コードギアス 反逆のルルーシュ:10年以上の時を経て、なお加熱する物語

2006年に日本で放送されたアニメ「コードギアス 反逆のルルーシュ」。数あるSFロボットアニメの中でも特に人気のある作品で、放送開始から10年以上経った現在でも多くの人々を魅了している。本編は2クール、全50話という話数の多さにも関わらず、その長さを感じさせない躍動がある。
この作品がそこまでの人気を博しているのは何故なのか。そして、一体どこまでこの物語は続くのであろうか。アニメ好きも、そうではない人も虜にしてしまう本作を振り返ってみよう。

物語のテーマが混在、掛け合わせるとき

本作の大筋は、世界の1/3を支配する超大国「神聖ブリタニア帝国」に対して、ルルーシュという青年が戦いを挑んでいく、というものだ。ルルーシュは自身もブリタニア人であるのにもかかわらず、反逆者として神聖ブリタニア帝国を敵に回す。彼の元には徐々に同胞も集まり、戦っていくうちに様々な国の事情が明らかになっていく。

主人公ルルーシュは妹ナナリーのために「優しい世界」を作ることを誓う。そしてそれを実現させるため、特殊能力「ギアス」と、人型兵器「ナイトメアフレーム」を使った戦いで「神聖ブリタニア帝国」に反逆していく。
しかしそれだけではない。本作は一見話の筋とは関係ないように思われる様々なテーマが付随。ルルーシュが学生ということから学園ものの要素もあり、戦いの中で繰り広げられる頭脳戦やテロリズムの要素も含まれているのだ。
支柱となる物語の流れと、それ以外のエピソードがふんだんに描かれ、さらにそれらが複雑に絡み合って物語が展開。一作品にあまりに多くのテーマを取り入れると物語が収束しなくなるという事態に落ちかねないのだが、本作はいくら多くの要素があろうと、全てが上手く掛け合わさって進んでいく。

では、本作に含まれるいくつかの要素をご紹介しよう。

政治

まず大きなテーマとなるのが「政治」。

1人の人間が国を相手に戦うというのはどういうことか。
国というのは必ず、ある政治体制を基盤として成り立っている。これは民主主義体制や権威主義体制といったものに区分されるが、そこには様々な規律や制約、指揮する人物や組織の存在がある。神聖ブリタニア帝国も同様に、体制を維持するための組織や機関、人員、国民が存在する。

ルルーシュは神聖ブリタニア帝国を相手に反逆行為を行っているが、その中で描かれるのが同国の内政の実態だ。これをなくして物語の深みは生まれないだろう。また、一国を崩すのであれば国の根幹を明らかにしなければならない。さらに、神聖ブリタニア帝国との関係だけでなく、そのほかの国との関係や情勢にも視点を広げている。

このことからみえる「国の在り方」というものは実に興味深い。所詮アニメ、架空の国家の政治など取るに足らないと思うかもしれないが、物語を全50話通して追っていくと登場人物たちの思いを徐々に理解することができ、1人ひとりの国民が国を作っているのだということを意識せずにはいられない。
政治というと難しく複雑といったイメージがあり倦厭してしまう人もいるかと思うが、本作にその心配はない。そこまで複雑で細かなものにならないよう、視聴者が置いてきぼりにならない按配で描かれているからだ。

ギアスという能力

本作におけるSF的な要素の1つ、それがギアスという特殊能力。
ギアスというのは他者の思考に干渉する能力で、主人公のルルーシュはこの能力を謎の少女C.C.から授かった。ルルーシュのギアスは「絶対遵守」。使用したい対象の目を直接見て「~しろ」という命令形の言葉を発すると、相手はその命令に従わざるを得ないのだ。

この能力が物語の大きな鍵となる。ルルーシュが神聖ブリタニア帝国を相手に戦うときにはこの能力が欠かせない。ときには味方にさえもギアスを発動して行動を操る。おかげで通常では突破できないような状況も打開し、新たな展開が切り開かれていく。

それならば、ルルーシュが一言、反逆の動機となった真の願いを命令すれば良いだけのように思えるだろう。「絶対遵守」なのだから願いなどいくらでも叶えられるはずだ。

しかしそうはさせないのが「ギアスの制約」だ。
ルルーシュの「絶対遵守」という能力をもってしても不可能なことが存在する。それは、同じ対象にギアスを複数回使用することと、命令をキャンセルするということ。さらに、「絶対遵守」といえどもこれは行動に関してのことのみだけであり、例えばその人を人間性そのものから変えろといったような命令はできない。

これらの制約があるため、ギアスの能力を如何にして使うかという問題が生じるが、ルルーシュは持ち前の頭脳で状況を打破していく。本作はロボットを使った派手なアクションシーンが特徴の1つでもあるが、それに加えて高度な頭脳戦も描いている。上記のたったこれだけの制約が新たな面白さを作っているのだ。ギアスの制約は時にルルーシュを苦しめるが、作品の面白さを考えると素晴らしい設定だと言わざるを得ないだろう。

なお、ギアスを使える者はルルーシュ以外にも複数登場し、それぞれ能力が異なる。何故ならばギアスは能力者の願望や素質などが具現化したものであるからだ。人によって願いや素質が異なるのは当然のことであるから、もちろんギアスも異なる。

ロボット

本作はロボットが登場する。そして、そのロボットに搭乗して行われるバトルが大きな見どころだ。ナイトメアフレームという人型のロボット兵器で、多様なシステムが搭載されたものである。飛行機能や粒子ビームを発射する機能などを使用した、数々な迫力ある戦闘シーンを繰り広げた。

ナイトメアフレームにはいくつもの種類がある。
例えば、黒の騎士団のカレンが搭乗する、赤い機体の「紅蓮聖天八極式」。全ナイトメアフレームの中でも最強と謳われており、圧倒的性能の前に敵は次々と撃破された。ルルーシュの敵となったスザクが乗った「ランスロット・アルビオン」は、大きな翼のようなものを背負った機体で、攻守共にバランスの良いものであった。主人公のルルーシュが乗るのは黒と黄金を基調とした「蜃気楼」という機体で、圧倒的な殲滅力を備えたもの。防御性能も最強クラスを誇っており、ルルーシュが乗るに相応しい機体であった。

というように、ナイトメアフレームはいくつも登場する。そしてどれもが個性を備え、見た目も全く異なる。搭乗者を彷彿とさせる見た目と性能を備えていることは言うまでもない。色々な機体が登場するところは、ロボット好きには堪らないだろう。デザイン性も去ることながら、特徴的な戦闘に魅了されること間違いない。ナイトメアフレームを使った本格ロボットバトルを楽しむのは勿論だが、その1つひとつの個性も合わせて注目してもらいたい。

バトル

白熱する戦闘の数々が本作の重要な見どころの一つだ。ナイトメアフレームから繰り出される攻撃や機敏な動きなども注目すべき点であるが、何より搭乗者たちの気迫が見るものを圧倒する。
そもそも本作にクールな者は一人もいない。登場人物の誰もが、持っている情熱を最大限に発揮し、気迫迫る戦闘を行う。視聴者の気持ちが滾るような熱戦が展開されてゆくのだ。

また、本作で欠かせないもう1つの戦闘が頭脳戦である。
こちらはナイトメアフレームのような派手な演出はないものの、惹かれるものがある。先に記したギアスの制約然り、相手国を滅びへと導くため巧妙な作戦を練り、敵も味方も欺く。この攻防こそが真の戦いだとも言える。その発展がナイトメアフレームを使った戦いであり、水面下で繰り広げられる頭脳戦が勝敗を握っていると言えるだろう。見る者の予想する遥か上をいく戦いの展開を、期待せずにはいられない。本作のバトルシーンの真価は頭脳戦にこそある。

家族、友への愛

最後の大きなテーマは「愛」である。
まずはなによりルルーシュの妹ナナリーに対する愛情であろう。そもそもルルーシュが神聖ブリタニア帝国を恨んだ理由も、反逆行為をするのも、大切な妹が安心して暮らせる場所を作るためなのだ。たった1人のために国を丸ごと敵にまわす、この愛の大きさはとてつもない。

ルルーシュにはスザクという幼馴染がいる。スザクは日本人でありながら名誉ブリタニア人となり、のちにルルーシュとは敵対関係になる。二人の間には強い友情があるが、彼らは一般的なそれよりも深く互いを認め、信じあっている。二人の関係にどんなことがあっても、心の奥底に潜んでいる愛は消えることなく最後まで付きまとっていた。

最後に、シャーリーのルルーシュに対する愛情。

シャーリーはルルーシュと同じ学校の生徒会役員で、ルルーシュに片思いをしていた。視聴者の誰もが、そのひた向きな思いがどうか成就して欲しいと願ったが、ルルーシュはその恋心すらも利用してしまう。ルルーシュの目標完遂への決意の強さが伺えるが、あまりにも残酷。その残酷さこそが、本作のテーマの一つと繋がっているようにも思える。

思わず心がくすぐられる中二病的要素

これまで作品の中で扱われているテーマについて述べてきたが、このポイントに心をくすぐられた人も多いのではないだろうか。

中二病とは、思春期の頃にありがちな言動や行動を表した言葉である。背伸びした発言や、大人から見ればちょっとイタイ行動が格好良いと思い込んでしまう。ネット上では「他人とは違う俺カッコイイ病」とも呼ばれて、何かとネタにされている。

放送当時にはまだ中二病という言葉がほとんど広まっていなかった。しかし中二病が一般的になった現在、改めて見返してみると、やはりルルーシュは中二病だ。

ルルーシュは根が優しく真っ直ぐな人物だが、ゼロとして黒の騎士団のトップを務めているときは中々イタイ。ギアスを使う際にするポーズや、ギアス発動時の赤く紋様が浮かぶ片目を覆う仕草、また、お決まりの台詞「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる」。これらは間違いなく中二病の症状だろう。この他にも何かとイタイ発言が散見されるので、気になった方は少し意識して見てみると面白いかもしれない。

中二病の中にはいくつかのタイプがあり、その中に「邪気眼系」というものが存在する。これは自分には何か特別な力が宿っていると思い込んでいるタイプである。しかも、何故かその力を瞳に秘めているパターンが多い。ルルーシュは実際にギアスという特殊能力を備え、目がその力の象徴となっている。これはまさしく「邪気眼系」であろう。

冷静に見ると本作は中二病要素が盛り沢山だ。まだ中二病の認知度が低かった分、当時は話題にならなかった。しかし、ルルーシュの発言や言動に魅せられた人々は、まさしくこの中二病要素に惹かれていたといっても過言ではないだろう。

キャラクターデザインは、あの人物!

最後に、キャラクターデザインについても少し触れておく。
本作は基本的にロボットバトルがメインであり、どちらかと言うと男性ファンが多そうな作品なのにも関わらず、女性のファンも多い。

その理由は、キャラクターデザインに隠されている。本作のキャラクターデザインを担当したのは、あの「CLAMP」だ。

CLAMP は日本の女性漫画家集団で、「魔法騎士レイアース」「カードキャプターさくら」「XXXHOLiC」などのアニメのキャラクターデザインを手がけている。これらはどれも大ヒット作であり、その作風や絵柄が女性を中心に絶大な人気を集めている。特に「カードキャプターさくら」は少女コミックに連載されていたことから、思い出の作品になっている人も多いだろう。

本作にもCLAMPファンたちが食い付いたのだ。CLAMPの描く男性キャラはいつも女性を魅了している。もちろん作品によって登場するキャラのタイプは様々だが、本作でも多くの女性がルルーシュやスザクに心を奪われたことだろう。本作は、そのようにして女性ファンも獲得していった。

最後に

本作の魅力を上げ出したらキリがない。上述の数々はそのほんの一部で、もちろんファンの方々からすれば、まだまだ語るべきことがたくさん残されているだろう。放送開始からかなりたった現在でも、多くのファンが作品を批評したり考察をしたり、熱い感想を残したりしている。

ここでは触れなかったが、アニメの1期、2期が終わった後8本の映画が公開された。そして、2019年にはついに最終章となる映画「コードギアス 復活のルルーシュ」が公開され、ファン待望のその後の物語が描かれた。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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