ポリス:世界が認めたホワイト・レゲエ

ポリスは、ベース・ボーカルのスティングを中心に結成されたイギリスのロックバンドです。従来のブリティッシュ・ロックに当時は黒人音楽の代名詞的であったレゲエを大胆に取り入れ、ホワイト・レゲエというジャンルを確立し世界的な成功を収めました。

ポリス結成

前身バンドであるラスト・イグジットは4人編成のジャズ・フュージョン・バンドで、地元ではそれなりに名前の知られた存在でした。そこで活動していたスティングに目を付けたのが、大手レーベルであるヴァージン・レコードの創業者、リチャード・ブランソンでした。メジャー・デビューが確実視されていたが、ヴァージン・レコードとの契約は実はバンドとしての契約ではなく、スティング個人との契約という形になりバンドは空中分解してしまいます。

しかし、スティングの並外れたベース・テクニックとすぐれた歌唱力に注目していたのはリチャードだけではありませんでした。ドラムのスチュワート・コープランドは、父親がCIAのエージェント、母親が考古学者という一風変わった家庭環境で育ちました。両親の仕事の影響で海外転居が多く、アメリカのバージニア州で生まれたもののエジプト、ベイルートなどを転々とし15歳の時にイギリスに引っ越し1975年にはロキシー・ミュージックのエディ・ジョブソンが在籍していたことでも有名なカーヴド・エアに加入します。カーヴド・エアでは「Midnight Wire」と「Airborne」の2枚のアルバムに参加していますが1976年に解散してしまいます。

この頃から、彼はスティングのプレイに注目しており、何度となくバンド結成を持ちかけていました。1977年契約上の問題からラスト・イグジットが解散すると同時に、スチュアートの猛アタックに根負けするかのように活動を共にし、ギターにヘンリー・パドゥバーニを加えた3人でポリスを結成します。

アンディ・サマーズの参加

アンディ・サマーズはイングランド、ランカシャーのクラブで10代の頃から天才ギタリストとして人気を得ていました。1942年生まれのアンディは、他のポリスのメンバーよりも10歳近く年齢が上で音楽経験も豊富でした。

1968年にズート・マネー・ビッグロール・バンドへの加入を皮切りにダンタリアンズ・チャリオッツ、カンタベリー・ミュージックの元祖ソフト・マシーン、イギリスを代表するロックバンド、アニマルズとバンドを渡り歩きます。その後も、ニール・セダカ、ジョン・ロード、ケヴィン・エアーズとジャンルにかかわらず多様なセッションに参加し実力を評価されていきます。

その後突然音楽活動を停止し、カリフォルニアのノースリッジ大学で音楽を専攻しています。そして、1977年イギリスに渡りポリスに参加しました。

ポリス、デビュー

デビュー直前になって初代ギタリストであったヘンリーが脱退してしまうアクシデントがあったものの、ポリスはそのまま3人編成で活動を続けていきます。
1978年に発表されたデビュー・アルバム「Outlandos d’Amour」はアメリカで23位、本国イギリスでも7位に入る好セールスを記録し、まずまずのスタートをきります。

トップバンドへ

ファースト・アルバムのヒットで自信をつけた彼らは、その後も安定してヒット曲を量産していきます。
リリースされたアルバムは、どれも高い評価を受け1979年には「Reggatta de Blanc」が全英1位を獲得、続く「Zenyatta Mondatta」では再び全英1位、全米でも5位にチャートインする大ヒットとなるのです。
1983年に一旦解散してしまうまでの5枚のアルバムはいずれも全英では1位を記録し、アメリカでも最高チャート1位、いずれも30位以内と安定したセールスを記録し続けました。

解散からリユニオンへ

1983年ポリス最大のヒットアルバム「Synchronicity」をリリースするも翌年、ポリスは突然活動を停止、1986年に再び新作のリハーサルを開始するのですが、この時、スチュアートが不慮の事故で足を骨折してしまい、シーケンサーによる打ち込みでの参加となってしまいます。

結局、ニューアルバムは完成することなくシングルとして「Don’t Stand So Close to Me ‘86」だけがリリースされバンドは事実上解散状態となってしまいます。

その後、2003年にロックの殿堂入りが決定し、授賞式で久しぶりにメンバー全員が揃っての演奏を披露するも各自がソロ活動を続けており、再結成は行われませんでした。
ところが、2007年にポリス生誕30周年を記念してリユニオンが発表され80本を超えるワールドツアーがセットアップされました。このツアーではバック・メンバーは一切使用せず、全コンサートがポリスの3人によって行われた画期的なものとなったのです。

ポリスのおすすめアルバム

ファースト・アルバムから5枚目のラスト・アルバムまで全てのアルバムがスマッシュヒットを記録しているポリスでは、どのアルバムを聴いても損はありません。
あえておすすめの作品を挙げるとしたらやはりデビュー・アルバム「Outlandos d’Amour」かラスト・アルバム「Synchronicity」のどちらかになるのではないでしょうか。

セールス的には圧倒的に後者の方が上なのですが、「Outlandos d’Amour」にも「Can’t Stand Losing You」などのヒット曲があります。とくに「Roxanne」におけるレゲエとロックの融合による新しいサウンドはとても衝撃でポリス=ホワイト・レゲエの図式を一気に完成させてしまいました。

5枚目にしてラスト・アルバムになってしまった「Synchronicity」は1983年にリリースされるや、全米ビルボードにおいて17週連続で1位を記録、さらにシングルカットされた「Every Breath You Take」は年間チャートのNo1という大ヒットアルバムになりました。

同アルバムからは「Every Breath You Take」をはじめ、4曲がシングルカットされています。セカンド・シングルが「King of Pain」全米3位、サード・シングルが「Synchronicity II」で全米16位、フォース・シングルが「Wrapped Around Your Finger」で全米8位といずれも大ヒットを記録しています。

このアルバムのハイライトはやはり当時のレコードで言えばB面1曲目の「Every Breath You Take」から「King of Pain」へと流れていくところでしょうか。スチュアートによる1発のスネアの音を皮切りにアンディの高難度のアルペジオで始まる珠玉のバラードはグラミー賞、ロックの殿堂とさまざまな記念の場所でも演奏されてきました。もしポリスを知らないと言う方が興味を持ったなら、まず1番に聴いてほしい楽曲です。

現在のポリス

2007年にワールドツアーを開始したポリスでしたが、翌2008年にはニューヨークでのコンサートを最後に再び活動を終了することが発表されています。
もともと各メンバーのスキルも高く、ソロ活動も順調な彼らの場合、エゴを突き合わせなければならないポリスでの活動はあまり魅力的ではなかったのかもしれません。
スティングは、本業の音楽活動以外にも俳優として多くの作品に出演している他、熱心な人権保護活動家、自然環境保護活動家としても精力的に活動しています。
スチュアートも本業のセッションやバンド活動以外にも映画のサウンド・トラックを手がけるようになり、マイケル・ダグラス主演の大ヒット映画「Wall Street」やユニバーサル・インタラクティブスタジオが作ったビデオゲーム「Spyro the Dragon」のサントラを担当し高い評価を得ています。
アンディは安定して音楽活動を継続しておりハービー・ハンコックやジンジャー・ベイカーといったビッグネームともたびたびセッションをしています。
しかし、2007年にはスチュアートが自身で撮り溜めていたビデオ映像を元にドキュメンタリー映画「Police Inside Outside」を公開し、2013年にはアンディの自伝である「ポリス全調書」を元に作られた映画「Can’t Stand Losing You/Surviving the Police」も公開されました。
今後、ポリスが再結成される可能性はあまり高くはないと思われますが、メンバー全員がいまだに健在であることから、せめて新しいアルバム発表のニュースが届かないかと期待してしまいます。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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