マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン:シューゲイザーの開祖

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインは、アイルランドで結成されたロックバンド。甘いボーカルと力強い独特なギター音で奏でるシューゲイザーというスタイルで、独自の世界観を広めたバンドです。

イギリスは数々の音楽の誕生地。その中でも近年再注目を浴びているのが、シューゲイザーです。1980年後半に登場したロックの一種で、甘いボーカルと独特な奏法で演奏する轟音ギターがマッチして、もはや芸術とも呼ばれている音楽です。

この音楽を確たるものにしたバンドが、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(以下MBV)。彼らは1980年代に登場し、イギリス音楽界に衝撃を与えました。そんな彼らの活動と魅力を詳しく紹介していきましょう。

1.マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの略歴

まずは、MBVについての詳しい略歴を紹介していきましょう。これを見れば彼らの軌跡を知ることができます。

1-1.MBV結成

MBVは1984年に結成。デイブ・コンウェイとティナ・ダーキンのツインボーカルで、男女混成の甘い声を特徴としていたバンドでした。しかし、当初は男女ツインボーカルが特徴というだけで、それ以外は音楽性に大した特徴はありませんでした。デイブとティナが脱退した後ケヴィン・シールズがボーカルを務め、ビリンダ・ブッチャーが加入すると、流れが大きく変化していきます。

1-2.音楽の方向転換

当初からの売りでもあった甘い男女混成のボーカルはそのままにしながらも、そこにサンプラーやエフェクターを使用し、ディストーションを高めた魅惑的かつ幻想的なサウンドを創るようになりました。

新しい音楽の模索をした上でたどり着いた作品「ラヴレス」を1991年に発表後、独創的なサウンドは彼らを有名にするだけでなく、甘いボーカルと力強い轟音のギターが特徴の「シューゲイザー」という音楽を確立させます。この「ラヴレス」は多くのアーティストに影響を与え、今もMBVに影響されたアーティストたちが多く活躍をしています。


1-3.活動休止

代表作となった「ラヴレス」を発表後、レコード制作に莫大な費用がかかってしまったことから、MBVは活動をしばらく沈黙することになります。ライブ活動もやめてしまい、彼らは新しい作品を世に発信することはありませんでした。

1-4.再評価されるMBV

2008年、活動を再開。新しい音楽を制作するのではなく、従来の音楽をより高度なものにして世に出すということでライブに力を入れました。その理由は「ラヴレス」の音楽性にあります。当時のサウンドでは表現できなかったことを最新の技術を使えばさらに発展させることができると確信していた彼らは、シューゲイザーに力を入れます。現在はアルバム「ラヴレス」の曲を中心に音楽を展開しています。

昔に比べて技術が向上したため、轟音の演奏もより激しいものへ変化させることができるようになりました。その結果、最近のライブでは自ら耳栓を配るなどして、彼らの音楽がいかに強烈なのかをアピールしています。今後の活躍も楽しみなアーティストです。

2.マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのジャンルと曲調

MBVの音楽性についてより詳しく紹介していきましょう。特にシューゲイザーと呼ばれる音楽はどのようなものか、詳しく掘り下げていきます。

2-1.シューゲイザーとは

シューゲイザーは、囁くように歌いあげながらもフィードバックノイズやエフェクターを駆使したサウンドが特徴です。もともと男女混成のボーカルであったMBVには、このロックのサウンドがぴったりマッチしていました。

1990年代に盛んになったこの音楽は、音響効果がシューゲル・アインシュタインの発明した音響装置に似ていたためシューゲイザーと名付けられました。

そしてこのシューゲイザーを世に広めたのがMBV。彼らによって、シューゲイザーは当時のイギリスのインディーバンドでは主流になっていました。しかし、2000年代になると「ダサい」ということから一時衰退してしまいます。2010年代になってから近代的なテクノミュージックが流行し始めると、シューゲイザーも息を吹き返し、再評価をされるように。それに伴い、シューゲイザーを世に広めたMBVも再評価されるようになったのです。

2-2.ライブの特徴

らのライブパフォーマンスにはある特徴があります。それは、PA機器を多数駆使して演奏をすること。他のバンドに比べてたくさんのPA機器を使用するため、音響スタッフも調整が大変という声もあります。

多くのPA機器、最新の技術を駆使することで、当時以上のサウンドを再現することに成功。当時からMBVをよく知るファンからは、当時以上のサウンドが聴けると高評価を得ています。彼らの音楽に憧れ、シューゲイザー専門のフェスも世界各地で行われています。

3.マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのおすすめ曲3選

MBVの曲はどれもシューゲイザーを巧みに扱っている曲ばかり。その中でも、彼らの代表作「ラヴレス」から抜粋して、これぞMBVという曲を3曲紹介します。ぜひ参考にしてください。

3-1.IOnly Said

「ラヴレス」に収録されているこの曲は、前の収録曲と合わせて聴くのがおすすめ。曲のつなぎ目がわからないままこの曲につながっていきます。いつのタイミングで曲が変わったのかよく分からなく、気持ちよく曲が移り変わるのが特徴です。

また、曲中にはシンセサイザーを多用。中毒性があるため、一度聴いてしまうと何度も聴きたくなってしまう曲です。

3-2.Sometimes

映画「ロスト・イン・トランスレーション」の挿入歌としても使用された曲。温かみのあるボーカルとノイジーなギターが特徴です。映画ファンであれば、他の曲を知らなくてもこの曲を聞いたことがあるのではないでしょうか。

3-3.Blown A Wish

他の曲に比べて、ボーカルが強めの曲を聴きたい方にはこの曲がおすすめ。ボーカルと美しい音色を奏でるギターがマッチした曲であり、虜になってしまう曲の1つであるといえるでしょう。

4.マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの沈黙期間

MBVはラヴレスを発表後、しばらく沈黙期間をとります。

休止中はメンバーそれぞれが音楽活動を行っていました。ビリンダはヒップホップユニットに、デビーは、Snowponyのベーシストとして、それぞれ培ってきた経験を活かし音楽活動を展開してきました。

特に目立った活躍をしたのがケヴィン・シールズ。ケヴィンはベーシストとしてさまざまなバンドのサポートメンバーとして活動し、楽曲提供にも力を入れました。先述の「ロスト・イン・トランスレーション」の劇中の音楽はブライアン・レイツェルと共同で制作・担当し、サントラも発売。この音楽は多くの映画ファンを魅了しました。

活動休止期間中もそれぞれが音楽に打ち込んでいたからこそ、再開しても当時のような力強いパフォーマンスをすることができたといえるのではないでしょうか。

5.まとめ

MBVはイギリスのインディーズ界を代表するバンドであり、近代音楽を発展させた中心的なバンドです。また、彼らは世界各国を回って音楽活動を繰り広げているため、今後も彼らの音楽に触れ合うチャンスは多くあるでしょう。機会があれば彼らの力強い音楽に触れてみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧