インド・ケララ:インドの歴史的貿易拠点

南アジアの国であるインド。そんなインドで古くから貿易で栄えた土地として有名な場所が「ケララ」です。インド半島の南西部に位置するケララは、海外との重要な交易拠点として発展を遂げてきました。ケララに広がる街の風景や、歴史の名残、風土の特徴を反映した料理の数々は、世界中から訪れる多くの人々を魅了し続けています。インドと海外の架け橋ともいえるケララの魅力を、たっぷりと紹介していきます。

インドの貿易拠点「ケララ」

南インドに位置する「ケララ(Kerala)」は、南北に長く伸びた細長い地形を有するインドの主要な州のひとつ。北にはカルナータカ州、東にはタミル・ナードゥ州、西には雄大なアラビア海が広がっています。その海に面した土地から、貿易上の重要な拠点として発展を遂げてきました。インド香辛料貿易の中心地ともいえます。

1498年にはポルトガル人が上陸。以降ケララはヨーロッパの国々との貿易を重ねてきました。広大なインドのなかにあり、ケララが果たした歴史的な役割はとても大きなもの。かつての名残から、街並みにはヨーロッパの香りを感じるところも多く、現在は多文化が共生している街としても知られています。また、海運業や造船業も盛んです。

また、インドの伝統医学である「アーユルヴェーダ(Āyurveda)」発祥の地としてもその名を馳せています。アーユルヴェーダの考えが根底に持つ「医食同源」は、ケララの街に点在するさまざまな施設からも感じることができるでしょう。ケララの地から発信されている文化は、大国であるインドの姿にも大きく影響を与えているのです。

インドのなかでもとりわけ寿命が長く、公衆衛生度の高さも評価されているケララ州。その評価の高さから、過去にはWHO(世界保健機関)やユニセフからの表彰も受けています。長い歴史が紡いできた功績や実績は、その土地や街のなかに確かに息づいています。

ケララに残る歴史の風景「コーチ」

ケララのなかでもひときわ名の通った街が「コーチ(Kochi)」。コーチは特に歴史の深い街です。14世紀から香辛料の貿易拠点として発展を遂げた街中には、ヨーロッパのような雰囲気も残ります。ケララの発展はこのコーチから始まったといっても過言ではないでしょう。インドのなかでも主要な都市のひとつとされています。

コーチは大きく3つのエリアに分かれています。そのなかでも特に注目を集めるエリアが「フォート・コーチ(Port Kochi)」。大航海時代の名残を色濃く残した街並みや、コロニアル様式の建物は一見の価値ありです。フォート・コーチにはアートギャラリーも豊富にあるため、芸術鑑賞に時間を割いてみるのもよいでしょう。

インド最古の教会、「聖フランシス教会(St.Francis Church)」は、1503年にポルトガルの宣教師によって建造された歴史ある建物。この教会ではヨーロッパからインドへの航路を開拓したとされる冒険家「ヴァスコ・ダ・ガマ(Vasco da Gama)」の葬儀も行われました。歴史的にも重要な、コーチに残る遺産です。

他にも、街並みには1568年に建造された「シナゴーク」と呼ばれるユダヤ教の教会やオランダの邸宅など、さまざまな建造物が残されています。インドのなかで感じるヨーロッパの香り。フォート・コーチエリアでは、多様な文化が入り混じるインドの歴史の一端を十二分に知ることができるでしょう。

迫力の漁業、「チャイニーズ・フィッシング・ネット」

「チャイニーズ・フィッシング・ネット」は、その名の通り中国から伝わったとされているコーチ独特の漁業の方法。10mにも及ぶ大木についた網を海に落とし、数分後に引き上げるというなんともシンプルな手法ですが、小型〜中型までさまざまな種類の魚が獲れるのだそうです。ダイナミックな漁の風景は一番の見所といえるでしょう。

漁が行われている場所のすぐそばには、獲れたての魚を販売しているマーケットがあります。魚はその場で揚げてくれることもあるそうなので、気になる方はぜひ挑戦してみてください。
思いがけない美味な魚に出会うこともあるかもしれませんよ。

「チャイニーズ・フィッシング・ネット」の大掛かりな装置は、夕暮れ時になるととても幻想的な雰囲気を醸し出します。オレンジ色に染まるいくつもの大きなネット。その絵になる風景は、ケララの旅で長く心に残る思い出深いものになることでしょう。

ケララ発祥の伝統医学「アーユル・ヴェーダ」

世界三大伝統医学のひとつに数えられる「アーユルヴェーダ」。インドの伝統医学として世界的にも有名なアーユルヴェーダは、ケララが発祥といわれています。病気に対してのみでなく、人生全般に渡る知恵が詰まったインドの伝統医学。その知恵のなかには生命の科学や哲学も含まれており、世界でもたくさんの人々がその知恵に関心を寄せています。

紀元前5世紀〜6世紀ごろまでに、アーユルヴェーダの知識は体系的にまとめられていたといいます。ケララには、そんなアーユルヴェーダの考えを取り入れた施設が充実しています。手軽に行けるクリニックをはじめとして、長期の滞在を想定したスパ施設、広大なリゾート施設などが点在。アーユルヴェーダを活用した一大文化を形成しています。

ケララにはアーユルヴェーダの品質を保証する認定制度が存在します。最上級の施設には「グリーンリーフ(Green Leaf)」、それに準じたものは「オリーブリーフ(Olive Leaf)」とされているので、これらの認定を施設選びの基準にするとよいでしょう。数日間の滞在で心も身体も美しく。アーユルヴェーダ発祥の地でゆっくりと自分に向き合ってみるのもよいのではないでしょうか。

身も心も癒される至福のひと時を、ボートクルーズで

ケララの主要都市「コーチ」から約2時間。バックウォーター(水郷地帯)は、100以上の川と入江が存在するエリアです。その中心にあるのが「クイロン(Quilon)」と「アレッピー(Alleppey)」。これらの街から運行するボートクルーズが、ケララ滞在のハイライトになることは間違いないでしょう。乗ることができるボートの種類もさまざまです。

半日ほどで運河を巡る遊覧船から、ボート上に宿泊施設を備えた「水上ホテル」まで、他の場所では味わうことのできない、印象的な時間を過ごすことができるでしょう。もちろんキッチンやトイレも付いているため、滞在中に不便を感じることはありません。地元の人々の生活を目にしたり、テラスでインド名産の紅茶をたしなんだりと多くの経験をすることができます。

古く大航海時代には、香辛料貿易を支えたインドの船。その後、米の搬送用へとその役割を変え、現在では世界中からケララの土地へ訪れる人たちを楽しませています。大自然の移ろいを感じながら過ごす船上での時間はまさに贅沢そのもの。ぜひあなたの五感すべてをフル活用して、至福のひと時を楽しんでみてくださいね。

ケララの魅力は食にあり

インドといえば「カレー(Curry)」を思い浮かべる人も多いでしょう。インドのカレーのバリエーションは数知れないほどです。

ケララでは、新鮮なシーフードとココナッツミルクをふんだんに使ったフィッシュカレー「ミーンモイリー」が有名です。魚介の旨味と、ココナッツの甘さがクセになることでしょう。

他にも、軽めに食べられる「ティファン(Tiffin)」もオススメ。ティファンとは軽食を意味する言葉で、米粉や豆粉を使ったドーナツやクレープなどがその代表。これらを「サンバル」と呼ばれるインドの定番料理と合わせていただきます。ちょっとしたスキマ時間につまめるティファンは、ケララの味を知る絶好のメニュー。ぜひ試してみてください。

インド発展の架け橋「ケララ」

歴史的にもインドの発展に大きな役割を担ったケララ。その土地のなかには長い歴史の名残や、多様な文化が色濃く残されています。また、インドの伝統医学である「アーユルヴェーダ」を身近に体感することもできるでしょう。雄大なアラビア海に面したケララには、さまざまな見所や体験が溢れています。ぜひ、次の旅ではケララを訪れてみてください。

ケララへのアクセスは「コーチ(コーチン)国際空港(Cochin International Airport)」から。空港はコーチ中心から、約30kmの距離です。空港から市街への移動はバスが便利土地に溢れた魅力、その真髄を知るためには、あなた自身で体感することが不可欠です。ケララの歴史に浸る旅。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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