カンボジア:プノンペンの今を感じる5つの場所

カンボジアの首都プノンペンは、経済成長に伴って目まぐるしい勢いで発展中である。昔ながらの変わらない部分を残す一方で、外国からの投資、高層ビルの建設ラッシュにより街並みは変わり、人々のライフスタイルも変化しつつある。「内戦」「貧困」「発展途上国」といった言葉で語られがちなカンボジアの印象が一変するような、プノンペンの「今」を映し出す5つのスポットをご紹介する。

1991年の内戦終結から約30年。2011年以降には、GDP成長率7%前後を維持する(WorldBankより)ほどの目覚ましい経済成長を遂げているカンボジア。
首都プノンペンの中心部では、つい2000年代前半までは内戦の爪痕が残っていたとは思えないほど驚くべき勢いで開発が進んでいます。街中では高級車が行き交い、外国からの投資により高層ビルが次々に建設されていきます。
とはいえ、一歩郊外に出れば未だ貧困に苦しむ人々が少なくないことも事実であり、昔ながらのローカル感たっぷりの風景と近代的なものが同居しているような状態。新旧のものがダイナミックに入り混じる光景こそがプノンペンの特色ともいえるでしょう。
今回は、街を彩る様々な景色のうち、カンボジアのイメージががらりと変わるような「新しさ」を感じさせるものに注目。経済状況、人々の生活水準、ライフスタイル、消費のトレンドなど、プノンペンの「今」を映し出すスポットを5つご紹介します。

高層ビルの建設ラッシュに湧く新興開発地帯:「Koh Pich」

最初にご紹介するのは、未来都市建設計画が進む「Koh Pich(コーピッチ)」。
プノンペン市内を流れるメコン川、バサック川、トンレサップ川の合流地点付近に浮かび、「Diamond Island」とも呼ばれる人工島です。
島を中心とする一帯では、中国をはじめとする外資系ディベロッパーが手がける高層コンドミニアムやホテル、商業施設が次々と建設されており、景色が刻々と変わっていく新興開発地域でもあります。
豊かな水に囲まれた、市街を眺望できるロケーション。今後、都市機能の拡充も期待されることから、海外の投資家を中心とする層から注目を集めている「Koh Pich」。
現在は建設途中の建物が多く、投資目的でコンドミニアムを購入する外国人や現地富裕層がほとんどであるため、住民でひしめき合うという状態ではありません。
しかし、結婚式や展示会、コンサートなどが頻繁に行われる大規模なコンベンションホールや飲食店が並ぶゾーンでもあるため、イベントが開催される日には人々でごった返す様子が見られます。

写真:筆者提供

また、昔ながらの遊園地や公園もあり、現地の若者達の間では、デートスポットとして利用されることも。このエリアが、これからどこまで賑わいを見せていくのかは、非常に興味深いところです。
外資の流入を受けて経済発展し、すさまじいスピードで変貌を遂げていくカンボジアの様子を肌で感じたくなったら、「Koh Pich」へどうぞ。

・「Koh Pich

ミドルクラス層の生活水準を映し出す「AEON MALL Sen Sok City」

写真:筆者提供

「Koh Pich」と並び、急速に開発が進む地域がプノンペン北部郊外にある「Sen Sok(センソック)」地区。
2018年5月のこと。
大規模な高級住宅地や商業施設などの建設が進むこのエリアにて、日本の大手ショッピングモール「AEON MALL」2号店がオープンしました。
緑に囲まれた約10ヘクタールの広大な敷地に建てられた地上4階建ての建物は、カンボジア国内最大のモールであるだけでなく、「AEON MALL」が東南アジアで運営する施設の中でも最大規模(オープン当時)。
前述の「Koh Pich」近くにある1号店よりも進化している点は多数見られるものの、特筆すべきは、エンターテインメント性が増していることでしょう。

写真:筆者提供

館内には、ウォーターパーク、水族館、室内遊園地、ゲームセンターなど、子供が喜ぶアミューズメントスペースを完備。
室内遊園地は、フライングパイレーツや空中回転ブランコといった遊具やお化け屋敷まである本格的なものになっています。子供を遊ばせられるレジャー施設が多くないカンボジアですが、ここでは家族連れでも1日過ごすことができそうです。
さらに、音楽やアート、スポーツなどの習い事教室も充実。所得の上昇に伴い、情操教育への需要が伸びていることがうかがえます。
筆者の訪問時、専門店街では商品を眺めているだけの人々も多い印象でしたが、グランドフロアにあるスーパーの食料品・日用品売り場では、惜しみなく買い物している人々の姿が見られました。
つい数年前までローカル市場で買い物を済ませていた人々の間でも、スーパーで質の良いものをまとめて買い物することが根付いてきているのです。
周辺に住む、ミドルクラスの家族連れが多く見られる「AEON MALL Sen Sok City」
カンボジアの人々の生活水準が上がり、ライフスタイルが近代化しつつあるのを目にすることができるでしょう。

AEON MALL Sen Sok City

プノンペン中の創造力が結集するインキュベーションHUB:「Factory Phnom Penh」

写真:筆者提供

カンボジアの若者に将来の夢を聞くと、一番多い回答が「自分でビジネスを興したい」というもの。右肩上がりの経済状況を追い風に、起業に対する高いモチベーションを持っている人々が多いことに驚かされます。
そんな若者達の熱き志を後押しするスポットが「Factory Phnom Penh」。アイディアの実現を支援するインキュベーションHUBとして、3.4ヘクタールほどの敷地に設立された施設です。
“Factory”という名前が示すように、元々工場であった物件をスタイリッシュに改装。オフィススペース、コワーキングスペース「Work Space1(以下、WS1)」を中心とし、様々な国籍、職業の人々が交わる活動の場として機能しています。
「他のコワーキングスペースとは桁違いの広さを有しているのがFactory最大の魅力です。必要なものはすべて一箇所に揃っていますし、大規模なイベントを開催できるのも強みです。」と語るのは、「WS1」のプログラムマネージャーであるCarlos Estevez氏。
さらに、イベントコーディネーターのKeomony Sen氏曰く、「ここには、ありとあらゆる業種の人々が集まっています。相互に学び合い、協力し合いながら、共に何かを生み出していける場を提供していきたいですね。」とのこと。
短期滞在者は、1週間無料で「WS1」をトライアル利用することもできるそう。おしゃれで機能的なデスクに向かえば、仕事がはかどるだけでなく、現地で働く人々との交流から新たなビジネスアイディアが生まれるかもしれません。世界を飛び回るデジタルノマドの方は、ホームページから問い合わせをしてみてください。

写真:筆者提供

また、「Factory Phnom Penh」の敷地内には、誰でも自由に入ることが可能です。敷地内の壁に散りばめられたアート作品を眺めながら、斬新なインスピレーションが湧いてくるのを待つのもよし、館内にオープン間近のアートギャラリーをのぞいてみるのもよし。
さらに、居心地がよい中央のカフェに腰掛け、コーヒーを片手にとっておきのアイディアを練るのもよいでしょう。
カンボジアから湧き上がる創造性を全身で感じられる、「Factory Phnom Penh」。今もっとも熱く、プノンペンを訪れる際には必見のスポットです。

Factory Phnom Penh

プノンペンの「今」を一望できるスカイバー:「SORA」

写真:筆者提供

プノンペンの街並みのダイナミックさは、高いところから眺めてこそ実感できるもの。
隣国タイ・バンコクでは2000年代前半頃から既にブームが巻き起こっていたスカイバーが、プノンペンでも2015年頃からにわかに盛り上がりを見せています。
今回ご紹介するのは、世界的な5つ星ホテル「Rosewood」内に2018年2月にオープンしたスカイバー「SORA」。39階建てという市内有数の高層ビルの37階から、ぐるりと街中を見渡すことができます。
スカイバーは、ホテル宿泊客以外も利用可能。
夜景を楽しむなら暗くなってからの来店がおすすめですが、まだ辺りが明るい夕方に訪れると、一味変わった景色を楽しむことができます。屋台や昔ながらの建物やバイク・トゥクトゥク(三輪タクシー)に混ざり、近代的な高層ビルや建設途中のコンドミニアムが立ち並ぶ様子がはっきり見え、街の変貌の過程を目の当たりにすることができるでしょう。

写真:筆者提供

5つ星ホテル内ということもあり、洗練された空間で夜風を浴びながら優雅なひとときをたっぷり味わうことができる「SORA」。
グループ・団体用のソファー席は、一定金額以上(席によって異なります)注文することを条件に予約可能なため、事前に電話確認しておきましょう。2名掛けのカジュアルな丸テーブル席は予約不要です。
プノンペンの最先端を行く場所から、溢れ出す街のエネルギーを感じ取ってみてください。

SORA

ハイセンスなシティライフを彩る路地裏街:「Bassac Lane」

写真:筆者提供

スカイバーと並び、近年盛り上がりを見せているのが、路地裏バー。
昔ながらの民家がひしめき合う住宅地であった細い路地に、スタイリッシュなバーストリートを作ろうとする動きがプノンペン各所でじわじわと進行中です。
路地裏バーブームに火をつけたのが、「Bassac Lane(バサックレーン)」。
プノンペンのシンボルであるIndependent Monument(独立記念塔)からも程近い市内中心部。Street. 308と呼ばれる脇道からさらに小さな路地に入っていくと見えてくる、おしゃれなバーが立ち並ぶ一帯です。
ニュージーランド出身の兄弟が発起人となり、外部からもバーオーナーを募りながら作り上げた「Bassac Lane」には、様々なコンセプトのバーが密集。
バーはいずれも小規模ながら、洗練されたインテリアに囲まれてこだわりのカクテルを楽しめる上質な空間となっています。

写真:筆者提供

また、店舗はそれぞれ独立していながらも、路地全体として暖かいホームのような一体感を感じられるのが特徴的です。
ローカル感を残す細い路地に、洗練された都会の空気が流れているのが少し不思議な「Bassac Lane」。当初は経営者も顧客も外国人が中心でしたが、最近ではカンボジアの人々がナイトタイムを楽しむ姿も見られます。
観光客向けのバーやレストランが立ち並ぶリバーサイドもよいですが、時には趣向を変えて路地裏をのぞいてみると、プノンペンのシティライフの一端が垣間見えるはずです。

Bassac Lane

猛スピードで更新され続けるプノンペンの「今」

写真:筆者提供

現地の人々の成長へのエネルギーと外国からの投資がかけ合わさり、着々と発展を遂げようとしているカンボジア。
首都プノンペンは、ほんの数ヶ月目を離しただけで景色が一変してしまうほど、すさまじい変化の過程を目の当たりにすることができる場所です。
供給過多ともいえるほど量産される高級コンドミニアムに代表されるように、急速な展開に人々の暮らしが追いついていないと思われる部分があることも事実。しかし、そういった点を含めても、未知の可能性に溢れた環境は他にあまりないのではないでしょうか。
今回は、そんな進化し続けるプノンペンにおいて、様々な角度から「今」を捉えるのにふさわしい場所をご紹介しました。
ぜひ、二度とは見られないプノンペンの「今」を目に焼きつけてみてください。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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