ハンプトンズ(アメリカ):ニューヨーク派、ジャクソン・ポロックが晩年を過ごした場所

「ジャクソン・ポロック」は20世紀を代表するアメリカの画家。アクション・ペインティングと呼ばれる、塗料を垂らしたり飛び散らしたりすることによって表現するポロックの作風は、世界に大きな革命をもたらしてきた。動きある塗料の生き生きとした鼓動は、見る者を魅了するだろう。そんなジャクソン・ポロックが晩年を過ごした場所がアメリカ北東部に位置するハンプトンズである。当記事でそれぞれの魅力を詳しくご紹介していこう。

アクション・ペインティングの画家「ジャクソン・ポロック」

「ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)」は20世紀、アメリカの画家。1940年代後半に発生した「抽象表現主義(Abstract expressionism)」を代表する芸術家として、その名を世界に轟かせています。

塗料を緻密にキャンパスに塗り込んでいくのではなく、床に置いたキャンバスに垂らしたり飛び散らしたりして作品を生み出すポロックの技法は「アクション・ペインティング(Action painting)」と呼ばれ、芸術界に新しい波を起こしました。

1912年にアメリカのワイオミング州に誕生したポロック。シュルレアリスムの画家「パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)」などの作風に影響を受け、無意識的な表現を重視していたといいます。1943年にはキャンバスを床に置いて作品を制作するアクション・ペインティングを開始。単純に垂らすのではなく、的確に位置や量をコントロールして描き出される作品は多くの人々を魅了してきました。その生涯は映画化もされ、注目を集めています。

「ワン:ナンバー31,1950(One Number31 1950)」は1950年に制作されたポロックの代表作です。「ドリッピング」や「スプラッタリング」など、アクション・ペインティングの技法を駆使して描き出された複雑な線からは、生き生きとした鼓動すらも感じます。「収斂」は1952年に制作された晩年の傑作。新しい技法への挑戦と苦悩が溢れた作品は多様な色が使われ、強い意思を感じることでしょう。20世紀の芸術に新しい風を吹きいれた画家ジャクソン・ポロック。そんな彼が愛し晩年を過ごした場所がハンプトンズなのです。

ジャクソン・ポロックが晩年を過ごした場所「ハンプトンズ」

「ハンプトンズ(The Hamptons)」は「東のハリウッド」とも呼ばれる、アメリカ屈指のリゾート地域です。ニューヨーク州の南東に位置する「ロングアイランド(Long Island)」の主要な地域でありセレブ御用達の別荘地。アメリカで最も高価な住宅地のひとつといわれています。ロングアイランドはアメリカ文学の傑作「グレート・ギャツビー(The Great Gatsby)」の舞台にもなっているため、その名前を聞いたことがある方も多いでしょう。

ニューヨークの中心地「マンハッタン(Manhattan)」から車でおよそ2時間の距離にあるハンプトンズ。夏のバカンス時期には都市部からハンプトンズへ、大勢の人々が癒しを求めて訪れるといいます。慌ただしいマンハッタンの街の近郊に位置しながらも、穏やかな時間が流れるハンプトンズは休暇には最適でしょう。派手な観光名所こそありませんが、多くの人々を魅了する魅力は確実に土地に根付いています。ぜひ訪れてみたいところでしょう。

ハンプトンズの見所

ロングアイランドに広がるように点在するハンプトンズの見所。全米一位の座に輝いたこともある「クーパーズ・ビーチ」やロングアイランドゆかりの芸術家の作品を展示した「パリッシュ美術館」、ポロックが晩年を過ごした「イースト・ハンプトンズ」やニューヨーク州最古の灯台である「モントーク灯台」など名所は数多いです。ロングアイランド名産のワインも見逃せないでしょう。ハンプトンズで堪能できる見所、ご紹介していきましょう。

全米1位の美しい「クーパーズ・ビーチ」

「クーパーズ・ビーチ(Cooper’s Beach)」は「サウザンプトン(Southampton)」にある、白い砂浜と青い海が続く美しいビーチです。ビリオネアの人々が住む超高級住宅街の先に広がるビーチの姿は絶景そのもの。目立った商業施設の姿もなく、大自然そのままの姿を堪能できます。太陽光の下、ビーチで過ごす時間は至福の極みといえるでしょう。

クーパーズ・ビーチは、2010年に全米No.1のビーチの座を獲得しています。このランキングを決めているのは「Dr,Beach」と称されるフロリダ大学の教授「ステファン・レザーマン(Stephen Leatherman)」氏。ビーチの駐車場には「ようこそアメリカNo.1のビーチへ」の看板が立てられており、気分を盛り上げます。ビーチ近郊には昔ながらのダウンタウンもあるため、のんびりと散策をするのもよいでしょう。贅沢な滞在を堪能することができますよ。

建物の佇まいにも注目の「パリッシュ美術館」

「パリッシュ美術館(Parrish Art Museum)」はサウザンプトンの東に建造された、モダンな外観を備えた美術館です。2012年に開館。草原の中に佇む美術館の姿は驚くほどに自然と調和しています。納屋を連想させるシンプルながら洗練を重ねた外観は、スイスを拠点に活動している「ヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron)」によって設計されました。温もりを感じる白と茶色が見事に調和した存在感は、唯一無二といえます。

敷地面積3,200㎡に及ぶ広大な美術館は、中央通路左右に10の展示室が用意されています。豊富な自然光が差し込む館内は、ロングアイランドゆかりの芸術家作品がおよそ600点以上所蔵されており、見るものの心を奪うでしょう。天候によっても目にする作品の印象は左右されるかもしれませんね。自然に溶け込むように芸術に触れることができるパリッシュ美術館は芸術鑑賞の新境地。深呼吸をしながら穏やかな時間を楽しんでみてください。

ロングアイランドの最東端「モントーク」

「モントーク(Montauk)」はニューヨーク州の最東端に位置する場所です、断崖の絶壁に美しい海が映える絶景スポット。「モントーク岬灯台(Montauk Point Lighthouse)」はニューヨーク州最古の灯台です。1796年に完成してから、多くの船乗りたちの安全を導いてきました。2012年にはアメリカの国定歴史建造物に指定。崖の上に海を見下ろすように立つその姿は堂々とした雰囲気を備えています。ドライブの目的地としてもよいでしょう。

白色と茶色のボーダー模様がどことなく愛らしさをもたらすモントーク岬灯台。内部は螺旋階段が設置されており、頂上まで登ることも可能です。高台の上のさらに上。灯台の頂上から果てまで見渡す爽快感は、ほかでは味わうことができないでしょう。博物館やギフトショップも併設されており、灯台の辿った歴史を学んだりお土産を購入したりすることもできます。柔らかな海のさざ波の音に心癒されるはず。ぜひ足を運んでみてください。

ジャクソン・ポロックの軌跡と名産のワインを堪能する

「イースト・ハンプトンズ(East Humpton)」はジャクソン・ポロックが晩年を過ごした場所です。ハンプトンズの数ある場所の中でもイースト・ハンプトンズは高級別荘地としての地位を確立。大型ホテルはなく、優雅な佇まいのログハウスなどが目に入ります。目抜き通りには高級店やセレクトショップが軒を連ねており、洗練された空気を感じることができるでしょう。オープンテラスでリッチなランチタイムを過ごしてみるのがオススメです。

イースト・ハンプトンズの北東部に佇む観光の名所。「ジャクソン・ポロックとリー・クラズナーの家(Pollock-Krasner House and Study Center)」は、ジャクソン・ポロックがパートナーであるリー・クラズナーと晩年を過ごした場所です。開館日や開館時間は規定されてはいるものの、ポロックのアトリエなどを目にすることもできます。事前予約は必要ですがツアーも企画されています。訪れる前に、ぜひ情報をチェックしてみてください。

ハンプトンズの属するロングアイランドは、実はワインの産地としても有名です。広大な葡萄畑が連なり、ワイナリーが点在する風景は見るだけでも心が踊るでしょう。「ラファエル(Raphael)」や「レンツ(Lenz)」といったワイナリーではテイスティングが有料で開催されており、豪華な施設内でこだわりのワインを試飲することができます。土地の個性が色濃く反映された地産のワイン。芳醇な香りは産地ならではの特別な体験といえます。

アメリカ屈指の高級リゾート地、ハンプトンズに滞在を

ジャクソン・ポロックが晩年を過ごした場所、アメリカ屈指のリゾート地であるハンプトンズの魅力をご紹介してきました。全米No. 1に選ばれたこともあるクーパーズ・ビーチや、芸術性を磨く草原の館パリッシュ美術館、最東端に位置するモントークなど、見所も多くありました。地域全体に通ずる穏やかな時間の流れもハンプトンズの個性です。日常を忙しく過ごすニューヨーカーに愛される理由も、滞在を通して知ることができるでしょう。

ハンプトンズを訪れるときはニューヨークの中心地マンハッタンから。車か電車の利用が一般的でしょう。所要時間はおよそ2時間ほどです。豪華な住宅の佇まいを横目に青く広がる海の姿を目にした瞬間から、気持ちは高揚する一方でしょう。アメリカ屈指の人気を誇るリゾート地。ハンプトンズにはほかの地域にはない落ち着いた雰囲気が備わっています。観光中の一休みにも最適。次回の旅はハンプトンズを目的地にしてみてはいかがでしょうか?

※本記事はコロナウイルス感染症拡大より以前に執筆・掲載された記事です。

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