エチオピア:アフリカ最古の独立国

エチオピアはアフリカ大陸の東に位置する共和国です。アフリカでも最古の独立国のひとつで、3,000年以上の歴史を有しています。またエチオピアには9つもの世界遺産があり、アフリカ屈指の観光大国でもあります。長い歴史が育んだエチオピアの魅力を紐解いていきましょう。

アフリカの角に位置する共和国「エチオピア」

「エチオピア連邦民主共和国(Federal Democratic Republic of Ethiopia)」、通称「エチオピア」は中央アフリカの東に位置し、アフリカの「角」ともいわれています。北にエリトリア、南にケニアと国境を接する内陸国で、国土の多くを高原地帯が占めています。首都の「アディスアベバ(Addis Ababa)」は均標高が1,500メートルの高所にあり、アフリカ大陸の中では比較的冷涼な気候が特徴です。

エチオピアという国名は、ギリシャ語で「アイティオプス=日に焼けた」という意味です。これはエチオピアに住む人々の輝くような褐色の肌を象徴していて、国民の誇りが反映されています。エチオピアはこれまでに短い期間を除いて植民地支配を受けたことがなく、外国の文化の影響をあまり受けることなく発展してきました。

外国の文化の影響をあまり受けることなく発展してきたエチオピア。80を超える多様な民族が住む国です。その歴史的、文化的背景からエチオピアはときに「最もアフリカらしい国」と呼ばれることもあります。

また国内には9つの世界遺産が存在し国立公園や岩窟の教会、都市や景観など、その種類もさまざまです。アフリカ大陸でも屈指の魅力が宿る国、エチオピアの見所をいくつか紹介してゆきます。

第二のエルサレム「ラリベラ」

「ラリベラ(Lalibela)」はエチオピア北部に位置する世界遺産の町です。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3つの宗教の聖地であるエルサレムがイスラム教勢力の手に渡った際に、エチオピア正教徒であった当時のラリベラ王が「第二のエルサレム」を創ろうとしてこの教会群を造りました。ここは今でも重要な聖地となっていて、たくさんの信徒が巡礼に訪れます。

「ラリベラの岩窟教会群(Rock-Hewn Churches, Lalibela)」は1978年にユネスコ世界遺産に認定されています。11個の教会で構成されるこの教会群は岩をくり抜いて作られていて、それが地中に埋まるような形で建設されています。12世紀〜13世紀ごろにつくられ、それから800年以上もの間ラリベラの人々の手によって大切に守られてきました。

「ベテ・ギョルギス(聖ゲオルギウス聖堂)」は教会群の中でも最も保存状態がよく、高さ・幅・奥行が12メートルにもなります。上部から見ると十字架の形をしているこの姿を、どこかで目にしたことがある人もいるのではないでしょうか?そう、この形は旧約聖書の創世記に登場する「ノアの箱舟(Noah’s Ark)」を模しているといわれています。

※エチオピア正教徒の伝統的な衣装「アベシャリブス」を着る司祭

岩窟教会群の中でも最後に建造されたベテ・ギョルギアは、とても緻密かつ綿密です。地中に建設されているというのも、その神秘性を加速させる要因のひとつでしょう。ベテ・ギョルギアはエチオピア正教徒にとって重要な巡礼地なので、訪れた際は漂う空気を感じて静かに堪能してみてください。ラリビアの岩窟教会群は大きく4つのエリアに分かれていて、様々な意味を担った聖堂が点在しています。

かつて栄えた王国の偉大な姿「アクスム」

「アクスム(Aksum)」はエチオピア北部にある、かつて存在したアクスム王国の中心地です。1980年に町全体がユネスコ世界遺産に認定され、聖地でもある町です。町中には、歴史的にとても価値のある遺跡や建造物が点在し、エチオピア各地だけでなく世界中から巡礼者が訪れています。もちろん観光客もたくさん訪れるこの場所は、エチオピアでも最も重要な場所といっても過言ではないでしょう。

「シオンのマリア教会(Church of Our Lady Mary of Zion)」は、エチオピアで最初に建造された教会とされています。起源となった教会が建てられたのは4世紀ごろで、現在の建物は17世紀に再建されたものです。格子状の窓から差し込む柔らかな光の中、信徒が祈りを捧げる姿はとても美しいものです。しかしここは女人禁制で、男性でも観光客などは奥まで入ることができませんのでご注意ください。

また、この教会内には旧約聖書の出エジプト記でモーセが神から授かったとされる「モーセの十戒」が刻まれた石版が保存されているといわれています。石版の入った「契約の聖櫃(せいひつ)」を目にすることは限られた聖職者にしかできませんが、それは信徒にとってものすごく価値のある事実です。

「ステッレ(Stele)」はアクスムにあるいくつもの遺跡の中でも、特に印象的なオベリスクです。「オベリスク(Obelisk)」とは細長い尖塔のような形をした、神殿の近くに立てられるモニュメントで、アクスムの遺跡の中にはいくつもあります。最大のステッレの高さはなんと24メートルで、墓標のような役割も担っているそうです。表面には細やかな模様のようなものが彫られているので、注目して見てみてください。

世界で最も過酷な地「ダナキル砂漠」

「ダナキル砂漠(Danakil Desert)」はエチオピア北東部に広がる大きな砂漠です。夏の気温が最高50°Cにもなる熾烈な環境のため「世界で最も過酷な地」と形容されることもあります。海抜がマイナス100メートルを切る盆地で、世界でも屈指の低地に位置します。そして現在も火山活動が活発なため地熱が豊富で、近郊には温泉も湧き出しているそうです。

「エルタ・アレ火山(Erta Ale volcano)」はダナキル砂漠の中にある火山のひとつで、現在も活発に活動しています。標高は613メートルで、頂上から溢れ出す超高温の溶岩を見に行くことができます。まるで生きているかのような真っ赤な溶岩の動きと、真っ黒く焦げた溶岩台地は圧巻の光景です。

ダロール火山(Dallol volcano)」はダナキル砂漠に突如として現れる、極彩色の溶岩台地でできた小さな山です。ダロール火山周辺からは塩や硫黄、カリウムなどの成分が豊富に含まれた塩水が噴出していて、その成分が固まりこの状態になるそうです。また、夜には硫黄が燃焼し青い炎が現れることもあるそう。ツアーへの参加は必須ですが、ぜひとも見ておきたい光景です。

「アサレ塩湖(Assalé salt lake)」は「アフリカのウユニ塩湖」とも呼ばれる広大な塩の湖。湖ですが水はなく、一面に乾いた塩の大地が広がっています。アサレ湖で取れた塩はこの地域の名産品で、塩の採掘と整形は地元に住むアファール族の主要な仕事です。そして採掘した塩の塊を近郊の街まで送り届ける「ラクダのキャラバン」はティグレ族の仕事で、彼らは朝方と夕方の涼しい時間に移動します。「ラクダのキャラバン」を追うことのできるツアーも用意されているので、参加してみてはいかがでしょうか。

ダナキル砂漠周辺に広がる荒涼とした大地には、地球の原始的な風景に近いものを感じさせます。火山活動や地熱の影響を強く受ける過酷な環境下で生まれた、唯一無二の文化や光景をぜひ味わってみてください。

長い歴史が物語る、エチオピアの姿

アフリカ最古の独立国として、さまざまな文化を築いてきたエチオピアの魅力を紹介してきました。また、エチオピアはコーヒー発祥の地としても有名で「コーヒー・セレモニー(Coffee Ceremony)」という伝統的な、コーヒーを飲むための儀式化した習慣があります。ゆっくりと時間をかけてコーヒーを淹れる間に客はパンを食べたり香を炊いたりして待ち、できあがったら参加者全員でコーヒーの味や香りを楽しみます。ホテルなどで開催されている観光客向けのものもあるようなので、機会があったらぜひ参加してみましょう。

エチオピアの治安は比較的よいとされているものの、場所によっては危険なこともあるようです。渡航前には必ず安全情報の確認をしてください。唯一無二の歴史を育んできたエチオピアに残る遺跡や文化は、どれも素晴らしいものばかりです。エチオピアで、大きな感動があなたを待っているでしょう。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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