ニンビン :ヒッピータウン

シドニーとゴールドコーストの中間に位置しているニンビンという田舎街は、昔から大麻を生産することで生活を成り立たせてきた独特の街だ。
もちろん、オーストラリアでは大麻の所持・使用は認められていないが、ニンビンでは比較的規制がゆるい。
そんなアウトローな街「ニンビン」を訪れた際に感じたことを、客観的に紹介してみようと思う。

ニンビンってこんな街

オーストラリアに住んでいる人に、「ニンビン」という街の名前を知らない人はいないだろう。
小さな田舎街がどうしてこれほどまでに有名かというと、ニンビンは言わずと知れた「麻」の産地であり、「ヒッピーの聖地」だからである。

ヒッピー文化と切り離せないものの一つ、「大麻」。
大麻の使用には「覚醒剤と同じ」「タバコよりマシ」「医療用として使用している国もあるから完全に否定できない」などと賛否両論の意見が寄せられているが、世界には大麻の使用を合法としている国も少なからず存在している。

オーストラリアの法律では、大麻の所持や使用は違法として取り締まりの対象となる。しかし、オーストラリアに住んでいると実に多くの人が大麻の使用経験があることに衝撃を受けるものだ。

ニンビンという街は、オーストラリアの中で最も「大麻が生活の中に浸透している街」と言えるほど、そこら中に大麻の気配が漂っている。
街には「大麻最高!」などと描かれたアーティスティックな建物などもあり、街を歩けば「ガンジャ・ガンジャ」と大麻の売り子たちから声を掛けられることもある。

こんな風に言うとニンビンのことを「危ない街だなぁ」と感じる人がいるかもしれないが、基本的に住人たちは優しく、人懐こく、自由を愛する傾向にある。

大麻好きの人ならみんな1度は訪れたことがあるほど有名な街らしいのだが、有名なのはもちろん大麻だけではない。
「麻」の産地であることから、オーストラリアの厳しいオーガニック基準をクリアした自然派フードや小物などが売られるマーケットが毎週末開催され、また地元では有名な、本格的なスケートボードパークもあるらしい。

また、「ラブ&ピースの街」として有名なバイロンベイと似たような雰囲気を持っていることから、ヒッピーやアーティスティックな文化が多様に入り混ざっている。
街には個性的なミュージアムや手作りキャンドルが作れるキャンドルファクトリーなどが立ち並び、路上や空き地ではギターやオーストラリアの伝統楽器であるディジュリドゥなどを陽気に奏でている地元民の姿も見受けられるだろう。

「自由の街」と言う響きが最高に似合うニンビン。住民だけでなく観光客も煩わしい日常から解放されて、自由で自然な空気を楽しむことができる街なのである。

ニンビンでは大麻を所持・使用してもいいのか?

ニンビンを初めて訪れた際に疑問に思ったのは「オーストラリア(ニンビン)では、大麻の使用は合法なのか?」と言うこと。
こそこそ隠れるわけでもなく、街のあちらこちらで大麻を比較的オープンに楽しんでいる人を見かけることがあるからだ。

これにはニンビンやオーストラリアについて色々と調べたり友人から話を聞いたりすると、大麻事情が少しずつわかってきた。

オーストラリアでは、州によっては「少量の所持ならOK」としているところもあるが、基本的には所持も使用も禁止されているとのことだ。警察に見つかればもちろん罰則を受けることになるだろう。
州や警察官によって罰則が違うなんて、なかなか信じられないという人もいるかもしれないが、州が違うというのは国が違うと言ってもいいほどに各州には法律の違いがあるものだ。

しかし、いくら規制の甘いニンビンとはいっても、大麻の使用や購入はしてはならない。
最近ではニンビン周辺に警察官が張っていて、住民や観光客の大麻所持や売買に目を光らせているという情報もある。

知っておきたい大麻用語集

オーストラリアでは、大麻のことを様々な呼び名で呼ぶことがある。その一部をご紹介しておこう。

・マリファナ
・ガンジャ
・Weed
・草
・葉っぱ
・420
・大麻
・ミドリ

などといった隠語がたくさん存在している。

以前住んでいたニューサウスウェールズ州の「Tweed Heads」という街では、道路の標識に書かれている「Tweed」の「T」がスプレー缶などで消され、「weed Heads=大麻の街」と落書きされていた。
Tweed Headsが大麻の街かどうかは定かでないが、オーストラリアの若者たちにとって大麻は興味深いアイテムのひとつとして身近に存在することを伺わせる体験だった。

大麻の呼び名は人や人種によってそれぞれ異なるので、オーストラリアを訪れる際には上記でご紹介したような隠語を覚えておくと危ない誘いに近づかないで済むかもしれない。

収穫祭「マルディグラス」はニンビンの代表的イベント

ニンビンでは、昔から麻を栽培してきたという歴史が現在にも反映されており、特に毎年5月に3日間かけて行われる「収穫祭」が有名だ。

この収穫祭は「マルディグラス」と名付けられ、世界各国から活動家やヒッピーたちが駆け付ける。
収穫祭に乗じて「医療大麻を広めるパレード」や「マリファナの合法化」を訴える運動も盛んに行われているようだ。

「ニンビン=街中の人が大麻を吸っている」と思われてしまいがちだが、もちろん大麻を吸わない人もこのマルディグラスには多数参加している。
基本的には自分の欲のために大麻の合法化を訴えている人ではなく、ヒッピーやナチュラリスト思考の人が多く参加していることから、フェスティバルは終始柔らかでピースフルな雰囲気が漂っている。

また、大麻関係以外にも「スケボー大会」「バンドのライブ」「露店」などといった様々な楽しみがあるのも、マルディグラスの特徴と言えるだろう。

ちなみに…
このマルディグラスは大麻の収穫祭ということで「この日だけは大麻の所持や使用が合法になる」と勘違いしている観光客も多い。

しかし、そこは決して勘違いしてはならない。
マルディグラスの開催中に堂々と街中で大麻を嗜み、捕まっていく人を実際に目撃したことがあるが、場合によっては「強制送還」「オーストラリアへの入国禁止」などと言う処罰を与えられるケースもあるということなので、お祭りの雰囲気に流されてしまわないように気を付けよう。

特に、大麻愛好家が集まるマルディグラスの期間中は、ニンビンの市内やニンビン近隣の街にも警察がうようよと徘徊している。
警察官により無作為に持ち物検査をされたり、連行されたりすることは珍しくはないのだ。

アウトローな街、ニンビン

オーストラリアでは大麻の所持や使用は禁止されているが、罰則は比較的軽いという話もよく聞く。
とはいえ当然、所持している大麻の量や形状次第で、販売目的で持っていると認識された場合は実刑の可能性がぐんと高くなる。

大麻が人体にどのように作用するかという論議についてはひとまず置いておき、ニンビンでは現在も大麻の歴史を色濃く体感することができる。

ぜひニンビンを訪れた際には、ヒッピー文化に触れたり、少しアウトローな雰囲気を味わったりしてみるのもいいだろう。

ただし、大麻の売り子には決して近づかない、深入りしないということにだけは気を付けることを忘れずに。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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