ボローニャ(イタリア):若きミケランジェロが過ごした学術都市

「ピエタ」や「ダビデ像」などの代表作を持つイタリア、ルネサンス期の芸術家「ミケランジェロ」。万能の人とも呼ばれ、西洋美術の歴史上最も優れた芸術家の一人として必ず名前が挙がる、著名な人物です。そんなミケランジェロが若き日を過ごした街がイタリア北部に位置する「ボローニャ」。交通の要所として発展を重ね、現在はイタリアでも屈指の観光都市。ミケランジェロとボローニャの魅力をご紹介します。

万能の人「ミケランジェロ」

「ミケランジェロ・ブオナローティ(Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simoni)」はイタリア美術の黄金時代、ルネサンス期を代表する芸術家です。本業としていた彫刻家以外にも、画家や建築家としても非常に有名だったこともあり、その多才な姿から「万能の人」とも呼ばれています。

万能の天才「レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)」に比肩する存在ともいわれており、存命中からミケランジェロの制作した作品は高い評価を集めていました。

1475年、トスカーナ州の「カプレーゼ(Caprese)」に誕生したミケランジェロ。生まれたのは銀行家の一族だったといいます。13歳のときに画家に弟子入りを志願し、14歳のときにはすでに一人前の画家として認められていたという事実には驚きでしょう。幼年期から少年期にかけて、すでに世界に名を馳せる偉大な芸術家の片鱗を覗かせていたのです。青年期に歴史の動乱の中でボローニャに移住。この街で多感な時期を過ごしました。

ミケランジェロの最高傑作。そのひとつは「バチカン市国(Vaticano)」の「サン・ピエトロ大聖堂(Basilica di San Pietro in Vaticano)」に残された「ピエタ(Pietà)」です。慈悲の意味を持つ聖母子像で、磔にされたキリストの亡骸を抱く聖母マリアの悲哀のシーンを描いたもの。細部に施された丁寧な細工の数々は、ミケランジェロの彫刻家としての才能が余すところなく発揮されています。その姿から、多くの感動をもらえることでしょう。

「ダビデ像(David di Michelangelo)」は1501年〜1504年に制作された、ルネサンス期を代表する彫刻作品でしょう。全長5.17m、大理石を使用した傑作はと時代を経ても語り継がれる名作です。

(Public Domain/‘Last Judgement’ by Michelangelo. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

「システィーナ礼拝堂(Cappella Sistina)」の祭壇に描かれた「最後の審判(Giudizio Universale)」は、ミケランジェロの画家としての感性を豊かに表現した超大作。数々の名作を残した芸術家ミケランジェロ、そのルーツはボローニャにありました。

若きミケランジェロが過ごした街「ボローニャ」

イタリア北部。若き日のミケランジェロが過ごした街「ボローニャ(Bologna)」は、エミリア=ロマーニャ州の州都にあたります。天才芸術家のルーツの一端は、間違いなくこの街にあるのでしょう。紀元前9世紀からボローニャの地には民族が定住、その歴史は非常に長いものです。工業都市として地理的な利便から交通の要所としても発展を重ねてきたボローニャ。現在ではイタリア有数の観光都市としての側面も持ち合わせています。

ボローニャの街の見所

ボローニャの街にはヨーロッパ最古の総合大学である「ボローニャ大学」が残されています。その名残から、街は現在も学術都市としての確固たる地位を築いているのです。「サントステファノ教会群」や「ボローニャの尖塔」、多くの政治的・歴史的な史実を目撃してきた街の中心「マッジョーレ広場」も見逃せないでしょう。多くの魅力を備えたイタリア随一の観光都市ボローニャ。この素晴らしい街の見所を、ご紹介していきましょう。

7つの教会が連なる「サントステファノ教会群」

「サントステファノ教会群(Santo Stefano)」は5世紀〜13世紀に建造された、7つの教会が連なって形成する建造物群です。4つの教会と2つの礼拝堂、そして1つの修道院から構成されています。それぞれの教会の扉を開けると、その先はすでに別の教会の中。この摩訶不思議な体験は、ほかの場所ではすることができないものでしょう。様式や内装が異なるそれぞれの教会の佇まいは、見るごとに形を変えてあなたに刺激をもたらすはずです。

サントステファノ教会群の外観は、赤みがかったモザイク模様のレンガ造りです。建物内部には中庭や博物館、ショップも併設。ここでしか購入することのできない珍しい商品もあるそうですよ。「ヨーロッパのエルサレム」とも呼ばれるボローニャの街の見所。「十字架の教会」や「聖墳墓教会」、「殉教者教会」をはじめとした歴史的な教会群の姿は必見でしょう。中心街からの距離は徒歩で10分です。ぜひとも足を運んでみてください。

街を統べる2本の「ボローニャの尖塔」

「ボローニャの尖塔(Torri di Bologna)」はボローニャの街中に佇む、2本の尖塔を指します。かつてのボローニャには同様の尖塔が100本以上も存在していたといいますが、現存するのはこの2本の尖塔のみ。

塔の一方「ガリゼンダの塔(Torre Garisenda)」の高さは48m。傾きを見せるその姿は、崩壊の危険を避けるために意図的に高さを低くしたのだとか。遠景で捉えると、塔がわずかに傾斜している事実に気付くことができるでしょう。

もう一方の「アシネッリの塔(Torre degli Asinelli)」の高さは97mです。こちらは天を衝くように、美しい直線を描いています。アシネッリの塔は登ることも可能。頂上からはボローニャの街の、赤みがかった鮮やかな景観を楽しむことができるでしょう。とはいえ、そのためには498段にもなる階段を登り切る必要があります。階段の幅は狭いため、足元の用心は必要でしょう。創設者の名を冠した2本の尖塔。つい視線が奪われてしまいますよ。

ボローニャの中心「マッジョーレ広場」

「マッジョーレ広場(Piazza Maggiore)」はボローニャの街の中心地。地理的にも政治的にも、歴史的にも街の中心としての役割を担ってきた重要な街の代名詞的な存在です。石畳が広がる広場には多くの建造物が軒を連ねています。観光の要所である案内所やレストランにカフェ、広場の中心に鎮座する噴水とネプチューン像は見逃せないでしょう。夜にはライトアップもされ幻想的な姿を覗かせます。滞在中は何度も立ち寄ることでしょう。

「サン・ペトロニオ大聖堂(Basilica di San Petronio)」はマッジョーレ広場に佇む、荘厳な建造物です。1390年から建造を開始、1659年に建造が中断され現在もその姿は未完成のまま。ゴシック様式を用いて建造された大聖堂の外観は、上部と下部で印象が大きく異なります。上部の褪せた土色の重厚な雰囲気、下部の白とピンクが調和した華やかな雰囲気は、大聖堂全体で見事に調和し威風堂々な存在感をたたえています。

大聖堂内部は正面に堂々と鎮座した祭壇から、赤みがかった石柱が連なるシンメトリーの空間が広がります。その色味はボローニャの街の印象とピッタリと重なり、不思議な安心感をもたらすでしょう。柔らかな陽光は天井付近に設置された、滑らかな丸窓から降り注いでいるものです。空間の端々にはルネサンス様式の彫刻が鎮座。空間に凛とした彩りを添えています。静寂の中、歴史的な存在感に感銘を受けることは間違いないでしょう。

ボローニャの芸術に学術、美食に浸る優雅な時間を

「市庁舎(Palazzo Comunale)」はマッジョーレ広場に軒を連ねる、多くの注目を集めるアイコンのひとつです。かつては大学教授の邸宅として使用されており、2008年まで市役所として機能していました。現在は美術館としての役割を果たしています。目にするべきはボローニャ出身の芸術家たちの作品群でしょう。現代的な絵画や彫像を豊富に所蔵。見所たっぷりの市立美術コレクションは、散策がてら鑑賞しておきたいボローニャの個性豊かな見所のひとつです。

「旧ボローニャ大学(Palazzo dell’Archiginnasio)」は1088年に創設された、ヨーロッパ最古の総合大学です。天文学の父「ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei)」や、地動説を唱えた天文学者「ニコラウス・コペルニクス(Nicolaus Copernicus)」もこの旧ボローニャ大学で学んだといわれています。2階には世界で初めて人体解剖がおこなわれたという部屋も現存。天井には12星座をモチーフとした装飾があり、こちらも同様に見逃せません。

ボローニャは「美食の都」としても有名な事実をご存知でしょうか?中でも「ボロネーゼ(Bulgnàisa)」は特筆すべきボローニャの名物です。香味野菜と挽肉を丹念に炒め、トマトと合わせた濃厚なミートソース。平打ちの「フェットチーネ(Fettuccine)」との組み合わせは至福でしょう。ボローニャソーセージといわれる「モルタデッラ(Mortadella)」は直径約20cm。サラダやパスタに合わせて供されます。こちらも必食メニューでしょう。

芸術に学術、観光都市ボローニャの魅力を堪能

若き日のミケランジェロが過ごしたイタリア北部の街ボローニャ。その姿は当時から変容を遂げつつも、根幹に流れる感性の泉は尽きることはありません。多くの歴史を刻んだ建造物の存在はもちろん、街中には美術館や博物館も豊富です。イタリアの綺羅星のごとく点在する名所の中でも、ボローニャの街の輝きはひときわ大きなものでしょう。感性を磨いたり、美食でお腹を満たしたり、旅の滞在先の選択肢としては最高のものです。

「ボローニャ・ボルゴ・パニゴーレ空港(Aeroporto di Bologna-Borgo Panigale)」は、ボローニャにある国際空港です。ボローニャの中央駅からの距離はバスでおよそ20分。快適なアクセスもその魅力といえます。ミラノ、ヴェネツィア、フィレンツェ、イタリア屈指の観光都市の中心に位置するボローニャは、それぞれの街へのアクセスも抜群です。芸術と美食の都ボローニャ。その魅力、次回の旅で堪能してみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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