クリスチャン・ラッセン:大いなる海を描く幻想の魔術師

※画像はイメージです。

海とイルカを幻想的に描く画家「クリスチャン・ラッセン」は、マウイ島でのサーフィンを通じて海の広大さを知りました。絵画の才能を開花させた彼の絵は世界に広がり、「マリンアートの巨匠」と称されます。美術に留まらない彼の才能は衰えを知らず、今なお活躍の場を広げています。

海をテーマにした絵画を描くことで有名な画家「クリスチャン・ラッセン」。彼がもたらす幻想的で透明感と温かみのある絵画は世界中に多くのファンを抱え、現在も世界中で個展が開かれるほどの人気を見せています。

彼自身も美術に留まらない活動を精力的にこなし、世界中を飛び回る毎日。

そんな彼の経歴や作風を通じ、なぜ海を描き続けるのかを紐解いていきます。

1.クリスチャン・ラッセンと絵画の出会い

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クリスチャン・ラッセンは1956年にアメリカ・カリフォルニア州のメンドシーノに生まれました。幼少期から鉛筆を握り、暇さえあれば絵を描くことに没頭していたそう。母親で画家のキャロル・ラッセンは、息子の描く絵を「まるで百科事典の挿絵のようだった」と語っています。この頃から既に非凡な絵画の才能を発揮し始めていたことが伺い知れます。

11歳の頃、家族でハワイ諸島のマウイ島へ移住。彼がここで出会ったサーフィンは、その後の人生に大きな影響を与えました。圧倒的な広大さ、深さ、そして温かみ。大いなる海からインスピレーションを受け、その目に映った世界と抱いた感動をキャンパスに描き始めました。彼の絵は話題となり、周囲に広がり始めます。

幼少期から育まれた絵画の才能と、マウイの母なる海に抱いた大きな衝動が、その後ラッセンの絵画の根幹となったのです。

ハワイでは有名な画家となった彼ですが、驚くべきことに一度も専門的な絵画の指導を受けたことはありません。全て独学で感じ、学び、描き、その地位を築いていきました。

2.クリスチャン・ラッセンの作風と現代美術における評価

2-1. 臨場感あふれる幻想的な作風

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ラッセンの絵画は一度目にすれば記憶に刻み込まれ、どの絵がラッセンのものか一目でわかる鮮烈さがあります。

躍動感のあるイルカやシャチをモチーフにすることが多く、ハワイの海で泳ぐ姿や月を背景に海面から飛び跳ねる姿など、彼らの生命力を存分に表現する作品が多く見られます。

また、海が持つ生命力を時には大胆に、時には繊細に表現。きらびやかで幻想的な、一見現実離れした表現にも関わらず、鑑賞者には臨場感を与えることから「マリンアートの巨匠」とも称されています。

近年では「ディズニー」とのコラボレーションを行ったことでも話題になりました。クリスチャン・ラッセンが描く幻想的な海を背景にした世界に、ディズニーキャラクター達が登場。ハワイの海の雄大さとディズニーキャラクターが持つファンタジーな世界観が違和感なく融合したその作品達は、新しい彼の魅力と可能性を表現したものといえるでしょう。

2-2. 評価

しかし、美術界からの純粋な美術としての評価は残念ながら意外なほど低く見られているといえます。

美術界には、ラッセンの作品のような大衆がある程度気軽に購入でき、美術史や芸術論を知らなくても楽しめる作品を「インテリアアート」と称して一段低く見て、美術作品としての評価の対象とはしない傾向が往々にしてあります。

商業的に成功しているクリスチャン・ラッセンですが、大衆の評価と美術界の評価には大きな隔たりがあるようです。

3.クリスチャン・ラッセンの絵画の価格相場

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彼の絵画は世界中で販売されており、個人でも購入することができます。

一般的に販売されている絵画は版画で複製されたものであり、複製された手法やサイズ、絵画の人気により変動しますが、比較的安価なものでは1,000米ドル前後から、高額なものでは10,000米ドル前後で購入することが可能です。

また、複製される数は限定されており、複製画にはそれぞれシリアルナンバーともいうべき番号が記されています。122/250とあれば、250枚複製されるうちの122番である、という意味合いです。作品によっては複製数が少ないものもあり、それらは高額になりやすい品と言えるでしょう。

それでも彼の絵画は、1枚数十万米ドルにもなる絵画の巨匠たちの作品と比べれば安価な部類であり、大衆でもちょっと背伸びをすれば手が届く、いわゆる「インテリアアート」に属しています。

前述の通り美術界からの評価は低いですが、世界中にファンが存在し、その作品はぜひ手元に置いておきたいものと切望されています。

4.海を愛するクリスチャン・ラッセンの生涯

クリスチャン・ラッセンは絵画を始めとした芸術作品の制作だけでなく、多種多様な幅広い活動をすることでも知られています。

彼はこれまでの人生の中でどのような活動を行い、何に熱中してきたのかを見てみましょう。

4-1. 美術家としてのクリスチャン・ラッセン

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1976年より作品の発表を開始。海と生命を鮮やかに描くその作風がハワイを中心に話題となっていきます。

海に対する情熱が評価され、1983年には国連の『クリーンオーシャンキャンペーン』のイメージアート≪サンクチュアリ≫を描くこととなります。更には長年の国際貢献が評価され、1992年にこの≪サンクチュアリ≫は国連記念切手に採用されました。1998年には『国際海洋年1998』の公式ポスターを制作し、国際的な評価を着実に高めていったのです。

4-2. 自然保護活動家としてのクリスチャン・ラッセン

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常に自分に恩恵を与えてくれる海や自然に何か恩を返したいという想いから、1990年に環境保護団体「シービジョン財団」を設立。非営利団体として、世界中の自然環境や動物を保護する活動を行っています。シービジョン財団の設立に際し、彼はこう語っています。

“私は、私の芸術を通じて変化をもたらせることを信じている。私はメッセンジャーとして、地球環境の悪化に対する警告と、世界の多様な文化を尊重することの必要性を世界中の人々に伝えていきたい。“

引用:Magic Murals

シービジョン財団での活動を自らのライフワークとし、今も世界中を飛び回っています。
世界規模での芸術活動、環境保護活動に対する貢献に対し、1996年にホノルル市は3月2日を『クリスチャン・ラッセンの日』と制定。その後ネバダ州も『クリスチャン・ラッセンの日』を制定しています。

私利私欲のためではなく、世界のために動き続けてきたクリスチャン・ラッセンが大きな評価をされていくのは、ごく自然な事と言えるでしょう。

4-3. マルチタレントとしてのラッセン

精力的なクリスチャン・ラッセンの活動は芸術だけに留まらず、マルチなタレントとしても多彩な才能を発揮することになります。

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環境保護に対する活動の一環として、映画『I am the Earth』で主人公を演じ、さらに自らポスター制作も手がけています。この活動はユニセフに評価され、推薦映画として抜擢。ニューヨークの国連本部で上映されるという快挙を成し遂げました。

また、音楽活動にも力を入れており、「TURN THE TIDE」というタイトルのCDアルバムをリリースしたことも。海への気持ちを込めて歌い、自身でジャケットのデザインも手掛けた一作は、アメリカや日本で大いに話題となりました。

まとめ

海と自然への感謝を通じて様々な活動を行うクリスチャン・ラッセン。2020年3月で64歳を迎えた彼ですが、その情熱は衰えを知りません。次は何を手掛けてくれるのか、どんなニュースが我々に届くのか、目が離せないラッセンの活躍がとても楽しみです。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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