Fateシリーズ:各作品の見どころを解説

聖杯戦争、それはどんな願いも叶うという聖杯をかけた戦いである。選ばれし7人の魔術師は7騎の使い魔を召喚し、己の願いのため聖杯を求め戦う。その戦いは最後にたった1人残るまで続き、彼らは自らの命を賭して、聖杯を求めるのであった。

Fateシリーズはゲームを原作として2006年にアニメ化された。同シリーズはこれまでに何本もアニメ化されており、人々を魅了し続けている。今回はその中でもテレビアニメ化した3本をメインにFateシリーズの見どころを掘り下げていこうと思う。

stay night

2006年にゲーム「Fate/stay night」を原作としてアニメ化された「stay night」。Fateシリーズ初のアニメ化作品であり、ファンの間ではセイバールートと称されている作品だ。原作はTYPE-MOONと呼ばれる同人サークルの商業デビュー作であり、大きく3つのルートによって構成されている。

物語は第五次聖杯戦争を舞台に、主人公の魔術師(以下マスター)衛宮士郎とその使い魔(以下サーヴァント)セイバーをメインとした戦いを描いている。その中でセイバーが聖杯を望む理由や、士郎とセイバーが理解し合う様子、さらには遠坂凛との絆を深めるなど、あらゆる展開が含まれる。

そんな全Fateシリーズの始まりともなるstay nightは、シリーズ初のアニメ化となるため多方面に心血を注いで作られている。原作のイベントシーンが忠実に再現され、脚本会議には原作者の奈須きのこが欠かさず出席し意見を述べる、原作では描かれなかったオリジナルエピソードも原作者が自ら書下ろし、声優のキャスティングにも携わっている。また、サーヴァントという史実や伝承において語り継がれてきた英雄たちが登場することから、その時代や各サーヴァントのイメージに沿った劇中曲も書き下ろされた。他、物語の大きな演出となる戦闘シーンや各登場人物の設定など、あらゆる点で妥協を許さず、原作の雰囲気を壊すことなく、より世界を広げる為の様々な試みが仕込まれたのである。

さて、全ての礎となるstaynightの特徴は「第五次聖杯戦争と第四次聖杯戦争の関係性」「物語の拡張性」「セイバールート」の3つにある。

第五次聖杯戦争と第四次聖杯戦争の関係性

Stay nightで繰り広げられるのは「第五次聖杯戦争」。士郎や凛をメインに、イリヤや学友の間桐慎二らがマスターとなる。ここで注目したいのは、主なマスターは第四次聖杯戦争でマスターだった者たちの子ども、あるいは関係者であるということ。士郎は第四次聖杯戦争におけるセイバーのマスターであった衛宮切嗣の養子。凛は同じく第四次聖杯戦争でアーチャーのマスターであった遠坂時臣の娘である。また、イリヤは衛宮切嗣の実の娘であり、聖杯戦争の重要な鍵となるアインツベルン家アイリスフィールの娘なのだ。間桐慎二も同聖杯戦争でバーサーカーのマスターであった人物を叔父に持つなど、殆どの人物が前聖杯戦争参加者と血縁関係となっている。

この関りはマスターだけに留まらない。サーヴァントも同様である。例えばセイバーは第四次、第五次両方の聖杯戦争にアーサー王の英霊として参加。また、staynightでは存在しないはずの8体目のサーヴァントとして登場したギルガメッシュも同様である。
これらのサーヴァントたちは第四次聖杯戦争時と同様の英霊であることから、記憶をそのまま引き継いでおり、作中でも過去の聖杯戦争を彷彿とさせる言動を繰り返す。例えばギルガメッシュは前回の聖杯戦争でセイバーに求婚するも応じてもらえずであったが、第五次聖杯戦争が行われた本作でも、懲りずに求婚を迫っていたなどがそれを表している。

登場人物だけ見てもstaynightで描かれる第五次聖杯戦争と第四次聖杯戦争は関連していることがお分かり頂けると思う。しかし、作中での焦点は現行で進む第五次聖杯戦争であり、前回の聖杯戦争の多くは明らかにされない。登場人物たちの回想などにより、ぼんやりと映し出される程度だ。
だが、聖杯戦争自体は連続性を持つものであり、それぞれが独立した戦いであるにも関わらず切っても切れない深い繋がりがある。そこを「謎」として、作中では多くの伏線を張り巡らせるように進んでいく。物語が進むにつれて明かされる第四次聖杯戦争の実態もあれば、より謎が深まっていくこともある。さらに、どのようにして第五次聖杯戦争が引き起こされることとなったのか、第四次聖杯戦争に参加していた各々の血縁者たちの思いなども「謎」として登場。連続性を持った戦いであるからこそ、第四次聖杯戦争の全てが明らかになることは第五次聖杯戦争の全てを把握することに繋がる。物語に秘められた楽しさの全てを把握するのには、第四次聖杯戦争が真の鍵となるのだ。

くしくもStay night内ではその全ては明かされない。完全なる第四次、第五次聖杯戦争の繋がりは果たされない。だが、Fateシリーズの今後の展望や拡張性を考えると、この完全には明かされない「謎」が、さらなるシリーズの深みへと誘ってくれる要素となるのである。

物語の拡張性

先にも触れたが、stay nightはFateシリーズの原点となる作品だ。シリーズ初タイトルでもあるし、初のアニメ化作品でもある。そのため作品自体に多くの試みが実装されたが、まだまだ余力を残しているようにも伺える出来となった。

また、ストーリー自体は第五次聖杯戦争を基礎とし、第四次聖杯戦争の謎を仄めかしたり、その先のことについても期待を含ませる最後を描いた。これはまだまだ物語が大きく広がるという示唆に他ならない。上述の通り、stay nightだけでも原作では3つのルートが存在し、あくまで本作はその中の1つしか描いていないという点からもそのことは窺い知れる。

今後に他のルートの映像化はあり得るのか、その場合、物語はどのようにアレンジされるのか、隠された第四次聖杯戦争の真相は明かされるのかなど、たった1つの物語からFateシリーズはどこまでも拡張されていくのである。その礎がstay nightであり、とても重要な作品なのだ。

セイバールート

アニメ化に伴い、Stay nightではセイバールートが採用された。原作では他に凛ルート、桜ルートがあったのだが、その中でも王道であるセイバーがメインヒロインとなった。

セイバーは士郎に召喚されたセイバークラスのサーヴァントである。「セイバー」とは剣士の英霊で、優れた能力を有するクラスを指し、Stay nightでは青いドレスに銀の甲冑を身に付けた精悍たる姿で登場した。律儀で負けず嫌いで、戦士としての勇敢さを備えた少女だが、可愛いものが好きなど、年頃の女の子らしい一面も見せた。

そんなセイバーと士郎の恋模様だが、それはとても穏やかなものだった。2人は聖杯戦争の過程で互いの思いを理解し、尊重していく。セイバーが聖杯戦争に賭けた思い、士郎なりの聖杯戦争への向き合い方、そして2人でどのように聖杯戦争を駆け抜けていくかなど、多くの思いを共有し、ゆっくりと歩を進めていくのだ。原作者の奈須きのこ曰く、本作は「ボーイミーツガール」がコンセプトだったとのこと。故に激情的な関係が描写されることはなく、あくまでゆっくりと距離を縮めていく様子が重視されていたように思える。

この過程を、人によっては恋模様に見て取れないという意見もあるだろう。2人が特別恋人のようなことをするわけでなく、互いの思いを伝え合うこともないのだから。仮にそういったことがあっても、それは恋心ではなく聖杯戦争に関連した思いであるため、恋愛っぽさは殆ど感じられない。

しかしここがセイバールートの見どころである。甘い恋愛要素でなく、あくまで聖杯戦争に賭けた思いの中で互いの存在を認め合い、良きパートナーとして2人で歩んでいく。この心地良い距離感と空気感が、物語の本筋に絶妙な緊張感と含みを持たせるのだ。互いの生き方を理解し尊重する、このことがどれだけ強固な関係性を生み出すのか、まだまだ若い2人が身を持って示してくれるルートとなっている。
また、本作ではセイバーの過去や苦しみも明らかにされる。その時の士郎の態度にも注目してほしい。最後にセイバーが自分を尊重してくれる最良のマスター、士郎に救われる展開は思わず心が和むようだ。
あまりベタな展開はないが、それでも2人の間で確かに育まれていく2人なりの愛を、是非楽しんで頂きたい。

Zero

続いてテレビアニメ化2作目となるのが「Fate/Zero」である。本作はTYPE-MOONと「魔法少女まどか☆マギカ」の脚本などで知られる虚淵玄がタッグを組んで制作された。テレビアニメの放送は2011年、全25話となっている。
本作はstay nightのスピンオフ作品という位置付けであり、本編で断片的に語られていた第四次聖杯戦争を描く。それに伴いメイン登場人物たちも一世代前の人物が中心となり、stay nightで明かされなかった謎や伏線が次々と明らかになっていく。

公式サイト

Zeroの世界観は、基本的にstay nightと同一のものである。しかし、本作は原作者の奈須きのこでなく虚淵玄をメインに制作が進んだため、異なる点が多くある。例えば基本的な物語の世界観が多少重厚なものになっていることが挙げられる。他、セイバーやギルガメッシュ、言峰綺礼など、数人の人物の性格や略歴が異なっているのだ。これについて奈須きのこは、stay nightとZeroは同じだけど異なる作品であると明言している。視聴者もその点を踏まえて作品を楽しむと良いだろう。

第四次聖杯戦争

本作の焦点となるのはstaynightで断片的に描かれた10年前の第四次聖杯戦争である。10年前に起こった聖杯戦争でも同じく、7人のマスターと召喚された7人のサーヴァントが己の願いを賭けて聖杯を勝ち取るべく、戦いを繰り広げる。

ここでの主人公は衛宮切嗣。後に士郎の養父となる人物で、イリヤの実父にもあたる人物だ。彼は由緒正しき魔術師の家系の六代目当主。元は殺し屋として活動していたが、その腕を買われて名門、アインツベルン家に婿養子として迎えられた。そしてセイバーのサーヴァントを召喚、第四次聖杯戦争に挑むこととなる。
切嗣が願うのは「戦いの根絶」。そのために冷酷非情な態度で聖杯戦争に臨むが、魔術師の名門、遠坂家からは遠坂時臣がギルガメッシュを、天敵である言峰綺礼はアサシンを召喚し参戦、切嗣の前に立ちはだかる。しかし他のマスターとサーヴァントを倒していき、最後に残った綺礼と戦い見事聖杯を手にする資格を得る。
だが現実は非情であった。切嗣は聖杯が万能の器ではないという真実にぶち当たる。考えた末、サーヴァントの絶対服従権、令呪を発動してセイバーに聖杯を破壊させるが、聖杯に秘められた呪いは舞台となった冬木市を襲い、大火災へと発展、街は壊滅してしまうのであった。切嗣は壊滅した街で生存者を探し、そこで士郎を発見。彼を養子にすると、最後は静かに衰弱してゆく。
こうして幕を閉じた第四次聖杯戦争で残されたのは生存者である士郎、聖杯の真の姿、そしてその真実を知ることなく聖杯を逃したアインツベルン家、遠坂家、間桐家の面々であった。聖杯が破壊され、謎を謎のまま終焉を迎えた第四次聖杯戦争。禍根と複数家の因縁を残し、第五次聖杯戦争に引き継がれていく。

紐解かれていく数々の謎

上述の通り、本作ではstay nightでの謎が次々と紐解かれていく。1番大きな焦点は、第五次聖杯戦争が引き起こされることとなった原因だ。stay nightでは度々、第四次聖杯戦争の禍根や因縁が原因とされる戦いや言動が見て取れたが、その全てがここで明らかになる。何故ここまで各家の因縁が強いのかについても結末で明かされた。また、聖杯の元となった存在や聖杯の願いの叶え方、各登場人物たちの生い立ちなども本作で明かされたのである。

Stay nightではあまりに多くの謎が残されたままであった。そのため物語の真の全容が目の前に提示されることの高揚は、多くのファンを魅了したことだろう。
また、Zeroでは第四次聖杯戦争を舞台に一世代前の人物たちの戦いを描いているにも拘わらず、第五次聖杯戦争を再びなぞっているような感覚にも見舞われ、1つの作品で2つの物語を楽しめるかのような構造になっているのだ。

中には前作とサーヴァントが違っているなど、各名家の関係性が複雑だと嘆く声もあった。

確かにstay nightではアーチャークラスは赤い身なりの色黒の男性だったのに対し、Zeroでは金髪の英雄王ギルガメッシュになっている。同じクラスでも召喚される英霊が異なる、という点を理解していないと、即座に対応するのは難しいかもしれない。ましてや前作の登場人物に慣れていた場合、先入観も先行してよりこんがらがることだろう。中にはセイバーのように同じポジションにいる人物もいるのだから尚更だ。

しかし、これら全てを飲み込めた時、物語のスケールの大きさと個性豊かな登場人物たちに心を奪われ、本作の際限ない魅力にまた取り付かれる。物語の謎解きを楽しみつつも、そんな側面にも注視することが出来れば、より根幹に踏み込めるだろう。これが、Zeroの魅力の真髄ともいえるかもしれない。

戦闘シーンがパワーアップ

聖杯戦争というある種の戦争がメインとなるのだから、戦闘シーンは存分にある。物語の随所であらゆる敵と対峙するが、その迫力がstay night時より格段に進化している。その迫力、躍動感、緊迫感は凄まじいものであった。

1つ例に挙げるならば、セイバーとランサーの戦い。
セイバーは元より正々堂々とした戦いを好む正統派の剣士だ。対してランサーも純粋な武人としての信条を胸に抱えた熱き戦士。この2人の戦いは終始一貫して譲らぬ展開を見せ、小癪な真似など一切無しの真剣勝負であった。最中で両名は互いの宝具や出方を見極めながらも攻撃を仕掛ける。そのアクションの滑らかな動き、絶妙なカメラワーク、適宜活用されるCG、効果音のタイミング、そして2人の表情、どれをとってもstay nightの出来を遥かに凌駕したものである。飛び散る火花、砂ぼこりなどのギミックも効果的に使い、よりリアルさを追求されたものとなった。また、巧妙な心理戦も含まれており、ただアクションシーンを見ているだけに留まらない、緩急の付いたものとなっている。

前作からの飛躍的な完成度の上昇に、多くのファンは目を奪われたことだろう。これはZeroの制作にニトロプラスというゲーム制作会社と、アニメーション制作会社のufotableが関与したことが大きな要因とされる。ニトロプラスの虚淵玄はシナリオ担当として参加していたが、作品全体を通して完成度に拘りを見せていたようである。そしてufotableはCGやエフェクトによる表現に定評があることで知られていることから、本作でもその実力を如何なく発揮。結果として、戦闘シーンのある他作品の中でも群を抜いた仕上がりとなり、前作と比べて飛躍的にクオリティがアップしたのであった。

Unlimited Blade Works

最後はstaynightの第2ルート、通称凛ルートであるUnlimited Blade Worksについてご紹介しよう。これは先にも述べた通り、最初に紹介したstaynight全3ルートの内の1つに分類され、遠坂凛をメインヒロインに起用した作品である。物語が主に士郎とアーチャーの因縁や関係性に踏み込んだものであることから、一部ファンの間では士郎ルートと称されることもある。

本作は原作を元とするも、アニメオリジナル設定が追加され、2006年に放送されたstaynightを補完、発展させた作品ともいえる。原作者の奈須きのこはstaynight時と同じく全ての脚本会議に出席、第1作で実現できなかったことを全て作品に詰め込んだ。また、本作での1番の焦点となる「衛宮士郎の物語」をどれだけ描けるかに注力したとのこと。

物語の大筋はstaynightと同一であり、聖杯戦争も第五次聖杯戦争が繰り広げられている。しかしstay nightと異なるのは先にも述べた通り、これは聖杯戦争をメインとして掲げた物語ではなく、「衛宮士郎の物語」だということだ。後に詳しく解説するが、これにより衛宮士郎という人物像が浮き彫りになると同時に、これまで謎であったアーチャーの正体も明かされる。それでも尚、挑み続ける士郎の勇姿と決意を描く、聖杯戦争がオマケのような物語なのだ。

士郎とアーチャーの関係

先にも述べた通り、本作は士郎とアーチャーの関係に焦点を当てた物語である。これまでアーチャーはstaynightに登場するものの、誰の英雄であるのか等、詳細は謎に包まれた存在であった。それがついに明かされる。

物語を追っていくと気付く点だが、士郎は「理想の正義の味方」という像を持っている。しかし、アーチャーは悉くそれを否定。対峙する2人であるが、それは単なる見解の相違ということではなく、アーチャーの正体が関係していた。

実はアーチャーの正体は未来において英雄となった士郎本人。「理想の正義の味方像」を胸に突き進んだ士郎がアーチャーであり、その悲惨な末路も体験したのがアーチャーなのだ。故にアーチャーは自身が過去に抱いていた「正義の味方像」と士郎を、言い換えれば過去の自分自身を否定していたのである。それでも士郎は自分の理想は間違っていないと、信念を胸にアーチャーに、未来の自分に向き合う。そうして現在の「士郎」と未来の「士郎=アーチャー」は対決をするのだった。

この衝撃の事実から派生する熱い展開やバトルの様子は、Fateシリーズ全作を通してもぶっちぎりで人気がある。事実が明かされた直後は理解が追い付かないというのが多数の意見だったが、そこが噛み合うと途端に本作の根幹に納得がいく。なんだかんだ世話焼きなのも、士郎の根の優しさが残っているからかもしれない。stay nightで凛と良きパートナーであったのは、現在でも凛とは良き同志として共闘していたからかもしれない。と様々な点で憶測ができるようになるのだ。

士郎はこれまで、正直あまり人気のあるキャラではなかった。その正義は行き過ぎている、誠実だがどこか歪んでいるといった意見が多く寄せられるキャラだったのだ。しかしそれが、このアーチャーとの対峙を考慮してのものだとしたら、なんと壮大な伏線なのだろうと驚かずにはいられない。
最後に2人はどのように自身の思いに決着を付けるのかも見物である。相容れぬまま聖杯戦争の終結と共に幕を閉じるのか、それともお互いにどこか落としどころを見つけるのか。衝撃的な事実が明かされるとともに、本作の主題を結末まで楽しんで頂きたい。

CG技術をフルに使った迫力ある戦闘シーン

Zeroの項でも触れたが、本作はZero時より、更に戦闘シーンがパワーアップしている。制作はZeroと同様にufotableが請け負っている。大きな拘りとしては、作業の殆どを自社で行ったという点。通常のアニメーション制作は下請けに委託することが多いが、本作ではそれをしなかった。これにより、同一の「stay night」という作品なのに全く別物の、格段にバージョンアップした作品を生み出すことに成功している。戦闘シーンにおいて、特に重要となる宝具の設定や演出は変えないものの現代に、また世界に通じるギミックやエフェクトを採用し、その完成度はとても高いものとなったのである。

本作でメインとなるのはアーチャーの戦闘である。特にランサーとの死闘は見物だ。これが本当にアニメのクオリティなのかと疑いたくなる程の完成度であり、原作者の奈須きのこからもその戦闘演出にお墨付きを頂いている。Zero時よりも格段に躍動感が増し、迫力もコマ使いも巧みになり、飛び散る火花や風塵、様々なギミックとエフェクトは有効的に、かつ最大限に生かされていた。
また、本作1番の目玉となるアーチャーの固有結界「無限の剣製」の発動シーン。今では主流となった3DCGをフルに使い、また場面によってはそこに背景美術を組み合わせたりもしているのだ。これにより、より立体的でリアルなシーンとなり、見た者はその奥行、世界観の広がりに驚愕することとなるのだ。

本作は10年前のstay nightをパワーアップさせることに注力していることから、これまでのシリーズを通して最高の出来となっている。この飛躍的に向上していく戦闘シーンのクオリティは是非注目してほしい点だ。可能ならばstay night→Zero→Unlimited Blade Worksの順で鑑賞していくと、その進歩に度肝を抜かされること間違いなしだ。

さいごに

テレビアニメ化した主作品、stay night、Zero、Unlimited Blade Worksの3本は、それぞれ繋がっており、しかしながら独立した構成になっている。故にFateシリーズを通しても楽しめるし、1本ずつの作品としても楽しめる。それぞれに見どころが用意されており、本シリーズの世界観を楽しめる作りなっているのだ。

新しくアニメ化されるたびにパワーアップし、これまでの謎が明かされていく展開からは目が離せない。また2017年よりstay night第3のルート、通称桜ルートが劇場版「Fate/stay night[Heaven’s Feel]」として全3部作で製作されている。初登場から今尚飛躍し続けるFateシリーズを、これからも楽しんでもらいたいと願う。

※本記事はコロナウイルス感染拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧