメリカ出身で、白人の労働者階級の心情を歌った歌詞が人気でした。しかし当初、アメリカではほとんど売れず、イギリスで先に人気が爆発し世界的に有名になったのです。

その特徴的な歌詞とどんな人でも関係なく包み込むような歌声が聴きやすく、身にしみます。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが有名になってからトラヴェリング・ウィルベリーズに参加します。

トラヴェリング・ウィルベリーズのアルバムをリリースした翌年、彼はソロ名義でアルバムを発表します。これが大ヒットとなった「Full Moon Fever」というアルバムです。ジェフ・リンはプロデューサーとして参加し、ザ・ハートブレイカーズやトラヴェリング・ウィルベリーズのメンバーもアルバムに参加しています。

このアルバムは、ソロでありながらもとても豪華です。飽きのこない完成度の高いアルバムです。また、トム・ペティは2017年に鎮痛剤の過剰摂取により亡くなっています。

〈名曲〉

  • 「Free Fallin’」
  • 「I Won’t Back Down」
  • 「Refugee」(トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ)

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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