チリ:食の歴史と現在の家庭料理

チリは南アメリカ大陸南部の沿岸に位置する国である。チリの食文化は伝統的な料理とスペイン植民地の際に持ち込まれた食文化が融合し、現在のチリの食文化となっている。また毎年4月15日はチリ料理の日とされている。

チリの食の歴史

チリ料理は、チリの先住民の伝統と植民地時代に流入してきたスペインの食習慣が融合して独自の進化を遂げました。また海産物も多く食べますが、チリの人々は肉を好んで食べる傾向にあります。

17世紀頃に、修道女たちが植民地時代の料理を推進し始めます。彼女たちの手によって多くの美味しいお菓子が生まれました。これらの伝統的なお菓子作りの大半は遺産として現在でも残されています。またこれにより、美味しく献身的に作られた料理を「修道女の手」と表現されるようにもなりました。

19世紀頃にはトウモロコシの粉でとろみをつけ、トウガラシを加えた牛肉のスープがチリの中央盆地の伝統的な料理として根付きました。またこの頃からチリワインが有名になり、輸出も盛んになります。

20世紀に入ると、フランス料理がチリに持ち込まれ、煮込み料理やデザートなどさまざまな料理がチリの料理に影響を与え、チリ料理の料理方法に大きな変化をもたらしました。この頃からバロス・ルコなどが流行となり、チリのファストフードが発展しました。

またチリは西部に広がる太平洋の恩恵を大いに受けています。チリのある南アフリカ大陸西岸部は、フンボルト海流域にあたり、このため海産物には恵まれていますが、フンボルト海流は寒流であるため、降水量が少ないという短所もあります。
チリではキングクリップやタコ、ヒラメ、ビンナガ、マグロ、コチャユーヨ、メルルーサ、ニベ、マグロなど様々な種類の魚が食べられています。魚以外にも豊富な種類のシーフドがあります。特にロコ貝や車エビ、ホタテやマチャ貝、大アサリ、ケアシガニや牡蠣、ロブスターなどが一般的に食べられているようです

チリの現在の家庭料理

チリの伝統的な料理とスペインの料理が融合した独自の食文化を発展させたチリ料理。豊富な海産物や盛んな貿易など、チリの食文化はさまざまなものに影響を受けています。そんなチリの家庭ではどういった料理が一般的に食べられているのでしょうか。いくつか例を挙げてみたいと思います。

≪主食≫

ポロトスコンリエンダス

チリ南部の伝統的な料理で、ポロトスコンリエンダスとは「豆と馬の手綱」という意味です。豆とカボチャに水を加えて茹で、柔らかくなったところへオレガノやパセリ、チョクロとパスタを入れ、ビーフブイヨンを加えて味付けします。チリ料理ではオレガノを使用することが多いようです。

アユヤ

チリの朝食の定番の一つです。丸くて固めのパンで、マンハールというものを塗って食べるのが一般的です。マンハールとは贅沢品という意味を持つクリームです。アユヤは二層になっておりマンハール以外にもアボカドなどを挟んで頂くこともあります。

≪肉料理≫

アサード

チリの肉料理で最も一般的な料理です。調理法はいたってシンプルで、大きな肉の塊を焼くだけです。アサードは社交の場で出されることも多く、自宅にアサード用のセットを持っている家庭も多いようです。

カスエラ

チリの一般的な鍋料理です。牛肉や鶏肉などとトウモロコシやカボチャ、ジャガイモ、サヤインゲンなどの野菜をともに煮込みます。ここへお米やトウモロコシの粉を加えて食べることもあるようです。

エンパナーダ

ジューシーな詰め物が特徴的なチリ料理です。挽き肉や細かく刻んだお肉に卵とオリーブの実、タマネギや干しブドウとチリ独自の香辛料を加えて薄い生地で包んだペストリーです。上記に加え、チーズが使用されていることも多いです。

パステル・デ・チョクロ

トウモロコシのケーキという意味をもつ料理です。挽き肉とタマネギに香辛料を加え、その上からすり潰したトウモロコシと牛乳を混ぜてペースト状にしてバジルで香りをつけたものを乗せてオーブンで焼きます。ゆで卵やオリーブの実、鶏肉などを加えることもあります。

カルボナーダ

炭火料理という意味を持つチリの郷土料理です。牛肉やタマネギ、ジャガイモやニンジン、ホウレンソウ、お米、トウモロコシなどさまざまな具を細かく切り、煮込んだシンプルなものです。風味付けにオレガノを使用しているのがチリの特徴です。

≪野菜、その他の料理≫

ウミータ

チリの伝統的な食べ物の一つです。トウモロコシとみじん切りにしたタマネギをバジルとともにペースト状になるまですり潰し、トウモロコシの皮で包んで茹でるというシンプルな料理です。砂糖と一緒に食べることもあれば、トマトやタマネギ、青唐辛子のチリサラダを付け合わせとして食べることもあります。

チャルキカン

冬によく食べられているチリの軽い夕食です。挽き肉にタマネギやニンジン、ピーマンやカボチャ、ホウレンソウ、ズッキーニ、トウモロコシやジャガイモとオレガノとニンニクを加えて潰して作る水分が少なめのスープです。

セビッチェ

チリ北部の伝統的な料理です。南北に縦長いチリでは北部では魚介類が、南部では鍋で煮込む料理が多い傾向にあります。魚介類をレモンの果汁とタマネギ、香菜でマリネにしたものです。ペルーでも食べられている有名な料理です。

チリの伝統とスペインの文化が融合したチリの食文化

ここまでチリの食の歴史とチリ料理をご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。さまざまな料理にオレガノが使用されており、チリ料理の特徴とも言えるでしょう。また魚介類の料理がとても多く見られ、太平洋はチリにとって重要な食糧源になっているのだということがわかりました。
またスペインの植民地時代の影響が大きく、牛肉や羊肉、トマトやジャガイモ、トウモロコシといった食材が多く使用される傾向にあります。

さまざまな食材に恵まれたチリ。ご紹介した料理以外にも修道女たちが残したデザートも豊富です。チリはワインの生産量も多く、その品質も高いことで有名です。ワイン以外にもチチャやピスコ・デ・チレなどの地酒も多く生産されています。また、南部では周辺国同様にマテ茶を飲む習慣もあるようです。

多種多様な食材による多数の料理がチリでは食べられています。今回ご紹介したのはチリ料理のほんの一部でしかありません。
これを機にチリの食文化に触れてみてはいかがでしょうか。それによって、これまで味わったことのない新しい料理に出会えるかもしれません。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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