ケンブリッジ:イギリスの叡智が集う学術都市

ケンブリッジと聞くと、世界屈指の大学の名を思い浮かべる人が多いだろう。イングランド東部に位置する街「ケンブリッジ」は、ケンブリッジ大学を中心にした見所が溢れる、魅力に満ちた場所である。ケンブリッジ大学の31ものカレッジはそれぞれに異なる魅力を備えており観光にも最適だろう。ケンブリッジの街の魅力を紹介しよう。

世界の叡智が集う場所「ケンブリッジ」

「ケンブリッジ(Cambridge)」はイングランドの東に位置する、ケンブリッジシャーの州都。イングランドの首都であるロンドンから北へおよそ1時間、世界的に名を馳せる学術都市です。その名前を世界に知らしめている存在が「ケンブリッジ大学(University of Cambridge)」。800年以上の歴史を誇る名門大学で、常に世界大学ランキングで上位を占める有名校です。
人口のおよそ1/6が学生というケンブリッジの街。合計で31ものカレッジは、それぞれに異なる雰囲気を放ち、世界からも多くの留学生が訪れています。寮に住まい、勉学や研究に熱中する仕組みの元になっているのは、かつての修道院です。昼夜を問わず勉学に集中することのできる仕組みが、ケンブリッジが世界に名を馳せる背景にあるのです。

なだらかな地形の上に、かつては城砦が築かれていたというケンブリッジの街。現在はアメリカの「シリコン・バレー(Silicon Valley)」に肩を並べる存在、「シリコン・フェン(Silicon Fen)」としてもその名を知られており、イギリスにおけるハイテク産業発展の中心地でもあるのです。大学と企業が連携することによって世界的イノベーションを起こすケンブリッジは、まさに”人類の叡智”が集った場所といえるのではないでしょうか。
ケンブリッジ大学が誇る多くの建造物は、数百年の歴史を経ているものも珍しくはありません。ほとんどが石造りで建造されたカレッジ群は、その見た目も壮麗です。学生でなくても敷地内に入ることは可能なので、観光目的で訪れている人も多いそう。近隣に位置するロンドンやバーミンガムといった大都市と併せての訪問はもちろん、ケンブリッジを目的地にしても十分に楽しむことができるでしょう。

ケンブリッジを彩る、鮮やかなカレッジ群

中世に建造されたという、歴史と伝統が積み重なったケンブリッジ大学。その敷地内には、それぞれに異なった分野に特化した合計で31もの「カレッジ(College)」が存在しており、その中には思わず心が魅了されてしまう建造物の姿も。大学内、というとなんだか足を踏み入れるのをためらってしまいそうですが、定期的なツアーなども開催されていますので遠慮はいりません。

ケンブリッジ大学のカレッジの中でも、最も美しいとされている場所が「キングス・カレッジ(Kings College)」です。1441年に設立されたという伝統と歴史が残る場所で、正式名称は「ケンブリッジの聖母と聖ニコラスのキングスカレッジ(The Kings College of Our Lady and Saint Nicholas in Cambridge)」というそう。堂々たる門構えと庭園が美しく際立つ、ケンブリッジ大学が誇るカレッジの代表といえるでしょう。

「トリニティ・カレッジ(Trinity College)」は1546年に建造された、ケンブリッジ大学の中でも名門といわれるカレッジです。過去には6人のイギリス首相と、30人以上のノーベル賞受賞者を輩出。万有引力を発見したことで有名な「アイザック・ニュートン(Isaac Newton)」はその代表です。カレッジ内には、ニュートンが万有引力を発見したリンゴの木の末裔も植えられています。荘厳な雰囲気をたたえた門や中庭の美しい緑にも要注目ですよ。

「セント・ジョンズ・カレッジ(St John`s College)」は1511年に建造。

病院の跡地に建てられているため、ときにゴーストの姿が見られる場所ともいわれています。パリにあるゴシック建築の最高峰といわれる教会「セント・シャペル(Saint Chapelle)」をモデルに建造されたというカレッジは美しく均整の取れた外観をしており、その美しさはヴィクトリア女王も絶賛したほど。見惚れる佇まいは必見でしょう。

キングス・カレッジに佇む、圧巻の「キングス・カレッジ・チャペル」

「キングス・カレッジ・チャペル(King`s College Chapel)」は、ケンブリッジ大学内、キングス・カレッジにある、壮麗なチャペルです。建造が開始されたのは1466年、その後70年の歳月をかけて完成に至ったというチャペルは、ゴシック様式を採用。2本の尖塔が印象的な、カレッジ内のランドマークとなっています。大学内にあるとは思えないほどに洗練され堂々とした佇まいには、ケンブリッジが辿った歴史がそのまま反映されています。

内部に目を向ければ高い吹き抜けの天井と、ステンドガラスから差し込む光に圧倒されます。また壁や天井に繊細に施された細工も要注目。こんなにも立派なチャペルが大学内にあるという事実に驚かされてしまいますが、このチャペルだけでも目にする価値は十分にあります。是非足を運んでみてください。

ケンブリッジ大学を彩る、ふたつの橋とひとつの時計

「数学の橋(Mathematical Bridge)」は1749年に建造された、クイーンズ・カレッジにかかる橋の名です。「ウィリアム・エサリッジ(William Etheridge)」によって設計された橋のデザインは幾何学模様。一見複雑な形の木材を組み合わせたような外観ですが、使用されているのは真っ直ぐな木材のみだといいます。緻密な設計と計算の賜物である数学の橋のデザインは非常に秀逸。カレッジ内でひときわ注目を集める場所といえます。

試験でよい点が取れなかったとき、あなたはどのような行動をしますか?「はぁ」と、大きなため息をついてしまう人が多いでしょう。「ため息橋(Bridge of Sighs)」は、そんな学生たちの行動が形となった場所です。とはいえ、現実にはその見た目の美しさにためいきが出てしまう、というのも名前の由来のひとつといわれています。イタリアのヴェネツィアにある同名の「ため息橋(Ponte dei Sospiri)」がモデルとなっています。

「コーパス・クロック(Corpus Clock)」は2008年に公開されたばかりの、新しい観光スポットです。物理学者「スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)」によって発表された、直径1.5mに及ぶ時計の制作費は約2億円。製作に5年もの歳月を要したという事実にも驚かされます。コーパス・クロックはデジタル表示も文字盤もない時計です。時間の表示は円盤から漏れ出る光によって表示。上部に乗った、時を食べる虫のオブジェも必見です。

ケンブリッジの街を一望「グレート・セント・メアリー教会」

「グレート・セント・メアリー教会(Great St Mary`s Church)」は、ケンブリッジ大学のほぼ中心に位置する教会です。起源となったのは13世紀に同じ場所にあったという教会、その後改修を経て、15世紀には現在の姿へと変貌を遂げました。垂直に伸びる塔内部は登ることも可能。合計123段の階段を登り切ると、そこにはケンブリッジの街並みが眼下に広がっています。街並みから感じ取れる歴史は、あなたの心を大きく揺さぶるでしょう。

また、グレート・セント・メアリー大聖堂から流れる鐘の音色は「ケンブリッジ・チャイムズ(Cambridge Chimes)」と呼ばれ、ロンドンの象徴「ビッグ・ベン(Big Ben)」の鐘の音のモデルになっています。イギリスの首都を象徴する印象的な音色の元祖はこの教会にあるのです。定期的に鳴る鐘の音に、ぜひ耳を凝らしてみてください。あなたも聞き馴染みがある音色かもしれません。

数千種類の植物の競演「ケンブリッジ大学植物園」

「ケンブリッジ大学植物園(Botanic Garden)」は、1846年に建造されたケンブリッジが誇る植物の楽園です。広大な敷地内には、さまざまな種類の植物が生育されており、色濃い野生的な姿を目にすることができます。その総数は8,000種類以上といわれております。これまでに出会ったことのない、個性的な植物を見かけることもあるでしょう。植物園の内部には温室や庭園などの見所が豊富です。
建造当初は、研究のための薬草が多く生育されていたという植物園ですが、現在は岩と植物を組み合わせた定番のロック・ガーデンや、香りが豊かな植物を集めたセンディッド・ガーデンなど、さまざまな種類の植物が、美しい姿を披露しています。変わった形の木々が並ぶ樹木のコレクションも見所でしょう。敷地内にはカフェもあり、のんびりと時間を過ごすにも最適です。滞在中の憩いの場所にもなる植物園の存在は見逃せません。

歴史と伝統が根付く街、知識の都「ケンブリッジ」

長い歴史と伝統が根付いたケンブリッジの街。その主軸となるケンブリッジ大学には、勉学だけではなく、多くの魅力が詰まっています。滞在してみることで、その叡智はもちろん、魅力を堪能することもできるでしょう。全世界からの留学生が訪れているということで、街に溢れる文化も多様です。ケンブリッジ大学の個性豊かなカレッジや施設に宿った様々な特徴にもぜひ注目してみてください。

「ケンブリッジ国際空港(Cambridge International Airport)」は、ケンブリッジの玄関口です。街の近郊に位置しているため中心地へのアクセスも容易でしょう。イギリスの首都ロンドンからは車で約1時間の距離ですので、日帰りで訪れてみるのもよいかもしれません。世界でも屈指の叡智が結集するケンブリッジ。街に知的な雰囲気が漂っているのは、決して気のせいではないでしょう。その一端をぜひ体感してみてください。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

関連記事一覧