フェデリコ・フェリーニ:世界を魅了した映画監督

(Public Domain /‘Federico Fellini NYWTS 2’by Walter Albertin. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

20世紀に一世を風靡した、国際的な映画監督の代表の一人、フェデリコ・フェリーニ。多数の映画作品を世に出しました。昨今でもよく聞かれるような名言も多く残しており、特に有名なものには「この世で役に立たないものは何ひとつない」という言葉があります。

有名な映画監督だったフェデリコ・フェリーニとはどんな人物だったのでしょうか。また、名言を残す彼はどんな作品でデビューし、どういった作品を生み出してきたのでしょうか。

世界を魅了した監督、フェデリコ・フェリーニについて詳しくご紹介していきます。

1.フェデリコ・フェリーニとは?

(Public Domain /‘Federico Fellini’by Italiamia. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

フェデリコ・フェリーニはイタリアの映画監督で、イタリアのみならず、世界の映画界で有名な人物です。リミニで生まれ、絵描き等をして働いていましたが、ラジオ等の台本書きを経て映画の世界に入り、映画監督になりました。ネオアリズムの脚本への参加をきっかけに助監督となり、アルベルト・ラットゥアーダとの共同監督というかたちでデビューを果たしました。

第5作目の「道」という作品が国際的に有名になり、この作品に出ているジュエリッタ・マシーナと結婚。彼女はその後、多くのフェデリコ作品に出演しています。

1960年に監督作品「甘い生活」が、カンヌ映画国際映画祭にてパルム・ドールを受賞。その他にも、「フェリーニのアマルゴルド」でアカデミー外国映画賞等、数々の賞を受賞しました。作品の中の一つである「甘い生活」という題名は、ヨーロッパでも退廃と享楽生活を表したような言葉として大いに流行り、彼の名を広めた作品になりました。

作品の中に彼自身が出演し、真実や嘘を入れながら話し出すというメタ映画というジャンルを定着させた人物でもあります。他にも、監督していない他作品で原案、脚本を製作することもあり、彼が監督や脚本を手掛けたものや出演した作品を含めると、その数は20作以上にのぼります。

映画の新しい作り方に挑戦し続け、【映像のマジシャン】や【魔術師】と呼ばれ評価された映画監督こそ、フェデリコ・フェリーニなのです。

次に、フェデリコ・フェリーニはどんな作品でデビューを果たしたのかを紹介します。

2.フェデリコ・フェリーニのデビュー作

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アルベルト・ラットゥアーダとのダブル監督で製作した作品、「寄席の脚光」がデビュー作。1950年に製作された、白黒で声もないコメディ映画作品です。

簡単なあらすじ:ある劇団の団長が劇団の売り上げをあげようと奮起するが、ある女性にそそのかされ、劇団を裏切ってその女性を売り出す事に躍起になる。なんともいえない間の抜けた感じを持つ団長をメインに話が進んでいく、コメディ映画となっています。

この「寄席の脚光」は、後の作品「8 2/1」の題名にある2/1というフレーズに関係がある作品で、彼の作品のファンであれば観たことがあるという方も多くいます。

単独としての初監督作品は「青春群像」。若者たちの生活を描き出したもう一つのデビュー作といえるでしょう。

3.フェデリコ・フェリーニの作風

(Public Domain /‘Fellini masina delpoggio lattuada 1952’by Unknown author. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

彼はスタジオ内の撮影を好み、景色も自然のものでなく、作られたセットを使っていました。初期は底辺に生きる人々がメインの作風が多いですが、「甘い生活」が放映されてからは自身のイメージを貼り付けていくような作品も多く、自伝的な作品も製作されていました。

映画にはドキュメンタリーな要素もあれば、物語的なファンタジー要素もあります。フェデリコの作風は新しいエンターテイメントとして成立し、いままでになかったような作品が作られていきました。自らの体験すらも映画にし、リメイク作品よりもオリジナル脚本を重視するような彼の作風は、今となってはとても珍しいかもしれません。

最後に、チャレンジ精神旺盛な映画監督、フェデリコ・フェリーニのオススメ映画5作品をご紹介します。

4.フェデリコ・フェリーニのおすすめ作品5選

4-1.「甘い生活」

(Public Domain /‘Dolce vita1’by Unknown author. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

退廃したローマ上流社会について描かれた、イタリアとフランスの合作映画です。

簡単なあらすじ:作家の夢を抱いてローマに出た青年が主人公。華やかな世界で、ゴシップ専門でトップになるも、憧れていた場所は退廃的かつ無気力な雰囲気の場所であった。そこから様々な女性に出会い、より波乱万丈な人生を送っていくという内容です。

バブル景気真っ只中のローマの姿や雰囲気を映像化した作品で、明るさと暗さが相まみえる作品となっています。また、「甘い生活」、「サテリコリン」、「フェリーニのローマ」の三つの作品は「フェリーニのローマ三部作」とも呼ばれています。

さらに、この作品に出演した女優達はみな印象的で魅力あふれる役どころであったため、彼の作品になくてはならない存在になりました。

4-2.「道」

(Public Domain /‘Anthony-quinn-as-zampano’by Trailer screenshot -1956,. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した作品。特に、音楽を担当したニーノ・ノータの音楽がフェデリコの映像とマッチし、完全に溶け合ったようでした。人間の精神や魂について考えさせられる作品のひとつとなっています。

簡単なあらすじ:疑り深くずる賢い大道芸人と、少し頼りなく足りないものが人より多いが、心美しい女性の切なく悲しい人生のストーリー。疑り深い大道芸人と「彼と運命は共にある」と信じ切っていた女性。しかし、彼には裏切られてしまい、最後には涙を誘うような展開が待っています。

ロマンティックかつ悲劇的なストーリーは、世界中で評価されました。女優ジュエリッタ・マシーナの演技は、その女性が実在していたかのように思わせる程。この作品は、フェデリコ・フェリーニの名を世界に轟かせていったのです。

4-3.「81/2」

(Public Domain /‘Nyolcesfel9’by Federico Fellini. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

フェデリコ・フェリーニの経験談などが組み込まれている要素が濃く、彼が愛した女優達や妻、そして映画に対しての沢山の思いがこもった作品です。

簡単なあらすじ:ある一流映画監督のストーリー。主人公の理想とする映像に苦悩していく姿、それ以外にもプライベートでのトラブルなどを描いています。

ノンフィクションのような作品ですが、エンターテイメントとして観ることができ、アカデミー外国語映画賞を受賞するほど素晴らしい作品です。

4-4.「フェリーニのアマルコルド」

(Public Domain /‘タイトル’by 作者名. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

フェデリコ・フェリーニの故郷で今は使われてはいない言葉、エム・エルコルゴという言葉がなまったものが題名になっています。彼にとっても忘れ難い、自伝的映画作品のひとつです。

簡単なあらすじ:15歳を迎える少年の、成長の物語。人それぞれ違いはありますが、一度は通る様々な別れを経験し、成長していく姿が描かれています。

フェデリコ・フェリーニの故郷リミニを舞台としており、誰もが経験したことがあるような出来事が描かれています。彼の思い出を垣間見ることができる作品でしょう。

4-5.「青春群像」

(Public Domain /‘Errix’by Vitelloni al bar. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

五人組のなまけ者たちの人生を描いた、1953年のイタリア映画です。敗戦後間もないイタリアのある町が舞台にされています。

簡単なあらすじ:5人組のなまけ者。生きる目的を持たず、様々な問題を起こす彼らの青春を一人一人のストーリーとして表現した内容です。日々意味もなく暮らしている中、仲間の一人が住み慣れた町から旅たつことを決め、新しい人生の一歩を歩み始めるストーリー。

青春を描いているのですが、甘酸っぱいことや熱血でもない、どちらかというと惨めなところや、楽しくてもふと現実に戻る時を魅せるような作品です。

青春をテーマにしている作品は沢山あります。ですが、この作品は自分もそうなるのかもしれないと思わせるような特異な作品ではないでしょうか。住んでいる国や場所、さらに時代さえ、自分の置かれている状況とは違っていても、どこか共感してしまう。そんな方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

5.まとめ

「映像の魔術師」とも言われた監督、フェデリコ・フェリーニ。心を震わせるような映画を探しているなら、ぜひ彼の世界観を一度覗いてみてはいかがでしょう。

ノスタルジック、コメディ、そしてロマンティックな恋に、心を揺さぶられるかもしれません。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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