イタリア・ヴェネツィア:現代を彩る水の都

地中海に寄り添うヨーロッパの国イタリア。そんなイタリアでも屈指の美しい街並みを誇る街が「ヴェネツィア」です。古くから水の都として栄えたイタリア北東部の街。「アドリア海の真珠」とも呼ばれるエレガントな街の佇まいは、さまざまな名所を持つイタリアのなかでも、ひときわ輝くものだといえるでしょう。そんな水の都ヴェネツィアの魅力を紹介していきましょう。

美しい水の都「ヴェネツィア」

イタリア、ヴェネト州の州都にあたる「ヴェネツィア(Venezia)」。人口は約26万人。イタリアの細長い国土のなかでも北東に位置し、美しいアドリア海に面しています。ヴェネツィアはその街並みから、歴史上さまざまな名前で親しまれてきました。「水の都」「アドリア海の真珠」「アドリア海の女王」などの別名は、ヴェネツィアの美しさを象徴するものだといえるでしょう。

アドリア海の最深部に位置するヴェネツィアの街は、ヴェネツィア湾にできたラグーンの上に建造されています。ラグーンとは、砂やサンゴ礁によって区切られた浅瀬のこと。不安定な地盤を安定させるため、ヴェネツィアの土台には多くの丸太が使われているといいます。丸太の多さから「ヴェネツィアを逆さにすると森ができる」といわれるほど。

水の都の名前通り、縦横に運河が巡っています。街のなかは自動車が入れないほど入り組んでいるため、車の使用もされていないのだとか。ヴェネツィアで主になる移動手段は「船」なのです。警察や救急を要する非常事態にも、同様に船を用いているそう。また船は、ヴェネツィアの観光用としても重要な役割を果たしています。

古くから街中の輸送を担っていた「ゴンドラ(Gondola)」は、少人数用のボートのこと。現在は世界中から訪れる人たちの、観光目的のひとつにもなっています。網の目のように張り巡らされた水路を行き来するたくさんのゴンドラ。美しい街並みに映えるその風景は、水の都ヴェネツィアでしか目にすることができないでしょう。

1987年にはユネスコ世界遺産「ヴェネツィアとその潟」として登録され、世界的にヴェネツィアの名前は知られるようになりました。452年から続く長い歴史のなかで、さまざまな変遷を重ねた水の都。歴史の名残を色濃く残すヨーロッパの街並みは、今日も世界中から訪れる多くの人の心を掴んで離しません。そんなヴェネツィアの見所を紹介していきましょう。

ヴェネツィアを支える大運河「カナル・グランデ」

「カナル・グランデ(Canal Grande)」は、ヴェネチアに流れる150以上の運河の中でも最大の運河です。街のメインストリートともいえるでしょう。

カナル・グランデはヴェネツィアを大きく2分するように流れており、上空写真を見ると見事にS字型にカーブしています。美しいオレンジ屋根の街を隔てる大運河。その大きさは圧倒的なものです。

カナル・グランデから見ることができるヴェネツィアの街並みは「圧巻」の一言。地上から見ただけではわからない、水の都の魅力を存分に感じることができるでしょう。運河に沿うように美しく並んだ街の風景は、一見の価値ありです。

カナル・グランデの水上クルーズは、公共の水上バス「ヴァポレット(Vaporetto)」を使うのが定番のよう。

優雅に楽しむのであれば、ゴンドラで水上クルーズを楽しんでみるのもよいかもしれません。ヴァポレットに比べて少しお値段はかかりますが、よりリッチな水上体験をすることができます。ゆらゆらと揺れる水面からの眺めは、まるでファンタジーの世界に迷い込んだよう。贅沢な時間を独り占めできる、最高のときを過ごしてみてはいかがでしょうか?

カナル・グランデにかかる4つの橋もヴェネツィアの見所のひとつ。「リアルト橋」「スカルツィ橋」「アッカデーミア橋」「ローマ広場歩道橋」はどれもデザインが異なり、それぞれの特色があります。水上クルーズの際には、ぜひこれらの橋にも注目してみてください。水の都を体感するにはやはり水の上が一番です。滞在中一度はカナル・グランデでの水上クルーズに参加してみてください。

世界一美しい神聖な広場「サン・マルコ広場」

「サン・マルコ広場(Piazza San Marco)」は「世界一美しい広場」とも呼ばれる、ヴェネツィアを代表する名所です。大理石をふんだんに使った広場の外観はとても美しく、澄んだ快晴の日には空との色のコントラストに心奪われることは間違いないでしょう。ヴェネツィア共和国の政治や文化が栄えた場でもあり、別名「海からの玄関」とも呼ばれています。

サン・マルコ広場の海に面した部分、通称「サン・マルコ小広場」の入り口には2本の柱が建てられています。そして、これらの柱のうちひとつの装飾には「有翼の獅子(Leone di Venezia)」が。有翼の獅子はヴェネツィアの守護聖人であり、広場の名前の由来にもなっている、「福音記者聖マルコ」を象徴したシンボルです。

また、ヴェネツィア共和国の国旗にも有翼の獅子は用いられています。広場の玄関に置かれた細工の美しさが光る彫像は、これまでもこれからも街を見守る「守り神」のような存在です。サン・マルコ広場には小広場の他にも、宮殿や博物館などの見所が満載。夜には広場全体がライトアップされた幻想的な風景を目にすることもできるでしょう。

広場にそびえる大鐘楼「サン・マルコの鐘楼」

「サン・マルコの鐘楼(Campanile di San Marco)」は、サン・マルコ広場を、そしてヴェネツィアを彩る高さ98.6mの大鐘楼です。下の部分はシンプルなレンガ造り。単独でそびえるその堂々とした姿に、圧倒されること間違いありません。鐘は合計で5つあり、上部についた鮮やかな緑の尖塔はヴェネツィアに滞在中、何度も目にすることになるでしょう。

サン・マルコの鐘楼が初めて建てられたのは9世紀。その後幾度かの改修が加えられ、現在の姿になったのは1514年のことです。しかしその後もたびたびの危機に直面、鐘楼は崩壊してしまいました。崩壊後の1912年には再建され、現在は堂々とした荘厳な姿を保っています。

サン・マルコの鐘楼は世界中の建造物にも大きく影響を与えています。ホテルや庁舎、タワーなど、さまざまな建造物のデザインに反映されているのです。その美しく、優美な存在感は他の建造物にはないもの。水の都を彩る鐘楼には、世界からの注目が集まっているのです。ぜひ荘厳な鐘の音と、そびえる鐘楼の姿を併せてご覧になってみてください。

聖マルコを祀る場所「サン・マルコ寺院」

サン・マルコ広場に面する、圧倒的な存在感を放つ建造物が「サン・マルコ寺院(Basilica di San Marco)」です。サン・マルコ寺院は、福音記者聖マルコを祀るために建造された大寺院。名前に「大聖堂」と冠してはいませんが、実質的にヴェネツィア最大の大聖堂として知られています。寺院が建造されたのは1090年代のこと。その後幾度もの改修を重ねてきました。

サン・マルコ寺院では無数に施されたモザイク画や彫刻、彫像を目にすることができます。それらの多くは聖人がモチーフになっているもの。寺院正面の頂上には神々しさを纏った「聖マルコ」の彫像と、金色に輝くヴェネツィアの象徴「有翼の獅子」の彫像が飾られています。また、鮮やかなモザイク画の数々も見ものです。

外観にエキゾチックな香りが残るサン・マルコ寺院は「ビサンディン様式」によって建造されています。しかし過去たびたび改修の名残からか、寺院の造りのなかにはロマネスク様式やバロック様式、ルネサンス様式が見受けられます。荘厳な雰囲気を漂わせている神聖な建物には、過去数百年にも及ぶ歴史の流れが確かに残されているのです。

ヴェネツィアにかかる白い巨象「リアルト橋」

ヴェネツィアを隔てる大運河「カナル・グランデ」にかかる4つの橋。そのうちのひとつが「リアルト橋(Ponte di Rialto)」です。リアルト橋は別名「白い巨象」とも呼ばれています。その別名通り、白く美しい外観の橋は全長48m、幅22m。長年ヴェネツィアに住む人々の往来を助けながらも、ヴェネツィアの街の見所としても有名な大橋です。

リアルト橋の原型が建造されたのは13世紀。建造当初は木造の跳ね橋でした。リアルト橋周辺はヴェネツィアのなかでも最も栄えた場所となり商業の中心地として発展します。当時は「富の橋」とも呼ばれ、街の人々から親しまれていました。大きな運河を横断する豪奢(ごうしゃ)な橋には、たくさんの人々が集まるようになっていたのですね。

しかしその後さまざまな被害に直面します。火災にあったり、集まったパレードの観覧客の重さで崩壊してしまったり。後の16世紀には大理石の橋に架け替えられ、現在ではその美しい姿を保っています。リアルト橋はヴェネツィアのなかの貴重な遺産。世界遺産の構成要素のひとつとしても、ヴェネツィアの存在を支えています。

幅22mにも及ぶ巨大な橋。内部はアーケードになっており、さまざまな雑貨やお土産、鮮やかな「ヴェネツィアン・マスク(Venetian Mask)」などを目にすることができるでしょう。発展を重ねた水の都を今も支える歴史ある橋「リアルト橋」。その美しくもたくましい佇まいは、ヴェネツィアの街のなかでも必ず見ておきたい名所といえるでしょう。

アドリア海の真珠、ヴェネツィアで優雅なひと時を

圧倒的に美しい街並みと特徴的な船での往来。ヴェネツィアでの体験はあなたの胸のなかに長く残る、貴重で鮮やかな思い出となるでしょう。アドリア海に愛される街ヴェネツィアは、多くの見所が点在するイタリアのなかでもひときわ輝くスポットといえます。海に浮かぶように広がるヴェネツィアの絶景を、ぜひあなた自身の目でご覧ください。

ヴェネツィアへのアクセスは「マルコ・ポーロ国際空港(Marco Polo International Airport)」から。空港からはヴァポレット(水上バス)も出ているようなので、乗って向かうことをオススメします。運河が巡る神秘の街ヴェネツィア。優雅でゆったりとした時間が流れるイタリアの楽園へぜひ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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