ブラジル:食の歴史と現在の家庭料理

ブラジルは南アメリカ大陸で最大の面積を有する国である。国民はさまざまな国から移住してきた人々の混血が多く、そのため同じブラジルの国内であっても、地域によって食文化は全く異なったものとなっている。

ブラジルの食の歴史

ブラジルはその歴史上さまざまな国から移住してきた人々で形成されており、大きく4つのグループに分かれています。グアラニー人やアマゾン先住民などの先住人、植民地時代に移り住んできたポルトガル人、アフリカから奴隷として連れて来られた民族の子孫、19世紀頃からブラジルに定住する目的でやってきたヨーロッパや中近東、アジアからの移民です。これらの人々によって形成された食文化は、ブラジル5大料理として区分されています。≪北部≫

≪北部≫

北部とはアクレ州、アマパー州、アマゾナス州、トカンティス州、パラー州、ロンドニア州、ロライマ州のことを指します。この地域にはネイティブアメリカンやネイティブアメリカンとポルトガル人の混血した末裔の人々が多く暮らしているため、ネイティブアメリカンの影響が大きく出ています。アマゾン盆地の魚やキャッサバ、ヤムイモやラッカセイに加えて、ヤシの実などの熱帯の果実を食べています。

≪北東部≫

北東部とはアラゴアス州、セアラ州、セルジッペ州、バイーア州、パライバ州、ピアウイ州、ペルナンブーコ州、マラニョン州、リオグランデ・ド・ノルチ州を指します。この地域は乾燥した内陸部と豊かな海岸沿いの平地があり、放牧をしながらサトウキビやカカオも栽培しています。
バイーア州ではプランテーションのために連れて来られたアフリカ人の影響を受けたアフロ・バイーア料理があります。この料理の特徴はアフリカやインド、ポルトガルの料理を融合させ、現地の食材で作っているところです。海岸沿いの地域ではアフリカの影響は少なく、魚介類やトロピカルフルーツが使用されていることが多いです。また内陸部では干し肉に加え、米や豆類、キャッサバやトウモロコシの粉が使用されています。

≪中西部≫

中西部とはゴイアス州、マットグロッソ州、マットグロッソ・ド・スル州と連邦直轄区を指します。この地域は乾燥したサバンナや草原と北部の森林地帯で形成されていて、パンタナルという狩りや釣りの名所もあります。広い放牧地で育てられた牛肉や豚肉に加え、魚も食べられ、大豆や米、トウモロコシやキャッサバが常食とされています。

≪南東部≫

南東部とはエスピリトサント州、サンパウロ州、ミナスジェライス州、リオデジャネイロ州を指し、ブラジルの人口の半数を占めています。この地域はブラジルの工業の中心であるとともに、さまざまなブラジル料理の発祥の地となります。ミナスジェライス州では豚肉や豆類、トウモロコシや現地で作られているチーズが主な食材です。サンパウロ州とリオデジャネイロ州ではバイーア州の郷土料理であるフェイジョアーダ・コンプレッタなども食べられています。
イタリアが大半ですが、他にもポルトガルやスペイン、日本からの移住者も多数暮らしています。そのためサンパウロ州ではさまざまな国の料理を見ることができます。

≪南部≫

南部とはサンタカタリーナ州、パラナ州、リオグランデ・ド・スル州を指します。有名な料理としては、ガウーショの人々が作っていた日干しや塩漬けの干し肉やシュラスコという焼いた肉料理が挙げられます。ヨーロッパから移住してきた人が多いため、小麦を中心とする食文化が定着しています。またヨーロッパの人々はワインやレタスなどの野菜、乳製品をこの地域に持ち込みました。キャッサバはこの地域でも食べられています。

ブラジルの現在の家庭料理

さまざまな国から移住してきた人々がもたらした多数の食文化の影響を受けたブラジル。ですがブラジル発祥の料理もあります。そんなブラジルの現在の家庭ではどのような料理が食べられているのでしょうか。いくつか紹介したいと思います。

≪主食≫

シュラスコ

ポルトガル語でチーズパンの意味をもつ、ブラジル国民に愛されている小さなパンです。タピオカの原料でもあるキャッサバ粉を使用した生地にチーズを加えて練って焼いたものです。表面がカリッと香ばしく、中はもちもちとしており、特に女性に人気のパンです。

≪肉料理≫

シュラスコ

牛肉や鶏肉、豚肉などの塊の肉に岩塩をふりかけて炭火でじっくり焼いた有名なブラジル料理の一つです。食べ方は豪快で、串に刺さったままの肉をナイフでそぎ落として食べられています。

コシーニャ

ヨーロッパでも食べられている雄牛の尻尾を煮込んだ料理です。雄牛の尻尾とともにジャガイモやニンニク、タマネギを加えてトロトロになるまで煮込みます。ヨーロッパではスープがメインですが、ブラジルではテール肉がこの料理のメインとなっています。

ハバーダ

ヨーロッパでも食べられている雄牛の尻尾を煮込んだ料理です。雄牛の尻尾とともにジャガイモやニンニク、タマネギを加えてトロトロになるまで煮込みます。ヨーロッパではスープがメインですが、ブラジルではテール肉がこの料理のメインとなっています。

フランゴアパルメジアーナ

地元でも愛されているブラジルの代表的な料理の一つです。鶏肉を揚げトマトソースやフレッシュトマト、パルメジャーノチーズの厚切りなどを乗せて食べるのが一般的です。

≪野菜、その他の料理≫

フェジョアーダ

ブラジルの国民食として広く食べられている料理です。フェイジョンと呼ばれる黒豆と豚の耳や尻尾、干し肉、羊肉や臓物のソーセージを一緒に煮込みます。ブラジル以外にも食されている料理でもありますが、黒豆と様々な部位の肉を使う調理方法はブラジル独自です。

ムケッカ

バイーア州やエスピリトサント州の郷土料理です。広く知られているのはバイーア州の魚介類にタマネギ、トマトやコリアンダー、ニンニクなどを加えて、ココナッツミルクとココナッツオイルで煮込んだものです。ご飯にかけて食べられることが多いようです。

ボリーニョデバカリャウ

ボリーニョデバカリャウとは、干したタラのコロッケのことを指します。ポルトガル統治時代にブラジルに持ち込まれた料理の一つですが、今ではブラジルの定番料理となっています。バカリャウは塩漬けにしてから干したタラのことで、ブラジルでは北欧産のタラを輸入してこの料理に使用しているようです。

さまざまな国から移住してきた人々とともに成長するブラジル

今回はブラジルの食の歴史や現在の家庭料理をご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。ブラジルはその歴史上、さまざまな国からの移民で成り立っています。そして食文化もその影響を大きく受けています。ですがその中でもブラジル発祥の料理も多く存在していることがわかりました。

ブラジルは多くの国の影響を受けていますが、その中できちんと自国の独自の文化もしっかりと持っているように思います。そして他国から流入してくる文化も受け止め、それらと融合することでここまで進化を遂げてきたのでしょう。

現在のブラジルでは現地の食材はもちろん、輸入でさまざまな食材が入手できるようになりました。以前は入手困難だったジャガイモなども輸入で賄うことができるようになっています。
ブラジルはその国土の広さとさまざまな国からの移民が生活しているという強みがあります。現在でも多くの有名な料理が存在しますが、まだまだ進化の可能性を秘めています。輸入によって移民たちの食文化がさらに流入し、これからまた新たな料理が生まれる可能性も十分にあるでしょう。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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