ガンズ・アンド・ローゼズ:ハード・ロック界の後継者

キッス、エアロスミスといったアメリカン・ハード・ロックを牽引してきたスーパーバンドが低迷する中、ロック界に彗星のごとく現れたバンドがガンズ・アンド・ローゼズでした。ジミー・ペイジやジョー・ペリーを思わせるスラッシュのカリスマ性と、アクセル・ローズのパフォーマンスはたちまち彼らをスターダムへと押し上げたのです。

ガンズ・アンド・ローゼズ誕生

インディアナ州でくすぶっていたアクセル・ローズがロック・スターを夢見てL.A.にやってきたのは1980年代初頭のことでした。
当時はまだビル・ベイリーと名乗っていましたがハリウッド・ローズというバンドを結成したことで改名します。

しかし、ハリウッド・ローズは長続きせず、同じインディアナ出身でハイスクールの同級生でもあったイジー・ストラドリンをメンバーに引き入れます。
そして、当時すでにある程度の人気を得ていたトレイシー・ガンズ率いるL.A.ガンズと合流する形でガンズ・アンド・ローゼズが誕生することになるのです。

話題性の高い新バンド結成でしたが、デビュー前にL.A.ガンズ側の3人のメンバーが脱退してしまいます。急遽、後任としてベースのダフ・マッケイガン、ドラムのスティーヴ・アドラー、そしてギターのスラッシュを加えデビュー当時のラインナップが揃うことになるのです。

極貧時代からスーパースターへ

しかし、結成当時の話題性はバンドを脱退したトレイシーらが再結成したL.A.ガンズの方が高く、バンドの経済状態は悲惨なものでした。当時の彼らはクラブを回るにもヒッチハイクを繰り返し、ハイウェイ脇の野菜や果物を盗んで食事代わりにするといった生活を送りながらも、何とか音楽活動を続けていたのです。

地道なライブ活動を続けているうちに、独特なハイ・トーンと派手なパフォーマンスを繰り広げるアクセルと、シルクハットにサングラス、あえて速弾きに走らないオーソドックスなプレイで魅了するスラッシュを中心に、バンドの存在は知られるようなっていきました。そして、1986年、75,000ドルという契約金でゲフィン・レコードと契約、翌1987年に「Appetite for Destruction」でメジャー・デビューすることになるのです。

発売初週にビルボード200位以内に入るも、メンバーの素行の悪さ、とくにアルコールとドラッグによる問題。ハード・ロックからMTVからプロモーションビデオの放映を拒否されてしまいます。当時、MTVの力は絶大で、ラジオに代わるプロモーション手段として新人バンドには絶対に外せないものでした。ガンズ・アンド・ローゼズの可能性を高く評価していたゲフィン・レコードがMTVを説得し、なんとか「Welcome to the Jungle」を放映してもらうことができたのです。

その結果、ガンズ・アンド・ローゼズの人気は一気に爆発。同曲は全米1位に輝き、アルバムはアメリカだけで1800万枚、全世界では3000枚にせまる売上を記録することになります。

ファースト・アルバムの大ヒット後、翌年には「GN’ R Lies」がリリースされますが、こちらはデビュー前に自主制作盤としてリリースされていたライブ・アルバムの焼き直しで完全新作というわけではありませんでした。しかし、勢いに乗っていたガンズ・アンド・ローゼズのセカンドということで、このミニ・アルバムもビルボード2位までチャートを上昇します。

そして、ファースト・アルバムから4年後の1991年にニュー・アルバムがリリースされることになるのですが、それがなんと2枚同時発売という前代未聞の販売方式が取られたのです。サード・アルバムとして「Use Your Illusion Ⅰ」、フォース・アルバムとして「Use Your Illusion Ⅱ」としてリリースされたこのアルバムは結果として本国アメリカをのぞく多くの国で1位、2位を独占するという快挙を達成します。

この2枚のアルバムも楽々とプラチナ・アルバムを達成し、ガンズ・アンド・ローゼズは押しも押されもせぬトップ・バンドへと上り詰めたのです。

低迷期

しかし、バンドがビッグになり、有名になるにつれて彼らの素行の悪さもエスカレートしていきます。サード・アルバムのリリース前にドラムのスティーブンがドラッグの過剰摂取を理由にバンドを解雇され、イギリスのハード・ロック・バンド、ザ・カルトのマット・ソーラムと交代します。

さらに翌1991年には、アクセルの最大の理解者と言われていたギターのイジーが脱退、後任にはキル・フォー・スリルでギターを弾いていたギルビー・クラークが加入します。しかし、このギルビーも1994年に突然解雇されてしまい、後任には当時ほとんど無名だったポール・トバイアスが加わります。ポールはアクセルの友人ということで、彼の独断でメンバーに引き入れたと言われています。

さらに、当時レコーディングを終えていた新曲「Sympathy for the Devil」に勝手にポールのギターがダビングされていたことが原因で、スラッシュとの関係が急速に悪化していきます。そして、1995年のスラッシュのソロ・プロジェクト、スラッシュズ・スネークピットにおける活動に対してアクセルが訴訟を起こし、アクセルに並ぶバンドの顔とも言うべきスラッシュが退団してしまいます。

さらに、1997年にはドラムのマット・ソーラムが解雇、1998年にはベースのダフ・マッケイガンが脱退し、オリジナル・メンバーはアクセルのみになってしまいました。

ガンズ・アンド・ローゼズのおすすめアルバム

ガンズ・アンド・ローゼズのアルバムは30年以上のキャリアの中で、2枚同時発売やミニ・アルバム、ベスト盤やライブ盤を含めても8作品しかリリースされていません。純粋なスタジオ・アルバムに限って言えば5枚しかリリースされていないのです。ガンズ・アンド・ローゼズに興味があるなら5枚のアルバムを全て聴いても全く損はありません。そのくらいそれぞれのアルバムのクオリティは高いものとなっています。

しかし、あえて1枚を選ぶとするならデビュー・アルバム「Appetite for Destruction」をおすすめします・ファンなら誰もが1度は耳にしたことがある名曲「Welcome to the Jungle」で幕を開けるこのアルバムは、多くの曲が現在の彼らのセットリストに残っていることからも、如何にすぐれた楽曲で構成されていたかが分かります。全米7位の「Welcome to the Jungle」をはじめ、全米1位を獲得した「Sweet Child o’ Mine」、全米5位にチャートインした「Paradise City」など、5曲がシングル・カットされいずれも大ヒットを記録しています。

もう1枚おすすめアルバムをあげるとしたら2枚同時リリースで話題を呼んだ「Use Your Illusion」のⅠでしょうか。このアルバムの最終順位は、セールス的には全米3位で、アーノルド・シュワルツェネッガー主演のヒット映画「Terminator2」のテーマ曲として有名な「You Could be Mine」が収録されたⅡには及びませんでした。

しかし、このアルバムは多くの豪華ゲストがアディショナル・ミュージシャンとして参加しており、ガンズ・アンド・ローゼズの違った魅力を発見することができるのです。「Bad Obsession」には元ハノイ・ロックスのマイケル・モンローが、「The Garden」にはアリス・クーパーが参加していて、アクセルの交友関係の広さがうかがえます。シングル・カットされた「November Rain」は全米チャートの3位、「Don’t Cry」は同10位に入るヒット曲となっており、Ⅱにも増して素晴らしい曲が収録されていると思います。

現在のガンズ・アンド・ローゼズ

とにかく素行に問題があるアクセル・ローズですが、2001年には仮面のギタリストとして有名なバケット・ヘッド、元プライマスのドラム、ブライアン・マンティア、元リプレイスメンツのベース、トミー・スティンソンらと共に活動を再開します。断続的なツアーを行ったり、ベスト盤をリリースしたりするなどして2008年には16年ぶりとなる完全新作アルバム「Chinese Democracy」をリリースします。

そして、2016年アクセルとスラッシュが電撃的に和解、バンドにスラッシュとダフ・マッケイガンが復帰することが決定しました。この結果、ボーカルにアクセル、ギターにスラッシュとリチャード・フォータス、ベースにダフ、キーボードにディジー・リードとメリッサ・リーズ、ドラムにフランク・フェラーといった7人編成のラインナップになりました。

さらに同年、オーストラリアのモンスター・バンドAC/DCのブライアン・ジョンソンの体調不良時にアクセルが代役を務めたことから、AC/DCへの加入も噂されています。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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