ミラノ(イタリア):バロック画家カラヴァッジョの生誕地

現実をありのままに映し出したかのような写実的な絵画作品。「カラヴァッジョ」はそんな写実的な作品を描き出す、イタリアを代表する画家の一人である。「病めるバッカス」は、明暗を巧みに操るカラヴァッジョが描いた代表作のひとつだろう。そんなカラヴァッジョが生まれた街がイタリア北部の街「ミラノ」である。世界的な流行の発信地としても名高い世界都市。カラヴァッジョとミラノの街の魅力、当記事で詳しく紹介していこう

イタリア芸術を代表する画家「カラヴァッジョ」

イタリアを代表する画家「ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio)」。あたかも映像のような写実的な表現や、明暗を巧みに操る技法で名声を獲得した、世界に名を馳せる芸術家の一人です。16世紀末~18世紀に発生した芸術運動「バロック絵画」の形成に多大な影響を及ぼしたカラヴァッジョ。その作品は長い時間を経た現在でも圧倒的な評価を集めており、世界的な人気と熱狂を集めています。

1571年、イタリア北部の街ミラノに誕生したカラヴァッジョ。1584年には画家の弟子としての修行を開始し、4年の歳月をかけて技術を習得しました。芸術家としての生涯で作品の受注や金銭面での苦労はなかったといいますが、その人生は激動です。1606年に若者を殺めてしまったカラヴァッジョには懸賞金がかけられ、ナポリやマルタを点々として滞在。投獄も経験した彼の人生は38歳で終わりを迎えたといいます。まさしく激動でしょう。

(Public Domain/‘Young Sick Bacchus’ by Caravaggio. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

芸術家としての成功を収めながらも、生涯を通じて多くの出来事を経験したカラヴァッジョ。「病めるバッカス(Young Sick Bacchus)」は1593年ごろに制作された代表作です。バッカスはカラヴァッジョの自画像ともいわれており、多くの憶測を生む作品です。

「ホロフェルネスの首を斬るユディト(Giuditta e Oloferne)」は1598年~1599年に制作された傑作。人物の心情すら伝わるような写実的な描写はカラヴァッジョ作品の真骨頂でしょう。溢れるような芸術の感性の源泉は、カラヴァッジョ生誕の街ミラノにあったのでしょうか?

カラヴァッジョ生誕の街「ミラノ」

「ミラノ(Milano)」はイタリア北部の中心地。ロンバルディア州の州都であり、イタリア最大の人口を要する先進的な街です。国北部の政治や経済、文化を牽引する存在は世界的な名声も獲得しています。

服飾や繊維業で有名なミラノで開催される「ミラノ・コレクション(Milan fashion week)」をご存知の方も多いでしょう。夏冬の年2回開催されるファッションの祭典は世界からの脚光を浴びています。流行の発信地としても注目でしょう。

紀元前600年ごろに形成されたケルト人の街を起源に持つミラノ。中世の後期にはミラノ公国として発展を重ね、繁栄を極めてきました。この時代は黄金時代とも呼ばれています。世界大戦後はモダンデザインの発信地としての地位を確立。世界にその名を轟かせています。現在のミラノの街並みには歴史的な建造物とモダンな高層ビルが混在。過去と未来の姿が見事に調和しています。多くの見所を要する街ミラノ。その魅力は深いものです。

ミラノの街の見所

長い歴史を持つ一方で、現代的なモダンな雰囲気を兼ね備えたミラノの街並み。「ドゥオーモ」はそんなミラノのランドマークです。真っ先に足を向けるべき場所でしょう。世界遺産に認定されているレオナルド・ダ・ヴィンチの傑作「最後の晩餐」や重厚な佇まいを披露する「スフォルツェスコ城」も見逃せません。名物「ミラノ風カツレツ」も必食でしょう。イタリア屈指の観光名所が揃うミラノの街並み。その見所を、解説していきます。

ミラノを象徴するランドマーク「ドゥオーモ」

「ドゥオーモ(Duomo)」はミラノ大聖堂とも呼ばれる、壮麗な造りの建造物です。「ドゥオーモ広場(Piazza del Duomo)」に面して佇む大聖堂は世界最大のゴシック様式。1386年に建造を開始し、1813年に完成を遂げました。5世紀に渡る建造年月には驚愕でしょう。完成後も尖塔や装飾の追加がされており、時代と共に変化も経験。白一色に統一された姿は堂々とした存在感を放ちます。街を象徴するランドマークといえるでしょう。

ゴシック様式を象徴する尖塔の数は圧巻の135本。しかも、それぞれの尖塔の頂上には異なる聖人の像が設置されているというから驚きです。中でも注目を集めるのは最も高い塔に設置された黄金のマリア像。神々しさすら感じるその姿はぜひ目にしておきたいところです。実はドゥオーモは登ることができ、間近で彫像を鑑賞することができます。階段かエレベーターか、どちらのルートを取るかはあなたの体力次第です。

地上に視点を戻せば入り口に設置された「聖堂の青扉」が目に入るでしょう。マリア受胎からキリストの誕生まで細やかに装飾された芸術作品。入場前から要注目でしょう。

内部に入れば色鮮やかなステンドグラスがお出迎え。聖書の物語が描かれた個性豊かなステンドグラスは、一枚も見逃すことはできません。3,000本以上といわれる彫刻や絵画作品が揃うドゥオーモ内部はさながら美術館です。凛とした静寂には心身が洗われるはずですよ。

人類の至宝、レオナルド・ダ・ヴィンチ作「最後の晩餐」

「サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会(Basilica di Santa Maria delle Grazie)」は1469年に完成したといわれる建造物です。赤レンガが全面に配された教会はルネサンス様式で建造。美しく並んだ丸窓やアーチ状の窓、円柱型の建物が目を引く造りです。建物自体にも注目ですが、実は見所は教会の食堂に存在しているのです。

(Public Domain/‘The Last Supper’ by Leonardo da Vinci. Image viaWIKIMEDIA COMMONS)

「最後の晩餐(L’Ultima Cena)」は、万能の天才と称される芸術家「レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)」が1495年〜1498年に制作した作品。1980年には教会と共にユネスコ世界遺産に認定されました。聖書の最後の晩餐のシーンを描いた傑作は、ミラノを訪れたら必ず目にしておきたいところでしょう。見学するには事前の予約が必要です。人類の至宝は、絶対に見逃せないでしょう。

重厚な造りのかつての城塞「スフォルツェスコ城」

「スフォルツェスコ城(Castello Sforzesco)」は14世紀に建造され、その後「フランチェスコ・スフォルツァ(Francesco Sforza)」によって改築した、ルネサンス様式の城塞です。高さ109mにも及ぶ「フィラレーテの塔」は遠くからでも目にすることができ、かつての城塞の存在をミラノ中に知らしめています。敷地を取り囲むような城壁は当時の頑強な城塞としての姿を伝えており、重厚な雰囲気をミラノの街の一角に添えています。

正門をくぐると広がるのは、美しく整備された中庭部分。周囲を取り囲む城壁の姿は、美しい空間に凛とした存在感を付与しています。かつて星型の城塞であったというスフォルツェスコ城。現在はその規模を縮小し市立博物館としての役割を担っています。館内に展示されている作品の中で注目は「ミケランジェロ(Michelangelo)」が手がけた未完の大作「ロンダニーニのピエタ」でしょう。生前最後の彫刻作品。見逃すことは厳禁といえます。

だまし絵教会と芸術、ミラノの名物料理も見逃せない

「サンタ・マリア・プレッソ・サン・サティロ教会(Santa Maria presso san satiro)」は、だまし絵教会として知られるミラノの隠れた観光名所。街中に溶け込むようにして佇む教会は、ルネサンスを代表する建築家「ドナド・ブラマンテ(Donato Bramante)」によって設計されました。

可愛らしさを備えた外観も必見ですが脚光を浴びているのは内部です。壁や天井に施された一面のだまし絵。その効果から教会の奥行は広く感じてしまうのだとか。実際の教会の奥行は97m。不思議な造りの教会はミラノの隠れた人気者です。

「ブレラ美術館(Pinacoteca di Brera)」はイタリアの芸術、とりわけ15世紀〜18世紀の作品が多く所蔵された美術館です。400点以上に及ぶ作品の数々は、流行の発信地ミラノでの芸術鑑賞には最適でしょう。フランス第一帝政皇帝である「ナポレオン(Napoléon)」の指示により整備、1809年に開館した美術館。その入場口は2階に位置しています。ファッションのみならず、芸術作品をミラノで堪能してみるのもよいのではないでしょうか。

ミラノには食の名物も豊富です。中でも「ミラノ風カツレツ(Cotoletta alla Milanese)」は人気メニューの筆頭。仔牛肉を叩いて薄く伸ばし、パン粉と卵をまとわせ、たっぷりのバターで揚げ焼きしたもの。場合によってはオリーブオイルを使用することもあります。薄く大きなカツレツの見た目は、さながら象の耳のよう。サクサク食感の衣と甘み豊かな仔牛肉はクセになる味わいです。お好みでレモンをかけていただくのもオススメですよ。

イタリアを代表する街、ミラノで贅沢な滞在を堪能

多くの作品を残した芸術家、カラヴァッジョが誕生した街。イタリアを代表する世界都市ミラノの魅力をご紹介してきました。ランドマークであるドゥオーモや最後の晩餐、重厚な存在感をたたえるスフォルツェスコ城にだまし絵教会など、多くの見所を要したミラノの街。新旧が混在する個性豊かな街並みも魅力です。滞在を通して、これまで出会ったことのない鮮烈な体験ができることもあるでしょう。贅沢な滞在時間を過ごせるはずです

ミラノの玄関口は「ミラノ・マルペンサ空港(Aeroporto di Milano-Malpensa)」です。ミラノ郊外に位置するイタリア最大規模の空港のひとつ。中心街を訪れるためのアクセスの選択肢も豊富でしょう。イタリア北部を代表する街ミラノ。この街の魅力は足を踏み入れた瞬間から感じることができるはずです。何回も訪れたくなる魔法のような力がミラノにはあります。人生の思い出に残る、印象的な滞在を堪能してみてはいかがでしょうか。

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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