ウォレスとグルミット:世界的名作クレイアニメの魅力

クレイアニメの代表作『ウォレスとグルミット』。発明家のウォレスと賢いビーグル犬のグルミットが繰り広げるドタバタなストーリーは、見る者を飽きさせません。イギリスで誕生した本作品は世界中から愛されており、シリーズ6作品中3作品でアカデミー賞を獲得する実力派でもあります。また、スピンオフ作品『ひつじのショーン』も有名です。2006年には初の長編アニメが公開されるなど、作品がリリースされるたび注目を集めてきました。

クレイアニメ(クレイ・アニメーション)というアニメーション技術をご存知でしょうか?粘土を使ったコマ撮りの映像は、イラストとも3Dとも違う魅力を放っています。今回ご紹介するのは、クレイアニメの代表作『ウォレスとグルミット』です。作品についてはもちろん、『ひつじのショーン』との関係性やクレイアニメの歴史についてもまとめました。

1.ウォレスとグルミットの概要

1-1.イギリスの名工房によって手がけられたクレイアニメ

ユニークな発明家「ウォレス」と表情豊かなビーグル犬「グルミット」。皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。ポップなキャラクターの見た目に反し、ブラックユーモアが盛り込まれたストーリーで、見る者をハラハラドキドキさせます。

イングランドにある『アードマン・アニメーションズ』のニック・パークが制作し、世界中に熱狂的なファンを抱えることとなりました。

【キャラクター】

ウォレスとグルミットのメインキャラクターは、発明家「ウォレス」とビーグル犬の「グルミット」の二人(一人と一匹)です。

・ウォレス

ユニークでヘンテコな機械を生み出す発明家。自分が作った機械で騒動を起こすも、全く懲りない楽天的な性格です。身の回りの世話から事件の解決まで、賢いビーグル犬「グルミット」に頼りきり。ウェンズリーデール・チーズ(イギリスのヨーク州で作られているチーズ)が大好物です。

・グルミット

発明家「ウォレス」の親友で、我慢強い性格の忠実なビーグル犬。ウォレスにはいつも困らされてばかりですが、ピンチの時は危険を顧みず勇敢に立ち向かいます。普段は4足歩行ですが教養も持ちあわせており、お気に入りの椅子に座って新聞を読むという一面も。言葉を話さない代わりに表情で訴えかけます。

問題を起こしてばかりなのに憎めないウォレスと、そんなご主人を助ける勇敢なグルミット。この設定だけでもなんだかワクワクしませんか?ポップなキャラクターデザインも作品の魅力です。

2.ウォレスとグルミット作品一覧

ウォレスとグルミットシリーズは、2018年時点で6作品公開されています。

・チーズ・ホリデー(1989年)
・ウォレスとグルミット 危機一髪!(1996年)
・ペンギンに気をつけろ!(1992年)
・ウォレスとグルミットのおすすめの生活(1995年)
・ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!(2005年)
・ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢(2008年)

ここでは、デビュー作である『チーズ・ホリデー』をご紹介します。『ウォレスとグルミット』の初作品『チーズ・ホリデー』は、ニック・パークが学生時代(1982年)に制作を開始し、6年かけて完成させた作品です。

ストーリー:恒例のピクニックで大好物のチーズがないことに気づいたウォレスとグルミット。「月はチーズでできている」という話を思い出した二人は、美味しいチーズを求めて手作りロケットで月へ向かいます。しかし、月の番人を怒らせてしまったことから話は思わぬ方向へ。初作品にして月を目指すというスケールの大きさにワクワクします。

3.クレイアニメとは?

クレイアニメ『ウォレスとグルミット』の魅力をお伝えしましたが、そもそも”クレイアニメ”とはなんでしょうか?

3-1.クレイアニメはストップモーション・アニメーションのひとつ

『クレイアニメ(クレイ・アニメーション』は、粘土を用いたストップモーション・アニメーションのことです。ストップモーション・アニメーションは「コマ撮り」とも呼ばれ、1コマごとに被写体を少しずつ動かしながら撮影するアニメーション技法のひとつ。クレイアニメの場合は、主に粘土で作られた人形がテーマになります。

1秒間で何コマもの撮影が必要なため、1本の作品を仕上げるには膨大な時間がかかります。しかし、クレイアニメならではの動きの面白さや大胆な演出など、イラストによる作品とはまた違った魅力があります。

※ウォレスとグルミットで使われている素材は粘土ではなく、プラスティシン(カルシウム塩、ワセリン、脂肪酸を合成して作ったパテ状のもの)です。

3-2.クレイアニメの誕生と人気の秘密

クレイアニメの歴史は1953年にまで遡ります。アート・クローキー作『ガンビー』が世界初と言われており、1974年にはウィル・ビントンとボブ・カーディナーの共作『クローズド・マンディ』が発表されています。この『クローズド・マンディ』がアカデミー賞を獲得したことで、クレイアニメは注目されるようになりました。

3-3.クレイアニメの代表作品

ここではウォレスとグルミット以外のクレイアニメ代表作をいくつかご紹介します。

・快適な生活(制作:アードマン・アニメーションズ)
・チキンラン(制作:アードマン・アニメーションズ)
・タルピー
・ニャッキ!
・ピングー
・カペリート
・ラビーノタウン
・ジャム・ザ・ハウスネイル
・セレブリティ・デスマッチ
・ガンビー

1990年にアカデミー賞を受賞した『快適な生活』もニック・パーク監督作品です。

4.『ひつじのショーン』との関係

4-1.『ひつじのショーン』は『ウォレスとグルミット』から生まれた

ウォレスとグルミットの作品には、しばしば「ショーン」という羊が登場します。”ショーン”という名前にピンときた方もいらっしゃると思いますが、実は『ひつじのショーン』は彼を主役にした作品なのです。(初登場は『ウォレスとグルミット 危機一髪!』)

こちらは1話7分というショートアニメです。

【ひつじのショーン】

普段は4足歩行をしていますが、牧場主の目がないところでは2足歩行で自由に動き回ります。食事はもちろん、趣味やトイレなども人間と同じような生活をおくっています。牧場の羊たちの中ではリーダー的な存在で、事件が起こるとアイディアを駆使して牧場主を欺くことも。

5.ウォレスとグルミットとアカデミー賞

ウォレスとグルミットは、シリーズ6作品のうち3作品でアカデミー賞を獲得しています。

・ウォレスとグルミット 危機一髪! 1996年アカデミー賞短編アニメーション部門最優秀賞受賞
・ペンギンに気をつけろ! 1994年アカデミー賞短編アニメーション部門最優秀賞受賞
・ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ! 2005年アカデミー賞長編アニメ賞

ここでは、初の長編作品でアカデミー賞を受賞した『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』についてご紹介します。

【ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!】

ストーリー:年に一度の「巨大野菜コンテスト」を目指し、街の人が大切に野菜を育てているのを見て、ウォレスは「害獣駆除隊」というビジネスを思いつきます。二人の仕事は大成功を収めますが、正体不明の巨大な”獣”によって巨大野菜が食い荒らされてしまう事態に。二人は無事に謎の獣を捕獲することができるのでしょうか?

初の長編アニメーションながらストーリー展開がテンポよく、またキャラクターの動きも豪快で見る者を飽きさせません。同年のノミネート作品にはティム・バートン監督や宮崎駿監督の作品も並びましたが、それらをおさえアカデミー賞を獲得しました。ちなみに、こちらの作品は5年半という長い歳月をかけて制作されました。

6.まとめ

世界中から愛される、ウォレスとグルミット。その人気の秘密は個性的なキャラクター、そしてピリッと効いたブラックユーモアです。いつもトラブルを起こしながら、二人で解決にむかう姿は、見終わった後清々しい気分さえ与えてくれます。この機会に、クレイアニメの歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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