ブロンディ:ニューヨーク出身の元祖ポップカルチャー

1970年から1980年代にかけて世界中を魅了したデボラ・ハリーが率いたロック・バンド、ブロンディ。ニューヨークをそのまま体現したような艶やかなデボラの魅力と、さまざまな音楽を融合させたポップでキャッチーなメロディは世界中で大ヒットを記録しました。

ブロンディ誕生

デボラ・ハリー、通称デビーは、ウインド・イン・ザ・ウィロウズと言うフォーク・バンドでボーカルを担当していました。1974年にガールズ・バンド、スティレットーズに参加。当時バック・バンドを務めていたギタリスト、クリス・スタインと一緒に新しいバンドを作ることになります。
1975年にはデビーとクリスの他に、キーボードのジミー・デストリ、ドラムのクレム・バーク、ベースのゲイリー・バレンタインを加え、ブロンディが誕生します。
ニューヨークのクラブを中心に活動し、デビーの魅力とポップな曲で徐々に人気を集めていきました。

NY発、世界のブロンディへ

(Public Domain /‘Blondie1977’ by Private Stock Records. Image via WIKIMEDIA COMMONS)

1976年、アルバム「Blondie」でメジャー・デビュー、2年後にはセカンド・アルバム「Plastic Letters」をリリースします。セカンド・アルバムからは、ランディ&ザ・レインボウズの大ヒット曲「Denis」のカバーがスマシュ・ヒットを記録しますが、商業的に大成功したとは言えませんでした。

ファースト・アルバム発表後、ゲイリーが脱退、フランク・インファンテが加入します。その後、実力派バンドであるシルヴァー・ヘッドのベース担当だったナイジェル・ハリスンが加入したことで、フランクはギターにまわることになります。
ブロンディの名前を決定づけたのは、1978年にリリースされた3枚目のアルバム「Parallel Lines」からシングル・カットされた「Heart of Glass」の大ヒットでした。

プロデューサーのマーク・チャップマンの意見から大胆なシンセサイザーを導入。クラフト・ワークばりのリズムにのったこの名曲は、全米1位を獲得します。
このアルバムには、「Sunday Girl」や「Pretty Baby」といったブロンディを代表する曲が収録されており、アルバム自体もアメリカで6位、イギリスでは1位を獲得しました。
勢いに乗ったブロンディは、その後もヒット曲を連発。デビーはロック界のマリリン・モンローと呼ばれ、新しいセックス・シンボルとしてメディアの注目を集めるようになったのです。

解散~再結成へ

多くのバンドがそうであったように、ブロンディも人気が高まるに連れメンバーのストレスも大きなものになっていきます。幾度かのメンバー・チェンジはあったものの、ソロ活動をはさむなどして安定した活動を続けていたブロンディですが、さらなる障害がバンドを襲うことになります。
公私共にデビーのパートナーであったクリスが、難病の自己免疫疾患を発症してしまうのです。
デビーはクリスの看病に集中するため、1982年に解散。
その後クリスの病気は快方に向かい、1997年には再結成が発表されます。
1999年、通算7枚目に当たるアルバム「No Exit」、シングル「Maria」をリリース。イギリスで1位を獲得し、健在ぶりを見せつけました。

その後もコンスタントに活動を続け、2006年にはロックの殿堂入りが認められました。

ブロンディのおすすめアルバム

ブレイクのきっかけとなった3枚目のアルバム「Parallel Lines」は外せないでしょう。初の全米1位を獲得した「Heart of Grass」を始め、良質な楽曲が目白押しです。
翌1979年、前作の大ヒットの勢いをそのままにリリースされた「Eat to the Beat」では、さらにバリエーションに富んだ楽曲をブロンディらしく表現しています。
以降のライブにおけるセットリストの中心となる「Dreaming」や、透明感あふれるデビーの歌声が印象的な「Shayla」、ポップミュージックの王道「Slow Motion」、暗いイントロから一転、デビーが鮮やかに歌い上げる「Atomic」など解散前のブロンディの魅力が一番詰まっているアルバムと言えるかもしれません。

さらに、翌年リリースされた「Auto American」も評価の高いアルバムです。古いミュージカル映画を思わせるような「Follow Me」、60年代の古き良きアメリカを表したような「Here’s Looking at You」、イギリスでNo1を記録した「The Tide is High」、小気味のいいギターのカッティングからデビーの妖しい歌声が響く「Rapture」とこちらも佳曲が目白押しです。

この頃はブロンディとしてもっとも充実していた時期で、どんな曲調であっても自然とブロンディらしく消化しており、アルバムを通して捨て曲のない高い完成度を維持し続けています。

コール・ミー

ブロンディを代表するヒット曲に「Call Me」があります。しかし、この曲は当初アルバムに収録されていませんでした。
現在リリースされているアルバムには「Auto American+3」として「Call Me」を含む3曲が加えられていますが、当初はどのオリジナルアルバムにも収録されていなかったのです。
実は、この曲はブロンディのオリジナルではなく、映画音楽プロデューサーであるジョルジオ・モルダーによって、ポール・シュレイダー監督の映画「アメリカン・ジゴロ」のために書かれた曲でした。
当初は「You Make Loving Fun」や「Don’t Stop」などのヒットで、押しも押されもせぬ人気を誇っていたフリートウッド・マックのボーカル、クリスティン・マクヴィーが歌うことを前提に作られていたのです。
しかし、クリスティンにオファーを出したところ引き受けてもらえず、急遽選ばれたのが「Heart of Grass」のヒットで人気の出始めたブロンディのデビーでした。
また、実際にレコーディングに呼ばれたのはデビー1人で、当初の演奏はブロンディではありませんでした。
わずか数時間でレコーディングが完了した「Call Me」は、その後ブロンディの演奏でバンドを代表する曲となり、彼女たちのキャリアの中で最大のヒット曲となりました。

現代のブロンディ

「No Exit」で復活したブロンディですが、その後も「The Curse of Blondie」「Panic of Girls」など全盛期ほどではありませんが、定期的にアルバムを発表し続けています。
2017年には通算11枚目となる「Pollinator」をリリース。
このアルバムは多彩なゲストが参加したこともあり話題性が高く、アメリカで63位、イギリスで4位と久々のヒットアルバムとなりました。
このアルバムからは、TV・オン・ザ・レディオのデイヴ・シーテックとの共作である「Fun」が先行シングルとしてリリースされ、プロモーション・ビデオでは72歳になるデボラ・ハリーの年齢を感じさせないパフォーマンスに驚かされます。
その他にも、ザ・ストロークスのニック・ヴァレンシや、「Boom Clap」のヒットで知られるチャーリー・エックス・シー・エックス、ザ・スミスのギタリスト、ジョニー・マー、「Chandelier」のヒットで知られるオーストラリアの女性ボーカル、シーアなどそうそうたるミュージシャンが参加しています。

また2018年には、1978年に大ヒットした「Heart of Glass」のリミックスや別バージョンによるアレンジを6作品集めたコンピレーション・レコードが、10,000枚限定で発売されました。
大規模なツアーこそ行われていませんが、定期的にライブも行っており、年齢を感じさせないアグレッシブなパフォーマンスにさらなる可能性を感じさせてくれます。

BlondieMusicOfficial – YouTube

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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