セント・トーマス島(アメリカ):印象派、カミーユ・ピサロ出生の地

「カミーユ・ピサロ」は19世紀のフランスを代表する画家である。芸術運動のひとつの潮流である印象派創設に大きく関わった人物でもあり、後世の芸術家へ色濃い影響を与えた画家としても有名だろう。そんなピサロが生まれたのが、アメリカ領「セント・トーマス島」である。カリブ海、バージン諸島の中心地であり屈指の観光地。ピサロが生まれた地、セント・トーマス島の魅力を当記事で詳しくお伝えしていこう。

印象派の父「カミーユ・ピサロ」

(Public Domain/‘Camille Pissarro’ Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

「カミーユ・ピサロ(Camille Pissarro)」はフランスで19世紀に起こった芸術運動「印象派」の中心人物の一人です。グループの中でも年長、温厚な性格であった背景から「エドゥアール・マネ(Édouard Manet)」と共に「印象派の父」とも呼ばれています。柔らかな光と影、優しげなタッチの作品の数々はピサロの性格を大いに反映しているのでしょう。ピサロが生涯で制作した油彩画の数は1316点。その制作数の多さには驚きを隠せません。

1830年、金物屋の子供として生を受けたピサロ。1855年、25歳のときには故郷を離れパリの画塾へと入塾。画家としての感性と技術に磨きをかけていきました。1874年には第一回印象派展の企画から関わり、中心人物として活躍してきました。ピサロは全8回になる印象派展に、唯一毎回作品を出品していたことでも知られています。また、時代の中で作風に変化が見られることから、ピサロはときに「新印象派画家」といわれることもあります。

(Public Domain/‘The Hermitage at Pontoise’ by Camille Pissarro. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

「エルミタージュの丘(The Hermitage at Pontoise)」は1867年に制作された、ピサロの代表作のひとつです。パリの北西に位置する街「ポントワーズ(Pontoise)」の姿を描き出した傑作。ピサロはこの街に17年間住んでいたといいます。

(Public Domain/‘The Boulevard Montmartre on a Winter Morning’ by Camille Pissarro. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

「モンマルトル大通り冬の朝(The Boulevard Montmartre on a Winter Morning)」はピサロ晩年の代表作です。ホテルの一室から、大通りの喧騒を描き出した名作でしょう。19世紀を代表する画家ピサロが生まれたセント・トーマス島には、その感性を養った要因が色濃く残されています。

ピサロ出生の地「セント・トーマス島」

「セント・トーマス島(Saint Thomas)」はカリブ海、バージン諸島の中心地。火山性で起伏が多いことが特徴であり、南国リゾートとしての表情を持ち合わせています。1666年〜1917年にはデンマーク領。現在はアメリカ領という、時代の大きな変遷も経験。大型のクルーズ船も寄港するセント・トーマス島は、絵に描いたような明らかな南国リゾート地の姿があります。ピサロ出生の時代からは、大きく様相を変えているかもしれませんね。

首都である「シャーロット・アマリー(Charlotte Amalie)」は、かつて猛威を振るっていたカリブ海賊の本拠地だったといいます。現在は「世界一の免税天国」とも称されており、街の一角には多くの免税店が軒を連ね、クルーズ旅行で訪れる人々の財布の紐を緩ませています。街の周囲、島全土には野生の自然が豊富に群生。澄み渡るようなエメラルドブルーの海と太陽、大自然は世界各国から訪れる多くの人々を魅了して止みません。

セント・トーマス島の見所

「コーラル・ワールド・オーシャンパーク(Coral World Ocean Park)」はカリブ海に生息する多種多様な海洋生物を一挙に集めた、贅沢な水族館です。「マリーン・ガーデンズ(Marine Gardens)」と呼ばれる21の水槽が設置されたエリアや、ウミガメがゆったりと泳ぐ姿を間近で鑑賞できるプールなど、豊富な展示方法もその魅力のひとつでしょう。ウミガメが泳ぐプールは入ることもでき、実際にウミガメに触ることもできるそうです。

「シートレック(Sea Trek)」は興奮必至、コーラル・パークの人気アクティビティです。酸素供給されるマスクを装着しておこなう海底散歩。野生で暮らす美しい熱帯魚やサンゴ礁の姿を臨むことができるでしょう。未知のカリブ海の姿を、全身で堪能することができます。隣接する「コキ・ビーチ(Coki Beach)」で開催される多くのアクティビティは、きっとあなたを虜にするでしょう。深さ5mに位置する海底展望台も必見といえます。

セント・トーマス島の美しい海は「メーゲンズ・ベイ・ビーチ」で堪能

1.2kmにもなる白い砂浜が続く「メーゲンズ・ベイ・ビーチ(Magens Bay Beach)」。セント・トーマス島を訪れたら、この場所に足を向けないわけにはいきません。溢れるような緑に囲まれた、輝くように透き通った白い砂浜。美しく整備されたメーゲンズ・ベイ・ビーチに入るには、入場料の支払いが必要です。しかし、その分トイレや更衣室などの施設も充実しています。贅沢なビーチタイムを過ごすに、最適の場所ではないでしょうか。

ピクニック用のテーブルも用意され、屋台やファストフードのお店も完備しています。滞在の中の1日を、この開放された美しいビーチで過ごすのもよいでしょう。シュノーケルやカヤックなどのアクティビティグッズも豊富に貸し出し。穏やかな時間の流れを楽しむ選択肢も豊富でしょう。注意点として、クルーズ船が寄港しているときは人手がかなり増えます。ゆったりとした時間を過ごすには寄港する客船に目を凝らすようにしてください。

かつてのデンマーク領の遺産「フォート・クリスチャン」

1672年〜1680年にかけて建造された「フォート・クリスチャン(Fort Christian)」は、島内最古の建造物。その壁の厚みは90cm〜180cm、海からの砲撃にも耐えることができるように設計されていたのだとか。鮮やかな赤と黄色、鮮明な緑の扉が佇まいを引き締めるデンマーク領時代の城砦は、現在のセント・トーマス島に歴史的な印象を添えています。南国リゾートの様相が濃い島にあって、フォート・クリスチャンは異質の建造物でしょう。

厚みのある壁の上部に登ることができるほか、内部鑑賞も可能です。内部は現在博物館として機能。丁寧に整備が行き届いたそれぞれの部屋は、驚くほどにシンプルな造りです。無造作に置かれた品々の数々は、城砦としての役割を果たしていた当時の光景を想起させてくれるでしょう。重厚な雰囲気を醸し出す砲台にも注目必至です。鮮やかな佇まいを披露しているフォート・クリスチャン。散策がてら、ぜひ訪れてみてください。

セント・トーマス島の絶景を堪能、名物の「コンク貝カレー」は必食!

「マウンテン・トップ(Mountain Top)」はセント・トーマス島の中でも、ひときわ高台に設置された展望台です。山の山頂から眼下に望む風景は、絶景というほかないでしょう。美しいメーゲンズ・ベイ・ビーチの姿に澄み渡るカリブ海、輝く太陽のコントラストは必見です。マウンテントップにはバーも併設されており、お酒を楽しみながら絶景を鑑賞することもできます。飲み過ぎは厳禁ですが、ちょい飲みには最高の場所でしょう。

「ジップライン(Zipline)」はスリル満点。絶景を眺めながら、滑らかな滑車に身を預けるアクティビティです。セント・トーマス島のジップラインは6種類、その選択肢の多さも魅力といえます。マウンテン・トップ同様の絶景の中、空を飛ぶようなひとときはほかの場所では体感できないものでしょう。スリルに満ちた刺激的な時間を、ジップラインでお過ごしください。

「コンク貝(Conch)」は鮮やかなピンク色の貝殻が特徴の貝の一種であり、カリブ海の特産品です。食用としてはもちろん、装飾品の素材としても用いられています。「コンクカレー(Curry Conch)」はコンク貝の芳醇な旨味を余すところなく詰め込んだ、セント・トーマス島の名物のひとつです。繊細なコンク貝の旨味とスパイスの効いたカレーの相性は抜群。暑い時期でも不思議と食が進む、必食の鉄板メニューといえるでしょう。

カリブ海の絶景「セント・トーマス島」で贅沢な滞在を

印象派の画家ピサロ出生の地、セント・トーマス島の魅力をたっぷりとご紹介してきました。かつてはデンマーク領、現在はアメリカ領、ピサロが過ごした時代とは様相は大きく変わっているかもしれません。しかし、世界中多くの人々を魅了しているという点では、ピサロの芸術的な感性と、セント・トーマス島の魅力は、共通しているといえるかもしれませんね。クルーズ船での周遊ツアーに参加して、島を訪れてみるのもよいでしょう。

セント・トーマス島の空の玄関口は「シリル・E・キング空港(Cyril E. King Airport)」。首都であるシャロット・アマリーに位置しているため、島の中心地へのアクセスも難しくはないでしょう。コーラル・ワールドや美しい砂浜に海、豊かな自然など、見所が溢れるセント・トーマス島。束の間のバカンスを楽しみに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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